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『どうする家康』感想あらすじレビュー第37回「さらば三河家臣団」

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どうするイキリ散らすしかない三河武士団

今回のサブタイトルは「三河武士団」でした。

江戸入りの頃の武士団と言えば、家康も含めて皆いい年になっている。

数え年で徳川家康が48才、本多忠勝が43才、鳥居元忠が52才、そして大久保忠世に至っては59才です。

それがバカみたいに怒鳴り、泣くだけ。どれだけ幼稚なのでしょう。

本作は、登場人物が老けません。先週いなくなったであろう千代は、初対面の時に家康を坊や扱いしていましたが、あれから何年経過しましたっけ。

制作陣が幼稚で老成できないせいか。あるいは昨今話題の圧力とやらで加齢させられないのか。

『らんまん』と比較すると、本作の幼稚さがよくわかります。

いくつになっても高校生のようにギャースカ騒ぐことが、世の人の求めることだと思っているのかもしれませんね。

だからこそ、そういうノリを繰り返してしまう。

いやいや、誰も求めてませんて。

 


どうするカルト臭

幼稚な集団が、ひとしきり騒いで「殿ありがとうございます!」と言いだすところは、陰謀論者のつどいを彷彿とさせました。

白兎ちゃんの待っているエコーチェンバーに入り込み、ギャーギャー騒いでいると楽しいのでしょう。

脳内に気持ちいい汁がジュージュー分泌されている。

それを冷静な状態で見せつけられる側の気分……など考えられるワケないですよね。

 


時代考証の役割を再考する

朝ドラ『らんまん』が放送終了しました。

関連記事を読むと、時代考証の確かさがドラマの土台を作っていたことがよくわかります。

◆『らんまん』ついに最終回…時代考証から見た明治の官と民とアカデミズム<上>(→link

◆『らんまん』ついに最終回…時代考証から見た明治の官と民とアカデミズム<下>(→link

『らんまん』はモデルの人名を適宜変更しつつ、複数名の功績を組み合わせています。

本筋とそこまで関係ないところまで、作り込みが実に細かい。

大河ドラマ『青天を衝け』と担当者が同じでありながら、朝ドラの方がはるかに良心的にうまく歴史を扱っていることがわかります。

それに引き換え、今年の大河は基礎すらできていない。

秀吉は息子が死ぬよりもずっと前から、唐入り計画があった。そんな初歩的な話ですら考慮されていない。

ついでにいえば、一人二役のキャスティングも『らんまん』の方が見事でした。

◆松坂慶子『らんまん』再登場「驚きました」 万太郎(神木隆之介)&寿恵子(浜辺美波)の娘役(→link

そして最終週にナレーターの正体が明かされる展開も素晴らしかった。

キャンキャン「神の君!」連呼している大河ナレーターは春日局説も出始めていますが、そんなことをされても失望するばかり。ナレーターの正体が明かされたところで、『らんまん』にどうせ及ばないでしょう。

 

泣いて馬謖を斬る

泣いて馬謖を斬る。『三国志

ドラマ『パリピ孔明』の合戦シーンの方が迫力があるって、どういうことですか?

あのドラマのお陰で、本物の馬にまたがる武将は最高だと再確認できました。

軍略も、オーナー小林の方がはるかに理解度が高いんですよね。

「泣いて馬謖を斬る」について諸葛孔明に尋ねる場面なんて、本当に素晴らしかった。

歴史への愛と敬意は『パリピ孔明』の圧勝。さすが渡邉義浩先生がついているだけのことはあります。オーナー小林を演じる森山未來さんはかなりの三国志マニアで、ただでさえ長い台本をもっともっと長くしてまで語っているとか。

歴史への深い愛を感じます。そういうところに差が出るんですよね。

この「泣いて馬謖を斬る」をあえて取り上げるセンスもいいんですよね。

昨今の傾向として、ともかく好感度重視が行き過ぎて、敢えて非情な決断をするような描き方が避けられがちです。

例えば『青天を衝け』における天狗党の乱

あれは徳川慶喜が「泣いて馬謖を斬る」心境で処断するという苦渋の決断が見どころのはずでした。渋沢栄一本人だって明治になってからそう回想しています。

それをドラマでは田沼意尊が単独で天狗党処刑を決めていて慶喜に事後報告していましたからね。

武田耕雲斎と天狗党の乱
夫の塩漬け首を抱えて斬首された武田耕雲斎の妻~天狗党の乱がむごい

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本当は怖い渋沢栄一 テロに傾倒し 友を見捨て 労働者に厳しく 論語解釈も怪しい

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好感度だのウケだの狙って、時代物にある精神性を置き忘れた大河……今年はずっとそんな感じです。

本当に『パリピ孔明』の足元にも及ばない。

諸葛亮孔明
「待てあわてるな」日本人は天才軍師・諸葛亮(孔明)をどう見てきたのか

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どうする羊頭狗肉

羊頭を掲げて狗肉を売る。『無門関』

羊の頭をディスプレイしながら、犬の肉を売る。

次週の予告編で「家康を慕ってもよいか」と聞く淀殿を見て、盛大なため息をついた方もおられるでしょう。

大河の「オリキャラ」批判はつきまといます。

歴史物で架空の人物を出すことはマナー違反でもなく、過去の作品では主人公を務めたこともあります。

問題は、実在する人物をほぼ妄想まみれの「オリキャラ」にすること。それが本作の淀殿です。

◆「どうする家康」お市→茶々 北川景子1人2役のワケ CP「当初からの構想」ネット演じ分け絶賛「別人」(→link

こちらのニュースに、なかなか衝撃的な告白が記されています。

磯CPは「茶々は、北川景子さんに演じていただきます。茶々の母・市との2役です。織田家の系譜を継ぐ市と茶々は同じ俳優さんに演じていただきたい、と当初から考えていました」と元からの“秘策”だったと明かし、2役同時にオファー。「このドラマは信長との出会いから始まり、茶々との対決でクライマックスを迎えます。信長の魂が市を通して茶々に引き継がれ、家康と対峙する、このストーリーのダイナミズムを、2人の女性を重ねることで印象強く表現したいと思いました。家康が最後に対峙する茶々は、転生した信長かもしれません」と説明。

茶々は「転生した信長」かもしれない、とのことです。

一体何事でしょうか。

『鎌倉殿の13人』での上総広常北条泰時もあるし、やっちゃえ、とでも思ってしまったのでしょうか。

しかし今回はストーリーの必然性も他の関連性も何もないでしょうよ。

『鎌倉殿の13人』は大河3作目の三谷幸喜さんが手掛け、奇想と実力を持つ稀代の脚本家だからできた仕掛けがありました。

輪廻転生
輪廻転生を否定はしていなかった鎌倉殿の13人「ぶえい」と泣いた泰時

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それをうっすら磯CPがなぞり、脚本家にでも渡しているのでしょうか。

やはり今年の大河は決定的におかしい。

通常は、脚本家がプロットや構成について語り、プロデューサーは脚本家のアイデアを受け止めつつ、それをどう活かしていくか、と語ることが多い。

今年は逆です。

放送前は「あの『コンフィデンスマン』と『リーガル・ハイ』の脚本家が!」と散々売り込んでいたのに、プロットの礎がプロデューサーの妄想だとすれば、これはもう「羊頭狗肉」ではありませんか。

NHKのコンプライアンスはどうなっているのでしょう。

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