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【『どうする家康』感想あらすじレビュー第12回「氏真」】
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どうするタイマンバトル
今年の大河は『平清盛』の失敗を繰り返しますよね。
あのときは平清盛と源義朝がタイマンをしていてゲンナリしました。
氏真と家康の戦いをそれで繰り返す……そしてこういう殺陣って、力量や体力差を考えないとキツいのです。
『鎌倉殿の13人』では、年齢差がある小栗旬さんと中川大志さんが、それを感じさせずに殴り合っていて、努力を感じましたね。
またあの場合、畠山重忠は坂東武者でも無茶苦茶強い部類に入る。
一方で北条義時って、個人武勇が記録に残らないまずまずの程度でして。
そこを踏まえると、いいパワーバランスだったと思います。それにしたって、二人とも相当鍛えていたから成立する話ですよ。
今年はなぁ……溝端淳平さんが強すぎるんですよ。
彼が負ける説得力をまったく感じられない。タイマンを避ける工夫はできなかったんですかね。
どうするワンパターン
そもそも家康と氏真が「兄弟みたいなもん!」と言われても、後付け設定で持ってくるなよ……としか言いようがありません。
しかもこれ、先週、瀬名と田鶴でやったばかりでしょ。
二週連続同じ構成って、何か決定的なところが崩壊していませんか?
「時代劇って年寄りの娯楽だし、同じこと繰り返していいんだろw」なんて思っていませんか?
そういうのは往年の『水戸黄門』あたりの話ですよ。
どうする女の趣味
糸こと早川殿が、同盟だのなんだの無視して、癒しの女子マネ状態であるあたり、ゾッとしました。
どこぞの店でウイスキーの水割りを作って微笑む。そういうお姉さんのようにも思えます。誰の趣味なのやら。
『花燃ゆ』を思い出しますね。あれは誰かの「おにぎりを握るマネージャーが松下村塾にいたら萌えるwww」という、不気味な性癖モロ出しで恐ろしかったんですよ。
今年はその再来ですよね。女の役割として、癒ししか認めない。しかも糸はさんざん氏真に塩対応されている。
それでも許せって?
なんでそんなことしないといけないの?
こんな奴だったらいっそ首を手土産に北条へ戻るのでもありでは?
昨年はよかった。『鎌倉殿の13人』だと、男も愛されるに足る言動をしていましたから。
りくが北条時政を愛する理由は分かった。時政は妻を心底愛しているし、それをいつも全力で見せようとしていた。哀れな男でしたよ。
今年の氏真はただの塩対応だけ。顔がいいからって許されるもんでもないでしょう。
それこそ『鎌倉殿の13人』の義時だって、ズレたキノコプレゼント作戦をしていた。それができなくなったら、後妻から逆襲されてしまいます。
糸がもしも、のえタイプだったら……
「私はあなたが毒を飲んで死ぬところが好きでございます♪」
と、例の薬を飲ませるでしょうに。
このドラマって、女の選択が恣意的で本当に気持ち悪いんですよ。
◆側近や女城主…戦国時代の様々な女性の生き方を見つめる『どうする家康』(→link)
この手のポリアンナ擁護にせよ、寿桂尼がいない時点で説得力がありません。
このドラマでは若い女性ばかりクローズアップしているように思えますが。
「様々な女性(※ただし、女戦国大名として名高い寿桂尼は除く)」って、一体何ですか?
どうする“ローマ人”
とりあえず、武田信玄をローマ人呼ばわりするのはやめましょう。
◆【どうする家康】阿部寛演じる武田信玄が本格登場 「部下もみんなローマ人」と視聴者反応(→link)
『テルマエ・ロマエ』の映画版からもう10年近く経ちました。
ネタとして賞味期限切れですが、そうでもしないと他にネタがないのでしょうか。
人種と見た目を結びつけるステレオタイプは、古い上に差別的です。
◆土佐兄弟、英語が話せないキャラに《間抜けなハーフ》とイジって炎上!直後の投稿動画も「セクハラ」と物議(→link)
本作って、差別ギリギリを攻めてはしゃぐことが趣味なのでしょうか。
さすがにそんなわけないよな……と思いつつ、迷惑系YouTuberにアイデアを出させたかのようなシーンが出てきて、本当に参ってしまいます。
前々回のウケ狙い“百合”も、クィア・ベイティングという差別そのものでした
女性同士の同性愛は日本史でどんな扱いをされてきた?どうする家康考察
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どうする歴史知識汚染
本作がらみで、こういうニュースを見るとため息が出てきます。
◆『どうする家康』がより面白くなる一冊!家康は「権力の棲み分け」で天下人となった~サステイナブルな戦略術~(→link)
冗談かと思うようなことが平気で記されているのです。
家康ってこんな人だったの? 今年のNHK大河ドラマ『どうする家康』を見て、松本潤さん演じる徳川家康のイメージが変わった人も多いのでは。
元々の家康がどんなイメージで、それがどう変わったのか?
まるで大河ドラマで歴史を学んでいるかのようなスタンスです。
確かに『鎌倉殿の13人』ならまだわかりますよ。しかし今年は見るからに胡散臭いじゃないですか。情報リテラシーをどうにかしないと。
と思ったら、NHKにも危機感はあるのでしょう。
『歴史秘話ヒストリア』の今川氏真・早川殿の回をBSで再放送したのですが、VTRで入っていた『おんな城主 直虎』の今川氏真は素晴らしかった。尾上松也さんは流石です。
今年の大河について、今川氏真の再評価だのなんだの庇う意見もありますが、2017年で達成できているんですよね。
今年の大河がいかにデタラメか、『歴史秘話ヒストリア』で再確認しました。局としても恥だと感じていてもおかしくありません。
2019年『いだてん』では、戦没オリンピアンを全く扱わず、私は不信感が募りました。すると特集番組ではそこを取り上げていて、良心を感じたものです。
NHKには、関連番組でドラマの嘘を上書きにした前科があります。
2018年朝の連続テレビ小説『まんぷく』です。あのときは関連番組でも、ドラマに使った嘘を繰り返していて悪質でした。
そんなどん底よりはマシです。あえて今年の大河のよかった探しをするとすれば、せいぜいその程度ですね。
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