どうする家康感想あらすじレビュー

どうする家康感想あらすじ

『どうする家康』感想あらすじレビュー第45回「二人のプリンス」

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『どうする家康』感想あらすじレビュー第45回「二人のプリンス」
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嚢中の錐

嚢中の錐。『史記』「平原君伝」

袋の中に錐を入れておくと、自然と突き破って出てきてしまう。本人は目立たないようにしていても、才知が見えてしまうこと。

映画『首』の北野武監督がこれだと思いました。

本人が照れ屋でもあるのでしょう。『首』は「構想30年」というけれど、そんな大仰なものじゃないと本人が明かしています。

確かに本職の研究者でもありませんし、延々と本能寺のことばかりを考えているわけもない。

どこまで本当かわかりません。彼は照れ隠しなのか、すぐに俺はちゃらんぽらんだと言い出すから、よくわかりません。

江戸っ子なんでしょうね。

江戸っ子代表格の浮世絵師・歌川国芳を思い出しました。

彼も別に教育を受けているわけでもねえと荒っぽかったそうなのですが、相当教養がないと描けない題材を作品にしています。

周囲も学問を学んだわけでもねえが、えらく頭が切れると証言している。

江戸っ子の謙遜は話半分に聞いておかないと危険だとしみじみ思いました。

◆ 北野武監督最新作「首」2023年秋に全国公開「成功したと思っています」(→link

それと比べると、どうにも本作の作り手は、自分を大きく見せることにご執心で、その中身が伴っているのか、心許なくなってくるのです。

脚本家は、イマジネーションが大事だから最低限のことしか調べないという。

そうだろうなと思います。前後のことを碌に調べずにやらかしている。

今回ならば大筒について「淀殿をビビらせたw」程度しか知らないんだろうなと伝わってきます。

フランキ砲? 何それ食べられるの? そう思っていても何ら不思議はない。

どうしてそうなるのか?

北野武監督のような謙虚で照れ屋な江戸っ子のいうことを正真正銘信じているのでは?

ヘラヘラしているお笑い芸人だって監督をすれば成功するしw 俺もやってやんよw

そう思っていませんかね?

演じる側にしても、その節があると明かされています。

◆松本潤出演のNHK『プロフェッショナル』お蔵入り危機!「小栗旬を撮ったディレクター」ご指名も水の泡か(→link

この記事を読むと、どうにも友人同士でありながら理解が不足していたのかと思えてきます。

小栗さんはあの年代では異例と言えるほど大河によく出ています。現場を熟知しています。

「40代のイケメン俳優」とみるか。

「40代でありながら異例といえるほど大河経験のある俳優」とみるか。

本人はおとなしくしていようが、才能が突き破ってくる人なのか。

宣伝ありきでチヤホヤされて大きく見える人なのか。

そこを見極めることが大事なのでしょう。

このドラマの制作者は『パリピ孔明』を見習っていただきたい。

プロデューサーが『三国志演義』『三国志演義事典』『三国志事典』を持ち歩いていたそうですよ。素晴らしい、かくありたい。

本当にあの作品は素晴らしい。向井理さんも、森山未來さんも、ディーン・フジオカさんも、『三国志』好きだとわかって嬉しいのは私だけじゃないでしょう。

 


虎の威を借る狐

虎の威を借る狐。『戦国策』

あるところに狐がいました。その狐を虎が食べようとします。

「待って! 私めっちゃフォロワー多いし、界隈ではチョー有名! 食べるよりも一緒に動画投稿したほうがよくね?」

「え、白兎ちゃん、きみ、インフルエンサーなの?」

虎は立ち止まり、狐と一緒に動画投稿すると、確かにいいねがたくさんつくように思えました。

まぁでも、虎が狐を食べる動画が一番インプレッションを稼げると私は思いますけどね。

いつも言っておりますが、やはり今年の大河はおかしい。

大河ドラマのハッシュタグで、主演写真集販売だのなんだの宣伝されます。

アンチハッシュタグでまでそれが流され、荒れるのなんの……と呑気に眺めていたら、私のレビューも触れられていて驚きました。

サイトの担当者が該当のアンチハッシュタグを用いて投下した影響なのでしょう。

こちらとしては何を言われても結構ですし、楯突くつもりも毛頭ないながら、荒れる材料になるのは不本意ですので、今後はハッシュタグを外していただくことにしました。

ともかく今年はなんだか妙です。

何かの境界線が溶けているようにも思えます。

【虎=大河ドラマ】の権威と、【狐=主演】を混同しているようだ。

タイトルが全部大文字という便乗写真集が出るとか。

大河主演写真集を出すのであれば、どうして『麒麟がくる』でもそうしなかったんでしょうね。

これではまるで主演プロモビデオを一年間、受信料で作ったようなものではないですか。

受信料で個人の宣伝をする。朝ドラ『舞いあがれ!』脚本家の歌集など、BBCなら通らないと思える事例は過去にもありました。

その中でもこれぞ最大のやらかしではありませんか?

 


烏江亭に題す

杜牧の詩でも口ずさみましょう。

勝敗は兵家も 事期せず

羞を包み恥を忍ぶは 是れ男児

江東の子弟 才俊多し

巻土重來 未だ知る可からず

ものごとの成否は、兵法家だろうとわからない

羞恥心をこらえ恥に耐えてこそ、男ってもんだろ

江東には才能ある連中がたくさんいるのだから

捲土重来ができたかもしれないだろ?

