ゲーム・オブ・スローンズ シーズン8【Amazonプライム・ビデオ→スターチャンネルEX -DRAMA & CLASSICS

ゲームオブスローンズ

ゲームオブスローンズ シーズン8第5話 あらすじ相関スッキリ解説!


ドロゴンはあまりに強かった

そして朝。
ユーロン艦隊が待機中です。対ドラゴン弩であるスコーピオンも構えています。

ラニスターの弓兵も待機中。
戦が始まるぉ!

住民たちが必死で城へ逃げ込もうという中、アリアとハウンドも入り込みます。
【ゴールデンカンパニー】は、迎え撃つ準備を整えます。ティリオンは鐘の音が降伏の合図だと告げ、ジョンとともに待ち受けています。

サーセイは、この成り行きを城から見守っているのでした。

避難する住民の前で、扉が閉まります。
門に押しかける民があまりに痛々しい。

すっかりパニックになっています。こういうことを引き起こす。そういう人間こそいかん。そんな気持ちになって来ます。
【死者】よりえげつない。

それを見るサーセイの顔も険しいものがあります。

そのころ、ユーロンはドロゴンの襲撃を受け、スコーピオンで撃退しようとします。
しかし、ドロゴンは船を焼いて回ります。

本領発揮したドラゴンは強いぞ!

あっという間に薙ぎ払っていくのです。
前回はなんだったのだろう。そう言いたくもなります。

強い。あまりに強い、圧倒的です。
弩も、発射前に焼かれてしまえば無力なものです。【ゴールデンカンパニー】ですら、圧倒的な炎に焼き払われます。

王都を焼き払い、突撃するデナーリスとドロゴ。
おぞましさの境地へ到達しつつあります。

ここへ、ドラスク人騎馬兵も突入。圧倒的な強さです。爽快感どころか、一方的な虐殺にしか見えません。
ティリオンはこれを避けたかったのに!

サーセイは、呆然とした顔でこの大殺戮を見つめています。

それにしても、こんなふうに支配した女王デナーリスにウェスタロスの民は従いますかね。

 


虐殺が止まらない

クァイバーンは、敗報をサーセイに告げます。

弩のスコーピオン、全滅。

鉄諸島艦隊、全滅。

ゴールデンカンパニー、全滅。

ドラゴンが強すぎる!

サーセイは、スコーピオンが前滅したと聞きます。
そう報告されても、サーセイはなおも立ちち向かうと言い切るのでした。

そんな中で、グレイワームは復讐の鬼と化して、ラニスターを討つ先頭に立っています。
ティリオンは、唖然とした顔で王都を見上げるほかありません。

その頭上には、恐怖のあまり逃げ惑う民の頭上を飛び回るドロゴ。城に飛び乗り、吠えるドロゴ。
あまりの惨状の中ラニスター兵は武器を落とし、鐘を鳴らせという声が響きます。

ジェイミーはそんな中、決然とした眼差しを見せながら、目標を目指し歩いていました。
デナーリスはドロゴの背で、サーセイは城の窓から、そんな悪夢のような光景を見つめているのです。

そのとき、鐘が鳴り響き始めます。
安堵や諦念の表情が、そこにいる人々に浮かんでいきます。

しかし、デナーリスは止まらない。
ドロゴに乗って飛び立ち、逃げる人々を容赦なく焼き尽くす。

降伏の後にも殺戮を続ける。
これは完全に暴君です。降伏勧告を無視することは許されません。

こんな総大将ならば、止まるはずがない。

デナーリスの軍は、武器を捨てたラニスター軍を襲い始めます。
ジョンが止めようとするものの、もう歯止めが効きません。

グレイワームは完全に復讐に取り憑かれています。かくして地獄絵図が広がっていくのです。

こんなことがあったいいのだろうか。
サーセイの目にも、ティリオンの目にも、絶望が浮かんでいます。

女性も。幼い子供も。容赦なく虐殺されてゆく。
ジョンの顔も絶望しきっています。女性を襲う卑劣な仲間を殺し、逃すジョンでした。

 


