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【『どうする家康』感想あらすじレビュー第45回「二人のプリンス」】
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猫に負けそうな「せいしょこさん」でどうする
加藤清正もどうにかならかったんですか。
声の出し方が弱い。高すぎるし、腹から出していない。
日本史に残る猛将がどうしてこんな情けないことになったのやら。
こんなせいしょこさんでは虎退治どころか、スマホを猫に向けたら逃げられていそう。
エキストラ指導ができるわけもなく
「秀頼公や!」
「忘れがたみじゃ!」
棒読みでセリフを読むエキストラたち。
ファミコンRPGの村人を思い出します。
プリンス対決は歴史というよりアイドル界で通じる理屈では?
二条城の会見――これを「二人のプリンス」ってどういうことでしょうか?
英語のプリンスを踏まえると、両者ともに一致しない。
秀頼を見る家康の目の陰険さだけは、妙にリアリティがあるからどうしたものか。
歴史的な文脈を無視して、若いイケメンに嫉妬する、もはや若くはないイケメンという構図は、ある意味斬新かもしれません。
女性同士はしばしばそんなしょうもない描かれ方をされてきましたから。
そもそも「二人」とは「秀頼と家康」なのか「秀頼と秀忠」なのか、ワケがわからなくなりそう。
ともかく侮蔑的な描写としか思えず、白雪姫と継母を連想しました。
作っている側は茶々を陰険な悪役として描いているつもりなのでしょうが、家康の方がよほど邪悪に思えます。
しかも戦国武将としての邪悪さではなく、おとぎ話のようだ。
いきなり上座だのなんだの言われて思ったこと全部ぶちまけられても、何が何やら。
策を自分で話さないでください。『パリピ孔明』の孔明を見習ってほしい。
どうするテンポ
このドラマの欠点は数え出したらキリがありませんが、テンポの悪さもあると思えます。
中身がないうえにテンポが悪く、時間稼ぎをいつもしているようで、ともかく退屈になってしまう。
『次にどんな展開が待っているのだろう?』
と、ドキドキして早く先が見たい!とはならない。
二条城の会見をこんなに長々とやる必要があったのですかね。さっぱり理解できません。
どうした秀頼
それにしても、秀頼の顔色が悪い。覇気がない。
毒でも盛られたのでしょうか?
覚えたセリフを棒読みしているだけのようにも感じてしまう。
どうかしているぞ真田信繁と忍者
あの忍者気取りの真田信繁は笑うところなのか?
左手に六文銭を握りしめて
「俺、いかにも怪しいです!」
という目つきはないでしょうよ。
『麒麟がくる』の忍者・菊丸は当初、視聴者までただの農民だと騙されていた。
しかし本作は目立ちすぎる忍者しかいません。
今回は北野武監督の映画『首』公開後ということもあり、あの作品と比較させていただきますと……。
『首』の忍者はかなり荒唐無稽でぶっ飛んでいます。
史実寄りではなく、江戸時代以降の講談、立川文庫、山田風太郎のノリです。ワイヤーでいきなり釣られて、空中で戦うことすらあります。
しかし、そうはいってもお馴染みの胡散臭さと派手さで演出されています。
遮蔽物を生かしたり、周囲に紛れ込む工夫もあります。BBC『ウォリアーズ』は出来がいいけれども、忍者描写はいまひとつ。
『首』をみていると、本場の忍者描写はよいものだとしみじみと満足感が味わえました。
リアルな忍者像を求めた『麒麟がくる』と、外連味たっぷり伝奇風にした『首』。よい対比です。
それが『どうする家康』の場合、こうですからね。
「あの服部半蔵が、実は忍術がヘタでヘタレだったらおもしろくない?ww」
何も面白くありません。『どうする家康』はメンタリティがいじめっ子なんですよ。
「あいつさあ、スゴイと言うわりにヘタレなんだよw」
標的にひとつでも些細な間違いを見つけると、延々とネチネチ小馬鹿にしてニヤついている。そういう精神性がこの作品には充溢しています。
立派な服部半蔵だけどヘタレwww
それで面白がれるのって、どれだけ幼稚で卑劣なんでしょうね。
しかし、あの不愉快極まりない服部半蔵の像は、映画『首』で桐谷健太さんが上書きしました。
精悍そのものの顔つきで家康の側に付き従い、重々しく「はい」と応じる。しみじみと、素晴らしい!
理想通りで、本当にあの映画を劇場でみてよかったと思います。
そうそう、あの服部半蔵は即座に家康の影武者を補充できます。その能力で大河ドラマにも送り込んで欲しいと思ってしまいましたね。
小林薫さんの家康はむろん素晴らしい。出てきたと思ったら即死する家康影武者だって、大河よりよほど家康らしい立ち居振る舞いでした。
それでも猫はかわいい
秀頼と千姫が猫と戯れる場面はいいと思います。猫がかわいいことは確かです。
ただし、『おんな城主 直虎』と『大奥』には遠く及ばない……。
このドラマのよいところは、あの猫だけかもしれません。
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