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【『どうする家康』感想あらすじレビュー第12回「氏真」】
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どうする糸の扱い
氏真が逃げ惑う場面はもう何がなんだかわからなかった。
甲冑を脱げ!
当時は落武者狙いの連中がウロウロしています。あんな、いかにもな格好でいたら、襲ってくれと言っているようなもの。
そのくせ足の悪い妻のことを、
「足手まといだ!」
と言うあたりが人間的にどうしようもない。お前がまず、最大級の足手まといだ。
しかも、糸を罵った後に、瀬名が出てくる回想場面というのが決定的に最悪。
このドラマは人間のスペック比べしかしていません。
瀬名チャンと糸チャンなら、前者の方がスペック高いよね♪ と言いたいのでしょう。
いったい糸を何だと思っているのですか?
寿桂尼が出てこない時点で嫌な予感しかしませんでしたが、彼女たちには、北条と今川の同盟関係強化という重要な意味合いがあります。寿桂尼の娘が北条に嫁いでいるのです。
そんな同盟強化のための女性を粗末に扱う氏真は、愚か者の極み。
糸の足が悪いという設定を強引に入れ、歩けないと差別をするかのような今川家臣も決定的に愚かです。
彼女の輿入れに際して北条は、それはもう気合を入れまくり、豪華な花嫁行列で賑々しくやって来る様は伝説的でした。
それなのに、糸をここまで貶めるって何がしたい?
糸は知名度が高く、ファンも多い。『無双』シリーズでもプレイアブルキャラクターであり、氏真との夫婦愛は人気の要素です。
そういう魅力をぶち壊しにし、家康と瀬名を持ち上げるためだけに貶められる――何を考えているんだ!と叫びたくなるほど愚かです。
どうする人としての道徳心
糸の足の描写が、ともかく最低で辛かった。
人前であの身分の夫婦が怒鳴り散らすって、何を考えているのか。
攻め込まれた戦国大名とかそういう設定関係なく、単に人としての配慮が足りていませんよね。
本作の作り手は、ベビーカーをSNSで「子連れ様w」と呼んで嘲笑っている、そんな人を連想させるぐらいです。
あの足が悪い描写は必要なのでしょうか?
確かに彼女は今川領から徒歩で逃げたとされます。それなのにあんな設定にする必要性がわからない。
障害をピンチを高める道具だとでも思っているのか。
実際に障害がある人と、その周囲が、何か事故や災害が起きたらどうなるか。日々悩み、考えながら暮らしていることを想像すらできませんかね。
どうする姻戚と同盟
このドラマは、ジェンダー観が思いっきり後退しています。
あらすじを読んだ時点で、
「女房の実家に頼るなんてオトコのプライドとしてありえねーしw」
という、昭和平成ヤンキー漫画レベルの話にするんだろうとは思いました。
戦国時代の同盟と、差別をこじらせたおじさんの「嫁の実家www」意識を同列に描くって、何を考えているのか。
このニュースの時点で、嫌な予感はしていたんですよ、センスゼロだなと。
このドラマはどうせ氏真が嫌な奴だと描きたいだけなのでしょうが、北条に喧嘩を売っているとすら思えます。
「えー、北条ww 有名な奴いるの?ww ダサい籠城して滅んだ雑魚じゃんwww」
とか思っていそうでゾッとします。
昨年、大河で盛り上がった神奈川県が、今年は地獄に突き落とされる展開。
神奈川の企業は、今年はもうタイアップ土産は打ち切りでいいんじゃないですかね。
『鎌倉殿の13人』グッズ続投の方が売れる。俺ら武衛はな、まだ滾ってんだよ。俺は武衛として、写真集、買うぜ。
◆小栗旬が撮影 伝説の最終回から3ヶ月…初公開となる『鎌倉殿の13人』舞台裏(→link)
どうする若手時代劇俳優育成
溝端淳平さんは、NHKが大事に育てていて、いつか大河主演にしたいと考えているのではないかと思います。
彼と中川大志さん(『鎌倉殿の13人』畠山重忠など)は、時代劇育成枠ですね。
それがどうしてこうも差がつくのか?
溝端さんは、まず見た目がよろしい。ただの美男というだけでなく、時代ものが似合います。凛としていて、気品がある。
しかも中世から昭和までカバーできるタイプなので、武士から軍人まで、いけると思うんですよ。
身体能力も高い。殺陣もこなせる。
所作指導が甘い今年ではあるものの、溝端さんはしっかりと共演した野村萬斎さんからも吸収し育っていると思います。
いっそ主演が彼だったら、もうちょっとよかったのも……そう思いますが、主演だとずっと縛られますからね。前半で目立たなくなる氏真なのは不幸中の幸いといえます。
『大奥』や今年以外の大河出演にもむろん期待するとして、私としては『柳生一族の陰謀』のキャストとスタッフを続投した『魔界転生』を希望します!
『柳生一族の陰謀』リメイクも、「こんな大河やるならそれでいこう」とぼやいたら実現しましたからね。
燃え盛る炎の中、剣を振るう溝端淳平さんが見たいんじゃあ! いかがでしょうか。
NHKドラマ『柳生一族の陰謀』徹底レビュー! 時代劇への熱量が夢じゃない夢じゃない
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どうする責任感
今年の連中って、「自己実現のため周囲を巻き込んで死ぬ」ことがお得意ですよね。
田鶴も酷かった。自分の瀬名との胸キュンライフのため、結果的に領民を巻き込んで城ごと燃えていた。
そして氏真も、ほぼ同じことを繰り返しています。回想頼りというところまで一致してウンザリ。
まいじつさんのおっしゃる通りですよ。
◆『どうする家康』の致命的な問題! 人間関係がすべて“回想”頼り(→link)
どうせ勝頼もそうでしょう?
光秀、三成、そして淀の方もそうするのかな?
カッコつけるにせよ、ワンパターンしかないってどういうことですか?
今川氏真が再評価されたという声もありますが、史実を改悪しています。
再評価なら『おんな城主 直虎』で十分。
あの、戦さでなく蹴鞠で決着をつけられたら良いという嘆きは、なかなか鋭い言葉です。森下佳子さんは、やはりセンスが違いますね。
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