こちらは4ページ目になります。
1ページ目から読む場合は
【『どうする家康』感想あらすじレビュー第8回「三河一揆でどうする」】
をクリックお願いします。
お好きな項目に飛べる目次
お好きな項目に飛べる目次
どうするミソジニー
なぜ本作は、かくもセンスが古いのか。
「ゆるい仕上がりは若者向けでしょ」といった声も聞こえてきますが、そうではないと思います。
作品とは、作り手の価値観や性格が反映されるもの。
その感覚を擦り寄せるのが難しく、三谷氏の語る言葉には重みがあります。
◆<ドラマアカデミー賞>脚本賞は「鎌倉殿の13人」三谷幸喜氏 衝撃ラストは『小栗旬さんと小池栄子さんへのお礼』(→link)
今年は、脚本家と同世代の価値観がものすごく出ていると思えます。
以下のニュースではそれが如実に表れている。
嫁いびりだの、女と女の争いだの……そんなことを未だに高みの見物気取りでムフフとしている、その感覚の古さが痛いのです。
しかも、それに気づかずはしゃいでしまう。
外の世界や新たな価値観には決して触れようとしない。
だからこそ、『麒麟がくる』や『鎌倉殿の13人』が放映され、VODから移動してきた方も、再びVODで海外ドラマに戻ってしまうのではないか――大河ファンの私には、そんな懸念があります。
実際、いくつものドラマや時代劇を見ていますが、VODを見ていると、悲しい気持ちになることはありませんか?
脚本、演技、アクション、VFXにおいて、全てが完敗。
海外の時代劇を知っていると、東京オリンピックの開会式で味わったような切なさが蘇ってくる。
それが今年の大河です。
どうしたポリアンナ?
ポリアンナは、どんな些細なことでも褒める。
「ポリアンナ症候群」はネット上でもよく見られる傾向の一つですが、本作については勢いと数が減っているように感じます。
記事の本数・熱量ともに減衰傾向が見られる。
テンション高く叩いていたアンチ系の記事すら減っています。日刊ゲンダイさんですら低調。
「愛の反対は憎悪でなく無関心だ」なんて言われますが、どうにも『どうする家康』はすでに見るに値しないと判断されているのではないでしょうか。
注目度が落ちれば即座に記事が減るのがWEBメディア。
紙媒体と違ってPV(アクセス数)がダイレクトに計算できますので、アンチ記事を出しても意味がないと判断される。
まだ2月です。一体この先どうなってしまうのか。
残っているのは以下のようなトリビア系記事です。
ドラマそのものは見られないけれど、戦国時代の人気は高く、ポチッと押したくなるのでしょう。
ただし、FRIDAYさん、この記事はちょっと遅いですよ。
◆「反省会」立ち上がるNHK大河ドラマ『どうする家康』 巻き返しのカギは”忍び”山田孝之の存在感(→link)
反省会タグは中国語圏でも使われています。
しかし、家康の生涯を描くドラマで、後世の作り物じみた忍者が見どころだとすれば、それはそれで間違っておりませんか?
家康は中国で大人気!ならば大河『どうする家康』の評価はどうだ?
続きを見る
三人成虎
『韓非子』にこんな会話があります。
「王よ、ある一人が市場に虎がいると言っていたら信じますか?」
「信じぬぞ」
「では、二人が市場に虎がいると言っていたら?」
「信じんわ」
「じゃあ、三人が市場に虎がいるぞと言っていたら?」
「信じるかな……」
「ウーズル効果」という言葉もあります。
ウーズル効果(ウーズルこうか、英: Woozle effect)とは、証拠や根拠のない事柄に関する公表物が、頻繁に引用されることにより、個人、団体、または社会一般において、証拠たり得ると誤解される現象のこと。
引用による証拠(いんようによるしょうこ、英: evidence by citation)、または単にウーズルともいわれる[1]。
この効果により、事実ではないことが都市伝説やファクトイドとなる。
Wikipediaより
大河ドラマそのものへの熱意が低くなると、歴史トリビアや考察が目立ち出します。
そういうつぶやきやそれをまとめたニュースは例年お馴染みではあるのですが、他に話題がない分、目立つようになる。
以下の記事が典型例でしょう。
望月千代女は取り扱いの難しい人物です。
フィクションや戦国ゲームでは、巫女とか、くノ一(女忍者)とされ、なかなか盛り上がる存在なのですが、史実面では怪しい。
しかし本作では、今後
「彼女の正体は千代女ですよ、びっくりした?」
と、やらかしそうで……。
知名度が高いだけに厄介で、そのまま史実として広まってしまう可能性も否めないでしょう。
架空の人物とわかる『麒麟がくる』の駒や、『鎌倉殿の13人』の刺客師弟は良心的でしたが、「千代」は「望月千代女」に名前を寄せている可能性がある。
それをこうして記事にしていくことで、ウーズル効果が発生していく。
まさに三人市虎ではありませんか。
大河ドラマが、歴史知識を磨くどころか、荒唐無稽なことばかりを植え付けることになったら、それこそ酷い話ではないでしょうか。
「フィクションだからOK」という言葉は本当に危険です。
作中の家康も、ドラマの作り手も、ウケ狙いばかり考える無責任さについては一考していただきたい、と願うばかりです。
夏目広次(吉信)三方ヶ原で惨敗した家康の身代わりとなった壮絶な死
続きを見る
あわせて読みたい関連記事
徳川家康はなぜ天下人になれたのか?人質時代から荒波に揉まれた生涯75年
続きを見る
家康の正室・築山殿(瀬名姫)はなぜ殺された?家康には重たい女と思われていた?
続きを見る
家康の右腕・石川数正はなぜ豊臣へ出奔した?どうする家康松重豊
続きを見る
本多忠勝5つの最強武将エピソード!家康を天下人にした生涯63年とは
続きを見る
酒井忠次は海老すくいだけじゃない!三河武士をまとめた重臣の生涯
続きを見る
なぜ今川義元は海道一の弓取りと呼ばれる?42歳で散った生涯とは
続きを見る
織田信長の天下統一はやはりケタ違い!生誕から本能寺までの生涯49年を振り返る
続きを見る
【参考】
どうする家康/公式サイト