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【相楽左之助】
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左之助は、赤報隊の分まで生きていく
そしてもう一人のモデルである原田左之助。
明治時代は、坂本龍馬暗殺犯としても報道されており、こちらは「疑いようもなく極悪非道テロリストだな!」と見られていたものです。
※坂本龍馬の暗殺犯は現在、別人と判明しており、以下の記事に詳細がございます
坂本龍馬は幕末当時から英雄扱いされていた? 激動の生涯33年を一気に振り返る
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そういう汚名を晴らすべく関係者が語り、ジャーナリストも証言を残すようになっていった。それが昭和初期でした。
そんな原田には、相楽左之助にも流用された「満洲で馬賊になった」という伝説もあります。
これも悲しい願望が反映されたもので、満洲とは大日本帝国が是が非でも領土として獲得保持したい場所でした。
地元の匪賊(※現地の武装集団)が現れて、危機に陥る日本人。
そこへ馬賊が現れて助かる――。
そういうロマンがあったわけですね。
謎の存在が窮地を救う話は日本人も大好きで、『鞍馬天狗』が大人気だったものです。
幕末に不名誉を背負って死んだあの人も、国を思っていた。生きていて、祖国のために尽くしたらいいな……そういう願望がある伝説なのです。
満洲鉄道と満洲国『ゴールデンカムイ』の理解に欠かせない その歴史を振り返る
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武器や戦闘? そこは少年漫画なので
そんな左之助の武器である「斬馬刀」について。
漫画の設定ですので史実とは別物という認識でよろしいかと思います。
中国では「斬馬剣」です。これは剣心以下全員に言えることで、禁句ではありますが、明治時代ならもう火器で戦えばいいとは思います。
前述の月岡津南がそうですが、少年漫画ヒーローとしては確かに辛いものがありますね。
「二重の極み」につきましては、漫画でしょうし、実現はできないということで終わりにします。
この技のMAD動画「フタエノキワミ アッー!」につきましては、ニコニコ動画全盛期という背景があると思えてきます。
当時は楽しかったかもしれませんが、海外の方の日本語学習者や吹き替えをなさっている方の発音や間違いを嘲笑うことは、失礼なのでそろそろやめてよいものかなぁと。
◆アリアナ・グランデ「七輪」騒動に見る異文化理解の難しさ(→link)
歴史上の人物にしみついた悪名を変える――。
そんな力があると証明した『るろうに剣心』には、漫画のパワーと名作に宿る何かがある。
相楽左之助について考えていると、そう改めて認識できました。
赤報隊の悪名をここまで変えただけでも、この漫画には大きな意義がある。つくづくとそう思えるのです。
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文:小檜山青
※著者の関連noteはこちらから!(→link)
【参考】
コミック『るろうに剣心―明治剣客浪漫譚―カラー版』(→amazon)
コミック『るろうに剣心―明治剣客浪漫譚・北海道編―』(→amazon)
映画『るろうに剣心』(→amazonプライム)
映画『るろうに剣心 京都大火編』(→amazonプライム)