いったい誰がこのドラマを褒めているのか。

男の価値観はモテでしかない。

強く、イケメンで、女にキャーキャー言われる。モテる。エッチなことができる。取り巻きはワーワーと殿はさすがと持ち上げてくれる。

女はヨシヨシしてくれる。そうかと思えばめんどくさい汚れ仕事を引き受ける「男勝り」。エロいことも積極的にしてくる。

あとはモブ。

というように「自分を磨かないことを肯定する価値観」が、私には全く理解できません。

けれども、それに対する需要はあると親切な方が明かしてくれます。

◆ 『どうする家康』“偉大なる凡庸”こそリーダーにふさわしい 弱虫な家康が将軍になれた理由が明らかに(→link

私はその理由とやらは理解できません。

バカにされている気がします。日本はバカでもてっぺんとれるんですかね。

このドラマでは徳川秀忠までもがさんざん貶められていますが、彼も相当優秀かつ、苛烈ともいえる人物です。

誰でもコケにして嘲笑うこのドラマにそんな人物像を求めても意味はないのでしょう。

しかし、こういう努力しない人間がトップをとるファンタジーを求める劉禅タイプがいることは理解できました。

ならばいっそのこと『パリピ劉禅』でも作っていればよかった。

そういう層が今、メディアのトップにもいるのでしょう。

人間は自己肯定されたい。こうやって露骨に自己正統化欲求を晒す事で「俺たちが正しいんだぞ!」と言いたい。そこにぴたりとハマるんでしょうね。

しかし、そんなものはただの無駄。

劉禅がいい暮らしを送れたのは、あの時代の皇帝の息子だから。

私達はそうではない。現実逃避している暇があるならば、捲土重来を狙いましょう。

 

どこからこの駄作が始まったのか?

第48話の最終回まで、残り3回の放送。

そろそろこの駄作の根源を追い求めねばならない時がきました。

なぜ大河でこんな大惨事が起きてしまったのか?

個人的には『青天を衝け』の存在が大きいと感じています。

あの作品は、主演よりも助演である徳川慶喜が大いに目立っていました。報道もそうです。

渋沢栄一の活躍は明治以降が圧倒的に重要で、幕臣としては小粒もいいところ。

それなのに幕末期間を異常に長くしたのは、新選組などの人気題材狙いでしょう。バズることばかりを考えているから、マイナーな彰義隊は出さないと。のみならず、慶喜便りの露骨な狙いがあったと思えます。

慶喜は、冷酷で無情だとされる人物なのに、ドラマでは演者に合わせたように正統化される。

その持ち上げ様は、異常とも思えました。

ファンダムがまるで慶喜と演者を一体化したように誉めそやしていた。

だからなのか、批判をする者に対して異常なまでに攻撃的。作り手も堂々と、演者に寄せた人物像にしたと語っていたほどです。

大奥』シーズン2は、あのドラマの振りまいた誤解を打ち消す素晴らしい出来だと思います。

『大奥』と『青天を衝け』では、なぜああも慶喜像が異なっているのか?

解釈の違いなんて話ではなく、要は『大奥』のほうが真面目に研究成果を生かしているからそうなるのでしょう。

『青天を衝け』の慶喜は無茶苦茶です。

自分の無責任さで幕府をつぶし、旗本御家人を路頭に迷わせておいて「気持ちいい〜」ですからね。

史実の慶喜も心無い人物ですが、ここまでひどくはありません。

◆青天を衝け:草なぎ剛名演“史上最高の慶喜”ここに完結 最期は「快なり!」締め 視聴者「いい笑顔」(→link

しかも『青天を衝け』の慶喜役は、いわゆる「辞めジャニ」でした。

役者の好感度ありきで、カリスマあふれる「辞めジャニ」ならば、マスコミも忖度してくれる。絶対に失敗できないからこその策だったのでしょう。

だからこそ罠にもなります。

一連の報道を見ていると、旧ジャニーズ事務所の不興を買いかねない彼らを起用すると、引き換えの条件が示されるという指摘がありました。

大河準主演で禁忌たる辞めジャニを使う。

それで損ねた事務所の機嫌を取り戻すため、別の年に大盤振る舞いを示される。

もしも公共放送で、そんなことが現実にまかり通っていたなら?

前述の通り、写真集発売だの、感謝祭だの、今年の主演への気遣いは異常です。あまりにも破格の好条件とも言える。

『青天を衝け』と同じ欠点も、本作は悪化させた上でで引き継いでいます。

粗雑なVFX。

アリバイ的な考証。

雑な儒教思想の取り扱い。

歴史を軽視する脚本。

自分以外を小馬鹿にするような性格の悪さ。

歴史修正的であまりに酷い解釈。

危険性を感じるほど無茶苦茶な殺陣。

恋愛をゴリ押しする。

性的な場面を多くする。

SNSを意識したバズりを狙う。

ターゲットオーディエンスとして中年女性を想定し、ノイジー層に向けてアピールすることで、中身は空っぽでも成功したと偽装できるようにする。

そんな路線の二番煎じに思えます。

旧ジャニーズ事務所の性加害問題は、メディアも問われる立場。

◆【独自取材】ジャニーズ問題、テレビ各局の自己検証番組は「どれも検証ではない」――専門家が指摘(→link

真面目に検証していただきたいところです。

皆様も思うところあれば、NHKへ直接お伝えください。

◆NHK みなさまの声(→link

北野武監督の映画『首』は本当に面白いのか?忖度なしの徹底レビュー

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文:武者震之助note

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【参考】
どうする家康/公式サイト

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