どうする家康感想あらすじレビュー

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『どうする家康』感想あらすじレビュー第8回「三河一揆でどうする」

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『どうする家康』感想あらすじレビュー第8回「三河一揆でどうする」
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どうするマニック・ピクシー・ドリーム・ガール

平岩親吉鳥居元忠だけでなく、本多忠勝榊原康政まで裏切りをしかけられる。

その手口がハニトラというのも頭痛がしました。

「聚楽よ〜ん♪」という往年の温泉ホテルCMみたいな感覚ですよね。「聚楽よ〜ん」で検索をかけると、このドラマのセンスが理解できる動画が見られます。

あれは令和に流すべきものなのでしょうか。

モブのお色気娘だけでなく、瀬名も妄想の具現化っぷりが痛々しいヒロインです。

人間というよりも、空想の産物。

有村架純さんはものすごく素敵な方だと思います。しかし、そのおっとりとしている点が、どうにも悪用されている気が最近してしまいます。

『おんな城主 直虎』で瀬名を演じた菜々緒さんなら、こういうキャラクターにはならなかったでしょう。『鎌倉殿の13人』の宮澤エマさんあたりでもそうです。

このドラマの瀬名は「マニック・ピクシー・ドリーム・ガール」(MPDG)のようです。

不思議ちゃん。天然。きついことは言わない。とろいように見えて実は聡明。でも、男を凹ますようなことは絶対しない。

こんなヒロイン像はもう時代遅れです。

2009年『(500)日のサマー』あたりでセンスが止まっていませんか?

◆博士、空から女の子が!~『赤ちゃん教育』と『教授と美女』における、うっかり博士とマニック・ピクシー・ドリーム・ガール(→link

 

どうする宗教考証

大河ドラマの考証は作品によって様々で、年によって範囲も異なります。

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しかし宗教史は、取り扱いがナーバスな面があり、専門家が必要でしょう。

八重の桜』では同志社大学関係者によるチェックが入りました。

例えば脚本段階で、新島襄が茶碗酒を飲んでいる場面があれば、お茶に変える。彼は厳格なプロテスタントですので、飲酒はありえませんでした。

ただ、これは良い例外とも言え、大河のみならず、日本のドラマはどうにも宗教史の考証に甘い傾向があります。

朝ドラの『花子とアン』では、ヒロインが飲酒泥酔する場面がありました。

ドラマとしては盛り上がっても、彼女のモデルは厳格なプロテスタントですから、モデルへの酷い侮辱となります。

そして今年も、宗教描写がおかしい。

考証が足りないというよりも、現在問題視されている特定の宗教に、あえて近付けたような印象すらあり、教義や実態が無茶苦茶になっています。

◆【どうする家康】家康を苦しめた「三河一向一揆」脚本家の“カルト”描写に「現代日本にも通ずる」感嘆の声(→link

批判精神がある、ということでしょうか。

このご時世にそんなことをするのは、むしろ逆効果では?

現在、多くの宗教団体が、新興宗教との違いを説明するため労力をかけているのに、実在する寺をこんな風に描くのは無神経だと思います。

 

どうする中二病センス

刀を構えて総大将自ら進んでいく。あの金色の甲冑で堂々と総大将自ら進んでいく――そういうのは無双系ゲームの世界です。

このドラマは、本気で無双系ゲームでも参考にしているのかと思えるほど、リアリティがない。

確かに家康の兜に弾が当たったとは伝わります。

しかしそれは「それほどの激戦だった」ということであり、あんなノーガード戦法をされたところでどうしろというのでしょうか。

『麒麟がくる』では、信長が戦陣を突っ切っていってしまう描写が、興奮のあまり規格外のことをしてしまっている異常性として演出されておりました。

こんなセンスが古い無茶苦茶な歴史劇は、どこの国からも見向きもされませんよ。

しかも、こういう古臭いことをしておいて「これぞ“シン・大河”!」と言い出しそうなセンスが辛い。

昨今は”シン“さえつけば斬新かのような傾向がありますが、タイトルが重要なのではなく、ドラマの描き方そのものが問題でしょう。

追記:あの家康の姿は、無双ではなく『三河物語』を参照にしたとのことでした。

申し訳ありません。

◆大河『家康』一揆で揺れる家臣団に家康もショック! 真っ先に出陣した姿が運命分けた? 歴史学者が解説(→link

ただし、そうか、今年はあの『三河物語』を信じてしまう作風なのかと思ってしまったことは確かでして。

演出の問題ですかね。ここであげた『麒麟がくる』の錯乱した信長描写は気になりませんでしたから。とはいえ、失礼しました。

 

どうする人格破綻

本作は、史実云々の前に、人格が破綻しているのではないかと感じます。

あの家康、ぶっちゃけ性格が悪くないですか?

「僕は三河で一番偉いんだぞ!」とプライドが高いくせに、自分では何もできない。

我が妻子だけに執着。

だから家臣や領民には無関心で「年貢を出せ!出せ!」ばかり言う。

民には苦労させるが、いずれ平和に暮らせる世の中を私が取り戻す――という趣旨の志を一度も見せたことがありません。

要は、世間知らずのバカボンで、家柄だけを頼りに振る舞っているように見えるんですね。

「おまえ、本證寺行って、寺に文句を言わさず、米と銭を取ってこいよぉ!」なんて上司や先輩に命令されたら、どう思われます?

企業だったらブラック認定される案件ではありませんか。

しかもこの後は、瀬名チャンを置いて、側室と子作り三昧となりますからね。

『青天を衝け』の渋沢と慶喜のようにゴマカシはできませんよ。

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