王を殺してみろ

このあと、小舟で逃げようとするジェイミーに、こう声がかかります。

「キングスレイヤー、もう一人王を殺してみないか?」

「王?」

「女王とやった俺は王ってわけだ。てめえの首を切り落として、サーセイとキスさせてやらぁ」

ドロゴの攻撃による建物崩壊の中、二人は死闘を繰り広げます。
重傷を負い、転がるジェイミー。

そのころ、彼の目標であるサーセイは、クァイバーンからメイゴルの天守へ避難するように勧められるのです。
やっと彼女は、その場を去る決意を固めるのでした。

王都では、緑の炎も燃えています。
【炎素】を設置していたのでしょう。

サーセイとジェイミーは、再会できるのか。ジェイミーは重傷に苦しんでいます。

「そんな手でよく戦ったじゃねえか」

そう健闘を讃えるユーロン。
ここでジェイミーは這いずり回ってなんとか武器をとり、油断したユーロンの腹部を刺すのでした。

彼は苦悶の表情を浮かべつつ、こう言います。

「また一人王を殺したってわけか。だがあんたも終わりだ。終わりだ! 俺がジェイミー・ラニスターを殺した男」

かくしてユーロンは死んでゆくのです。
憎たらしい、いい悪役だったと思います。

 

殺しあうクレゲイン兄弟

ハウンドとアリアは、城に入り込みます。

「あの女は焼け死ぬか、ドラゴンに勝てるか。お前はここを去れ」

「私は復讐を誓ったんだ!」

「俺は生涯を賭けて憎む相手がいる。俺みたいになるつもりか」

アリアは復讐をしたいと言いますが、ハウンドは生涯憎んできた。俺みたいになるつもりかとアリアに迫ります。

俺みたいになるつもりか?
そう告げ、アリアを置いて行くハウンド。そんな彼に礼を言うのでした。

サーセイは、崩れる中避難していきます。
命からがら、避難するサーセイに、ハウンドがこう声を掛けます。

「陛下」

しかし、目的は違う。
傍の兵士を殺し、マウンテンにこう声をかけるのです。

「久しぶりだな、兄貴」

サーセイが傍にいてくれと訴えても、マウンテンには通じません。

かくしてクレゲイン兄弟の一騎打ちが始まります。
マウンテンは兜を取り、そのおぞましい変わり果てた顔を見せるのです。

「それがあんただ、ずっとそうだった」

ハウンドはどこか納得した表情を見せます。

兄弟が戦う中、サーセイは一人逃げ惑うのでした。

 


潰し合う二人

そこへ姿を見せたのが、瀕死のジェイミーです。二人はしっかりと抱き合うのでした。
ジェイミーの前で、やっと涙を見せるサーセイ。それまで無表情だったのに、無防備なほどの涙が滲んできたのです。

「怪我をしてる」

「たいしたことはない」

「血が出てる」

短い言葉で、互いの無事を確認し合います。

一方で、ハウンドは兄の腹に深々と剣を刺し、自らも倒れるのでした。
剣を抜くマウンテン。ここで弟を掴み、持ち上げるのです。やっぱり改造マウンテンは強かった!

どうする、ハウンド!

アリアは、王都を彷徨っています。
妻を探す夫が走り惑う、まさしくそんな地獄の中。皆が苦しんでいます。

マウンテンに首を絞められ、絶体絶命のハウンド。ここで、恐ろしいことが起こります。

「死ね!」

そう言いながら、笑い出してしまうハウンド。マウンテンは、そんなハウンドの目に指を突っ込みます。
あーっ、これはレッドバイパーことオベリン・マーテル、そしてバドナイトを殺した一手だ!

※ハウンド、バドナイトの仇討ちだぞ!

そのマウンテンの目に、短刀を指すハウンド。
しかし、両目は潰れてしまっています。

目を突き刺しあい、兄に突進し、崩れゆく建物ごと倒れる兄弟なのでした。

 

