今日はオープニングの途中で茶々が登場。
火縄銃を家康に向け「ダーン!」とやらかす先週のシーンを繰り返します。
制作陣の目には、こうした茶々が天真爛漫で小悪魔的だとでも思っているんですかね。
ここでチャンネルを変えてしまった人もいるのでは?
と懸念しつつ、今週もレビューを進めて参りましょう。
どうする無能な茶々
大手メディアでは、茶々がラスボスだのなんだの言われています。
◆【どうする家康】“ラスボス茶々” 北川景子の再登場に喝采も…ささやかれる「美人キャラ北川景子しかできない」問題(→link)
一体どこが?と言いたくなるようなシーンばかり。
例えば、ぐるっと銃身に火縄を巻いていますが、巻くなら腕です。
そうはいっても、あの袖が邪魔になるわけで、まともなスタッフならこんな風に次善策を講じるはず。
「裲襠を着た女性が火縄銃を撃つというのは無理がありますね。お市の若い頃のように、男性のような格好にしてみるとか。いっそ信長の衣装を着せてもいいかも」
しかし、本作のスタッフはそうしない。ゆえに出た瞬間にマヌケな茶々となってしまいました。
無能な割に野心だけは満々に描かれますので、そりゃ滅びるのもやむなしとなってしまうでしょう。
それでも本作の作り手にとってはどうでもいいんですね。
女性の能力や知能にまったく興味がない。美人でエロくて癒してくれればそれでいい。だからこんな残念なヒロインだらけになってしまう。
このドラマは、火縄銃の扱いをどこまで雑にできるのか、挑んでいるかのようです。何一つとして見どころがない。
どうする家康は火縄銃の扱いが雑すぎないか 連射に脅しで次は長篠?
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どうする昭和ファミリードラマのセンス
火縄銃の扱いだけでなく、戦国時代の生活にも興味が感じられない本作は、茶々の出産に立ち会う場面もあまりにお粗末です。
父親である秀吉が廊下をドタドタ走ってきて、新生児を抱いて大笑いって……昭和のファミリードラマじゃないんだから。
当時は、迷信と衛生観念を組み合わせた妊娠出産のルールがあります。
たとえ父親だろうとそうそう踏み込めないでしょう。
まともな朝ドラで明治や大正、昭和前期が舞台ならば、夫は出産の場に飛び込んだりしません。
大河ドラマ『おんな城主 直虎』では、妻の出産時、井伊直親が弓を引いていました。中国由来で、日本に残った「安産を願う儀式」です。
文官上位の中国では廃れたものの、武士の日本では残ったという大変意義深い風習です。
戦国時代のドラマである以上、そうした楽しさを期待するのはおかしな話でしょうか?
完全に昭和後期の感覚で作っているからどうしようもない。
茶々も出産直後から元気いっぱいです。
今だって昔だって、女性の出産は命懸けでしょうよ。それが汗ひとつかかず、真っ赤な口紅でニタニタ笑う新産婦ってなんなんですかね。
このドラマの作り手は現実世界に生きているのでしょうか?
どうするしつこい汁かけ飯
北条氏政は、馬鹿の一つ覚えのように汁かけ飯を食っている。
このドラマはやたらと下劣な食事場面が多い。
スタッフは、汁かけ飯のことを特別なメニューとでも考えているのでしょうか。
普通の食べ方であり、北条だけが食べているわけないでしょう。
なんだかネットで拾った戦国トリビアみたいなものを、嬉しくなってしつこく使い回しているように見えてしまうんですよね。
そのくせ伊達政宗はセリフだけ
豊臣のシンボルであるキャンドルサービスの場面で、本作頻出の「説明セリフ」が語られます。
小田原名物の伊達政宗はセリフだけの処理となりました。伊達ファンにとって、本人の出番がないのはよいことかもしれません。
しかし、このドラマの主人公は誰? 家康ですよね?
それなのに伊達政宗と最上義光を出さないところに、本作のセンスのなさをひしひしと感じてしまいます。
家康は東国の仕置き担当者で、伊達や最上とは連絡を取り合っています。
そしてこの伊達と最上が、上杉相手に「北の関ヶ原」こと【慶長出羽合戦】で粘ったことが後の展開で重要になってくる。
昨今の東北戦国史をふまえつつ、家康の人間的魅力を描くならば、伊達と最上は外せないところです。
それが出てこない以上「是非もなし」としか言いようがない。
しかし、制作陣がこうした状況を理解していないのは、秀吉のセリフからもわかりますね。
今さら「北条の領地をくれてやる」と言い出していますが、家康が東国を押さえる構想は、もっと前からでしょう。それこそ旭姫を正室に迎えたあたりからでは?
ところで、この時点の徳川家康は何歳ですか?
月代を剃り、ちょび髭を蓄え、声をボソボソ低くしているだけで、発声や所作は青年期そのまんま。
加齢表現が素晴らしかった朝ドラ『らんまん』の後で見せられると落差に驚くばかりです。
どうするカフェ感覚で薬を飲む人
旭はそろそろ死なねばなりません。
だからでしょう、わざとらしく病気になって寝ています。
本作の脚本家は病人への気遣いが全くないと映画『レジェンド&バタフライ』でも思いました。
あの作品では、病気で寝ている妻・帰蝶の枕元で、信長が楽器演奏をして、一体何を考えているのか……と本気で呆れました。
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本作でも、死にそうな人間のそばでギャーギャー騒ぐうるさい連中の連続です。
旭は、茶でなく、薬湯を飲んでいるようでしたが、だとしたら演技指導が足りないのでは?
ああいう薬は往々にして匂いや苦味があり、カフェのミルクティーみたいにごくっと飲めませんて。
このドラマは病気の表現も無茶苦茶。
先週のレーシックお愛がわざとらしく胸を押さえたり、「ハァーハァー」と息を荒くするところも酷かったものです。
朝ドラ『らんまん』では、ヒロインの握力が徐々に衰え、急須や箸をぽろっと落とすことで病変を表現していました。ふっと気の抜けてしまう演技といい、それは見事だったものです。
それがなぜ大河ではできないのでしょう?
どうするせせこましさ
駿府城で家臣を相手に命令を下す場面があまりに狭い。
『らんまん』の造り酒屋の広間より手狭に見えます。
広間というより廊下じゃないかと思うほど。一体どういう城なんですか?
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