ひとつになるふたり

【炎素】まで引火し、赤と緑の炎が炸裂する王都。
ジョンが撤退するように告げても、完全に崩壊しています。

もうデナーリスとドロゴは、敵味方関係なしに焼いているのですが。

アリアは、崩れた路地でなんとか息を吹き返します。

アリアは、避難民にここは危険だと訴え、導いて逃げようとします。
走って逃げようとしますが、彼女を助けた避難民は倒れ、その子がしがみついて泣くのでした。

そのアリアにも炎が迫ります。
彼女は逃げられたのですが……。

ジェイミーとサーセイは、二人で逃げ惑っています。

「私たちの子を生かしたい。私たちの子を生かせたい。お願い死なないでよジェイミー、死にたくない」

「俺を見ろ」

「こんなふうに死にたくいない!」

「俺を見ろ! 他のことはどうでもいい! 大切なのは、俺たちだ」

そう誓い合う二人でした。

アリアは滅びゆく王都を見つめ、呆然としています。

焼き焦げた死体。
燃える建物。
呆然と佇む馬。

アリアはその馬に手を伸ばし、触れます。そして馬に乗り、どこかへと向かうのでした。

そのあと――サーセイとジェイミーは、支配され行く王都の中、ひとつに戻るのでした。
崩れ行く建物の下で、圧死してしまうのです。

かつて母の胎内にいたように、同じ死に場所でひとつとなる双子の最期でした。

 


MVP:サーセイ、ジェイミー、ティリオン

あまりに候補が多すぎて迷う中、演技が圧巻でした。

呆然と戦況を眺めつつも、心ここにあらずといった風情であったサーセイ。
それがジェイミーを見た瞬間、涙を浮かべ、死にたくないと切々と訴えるのです。

憎たらしい悪役でしたが、あっぱれ見事な悪役でした。

素晴らしいキャラクターの退場です。
よくぞここまで生き延びた!

ジェイミーは愛に溢れています。
サーセイとの愛も見事でしたが、ティリオンへの愛があればこそ。その愛が、ティリオンを裏切らせていることではあるのですが。

予言が外れ、ジェイミーとともに亡くなったサーセイは、ある意味幸せかもしれません。

 

ウェスタロスどころか、悪の女王降臨

今週はデナーリスがともかく最悪でした。

ヴァリス処刑からの、王都大虐殺。
先週のブロンはぬけぬけとこう言い放ったものです。

「数人を殺せばケチな人殺しだが、数百人なら英雄。千人万人ならば王侯貴族ってわけだ」

このセリフをそのままなぞる、大虐殺女王の誕生です。

このデナーリスの悪事と比較すれば、【レッド・ウェディング】も、ラムジーの拷問大会も、サーセイの大聖堂爆破もかすむほど。彼女の父であるエイリス2世をも上回る暴君の誕生です。

彼女が怯えながらドロゴに嫁いだことを思い出しますと、そのドロゴの名をとったドロゴンで大虐殺をしているというのも、皮肉な話。

あの怯えていた少女が、大虐殺女王となるなんて。
奴隷解放者が、殺戮の暴君となるなんて!

おそろしいドラマです。

 


待ち受けていた人が名君だとどうして言えるのか?

本作は奥が深い。
血統よりも知性や能力こそが統治者に必要であると、突きつけて来ます。

若く美貌に恵まれた、正当性を主張するデナーリスのような人物は、救世主と思われるものです。

しかし、本作では違った……。

家族から追い払われて、デナーリスを支えると誓ったティリオン。
愛していると言い切り、家を捨ててまで支持を表明したジョン。

彼らは絶望しきっています。

熱望した女王が悪夢そのものであるとしたら、どうすれば?
この構図にも、二重にも三重にもひねった、本作の恐ろしさが潜んでいます。

◆あんな悪人を見抜けなかったの?

離婚した妻やDVに苦しむ女性に、こういう決まり文句が言われるものです。

「そうなる前に見抜けなかったの?」

それを言うのはナシってものでしょ。
しかし、ティリオンとジョンにはそれが言えるのかもしれない。

◆悪女とは何だろう?

今週退場したサーセイ。
その悪事の動機は我が子への愛だったと言われます。

悪女の動機とは、このパターンが多いものでして、我が子可愛さに秀頼をスポイルしたとされがちな淀の方が典型例でしょう。

しかし、デナーリスはどうでしょうか。

彼女はあくまで私が女王であると言う使命感だけで、突き進んでいます。
そんな彼女は、ジョンが愛を誓っても突っぱねる姿勢を見せています。

なんともまあ、厄介なドラマです。

来週がいよいよ最終回です。
恐ろしい展開になることは確定しています。さあ、待つんだ!

文:武者震之助

【参考】
『剣嵐の大地 (中)〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1877)』(→amazon


 



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