どうする家康感想あらすじレビュー

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『どうする家康』感想あらすじレビュー第45回「二人のプリンス」

2023/11/27

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『どうする家康』感想あらすじレビュー第45回「二人のプリンス」
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城に籠ってどうやって家康を倒すのか?

しかし、茶々が「家康を倒してこそ! そうだ、嫌がらせ書き込みでもしようw」というノリで仕掛けるのは、どうにかならかったんですかね。

確かに方広寺の件は悪意ありきとされているけれども、全部茶々のせいにしてどうするのか。

天下を取り戻すといっておきながら、籠城するとはどういうことなのか?

これは『信長の野望』でも遊べばすぐわかることです。

籠城という状態は詰んでいる。家康を倒すなら城から出ていきましょう。

 


攻守が逆転してしまった!

開戦の経緯が逆転というのは、大河ドラマとして一線超えていませんか?

もしかして、このドラマは、こんなヤリトリをしていませんか?

「あのさあ、俺が難癖つけてラスボス攻めるとかありえなくね?」

「いや、でも、それが史実というか」

「史実とかどーでもいいし。俺はいつも言ってんじゃん。去年みたいにしろってさあ」

「主人公が闇堕ちするようにしろ、ということでしょうか?」

「ちがうよ! 去年はさ、ラストで小栗義時が命狙われて、逆ギレして勝ったじゃん。あれでいいよ、ああいうのがいい」

「えっ……承久の乱と大坂の陣は開戦経緯がまったく一致しておらず……」

「そこをなんとかするからオファーされたんだよな? いいの? 大河のラストってああいうのが王道だよな? それでいいじゃん」

 

助けを求めても無駄

各種メディアが大河ドラマを記事にすることは自然なことです。

特に紙からWEBへと主戦場が移り変わり、誌面(紙面)に制限がなくなった以上、より多くのコンテンツを提供することは、各メディアのサバイバル戦術でもあります。

しかし、弊害も大きいものです。

NHKから素材を受け取る以上、その意に反するようなことは大々的に書けない。

いわば提灯記事が誕生する素地が整っているし、同時に、どんな荒唐無稽な内容でもウケれば……と記事化されてしまう。

◆ 解説:残り4回“どうなる家康”? クライマックス「大坂の陣」で注目されること これからの登場期待したい人物(→link

◆大河「家康」光秀?幕府参謀「天海僧正」は登場するのか 3年前「麒麟」長谷川光秀の生存回収を期待する声も(→link

『麒麟がくる』をコケにするような描写をしておいて(足利義昭・明智光秀の酷さときたら……)、こういう時だけ都合よく「天海は」と持ち出される。

長谷川博己さんにも天海にも失礼では?

そもそも本作は“参謀”をまるで活かせていない。

本多正信はただのうるさいだけの腹立たしい男にすぎません。

今週は金地院崇伝と林羅山が出ましたが、何か意味がありましたか?

誰であろうと阿茶局より目立てないでしょ。そうそう、あの自称男勝りさんは立膝を卒業なさったようで急にどうしたのでしょう。

 

どうする仮想背景

こんなニュースがありました。

◆NHKドラマに仮想背景、大河9割活用 普及でコスト減も(→link

思い返せば、今年の仮想背景は本当に酷かった。

序盤では清洲城が紫禁城ではないかと指摘されていました。

本物の紫禁城はあんなものより遥かに壮麗であり、せいぜい紫禁城の隅にある鶏小屋だと思ったものです。

清州城(清須城)
清須城が紫禁城のようだ?大河『どうする家康』の描写は過剰か否か

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いずれにせよ今年の仮想背景が酷いのは確かであり、なぜ、そうなってしまったのか?と理由を考えると、スタッフの日本史知識不足にあるのではないでしょうか。

調べるべきことをせず、適当なイメージで描いたのではないかと思うほど拙い。

映画『首』のエンドロールを見ていて、怒りがカーッと込み上げてきました。

映画の出来が悪かったのではありません。エンドロールにはVFX担当者の名前がずらりと並んでいました。大多数が日本人名ではありません。

彼らは日本史知識がどこまであるかわからない。それでもプロとして真面目に仕事をし、指示をこなした結果、まっとうな戦国時代の背景を描いていました。

なぜ大河ドラマでそれができないのか?

◆ VFXアナトミー最新のバーチャルプロダクションとグリーンバック撮影を併用した大河ドラマ『どうする家康』(→link

こういう技術について語る記事は出てきますが、話がずれてしまいますね。

日本史における最低限の知識があるスタッフを、どうして揃えることができなかったのか。

2016年『真田丸』以来、大河ドラマとコーエーテクモゲームスは関係を保っています。それが今年はそうではない。

映画『首』とは大々的にタイアップしているのに、どういうことなのか疑問でした。

理由はわかりません。

しかし、確実なことは一つあります。

もしも、今年の大河ドラマがコーエーテクモゲームスの協力を得ていたら、ここまで無様なことにはならなかったでしょう。

VFXではなく小道具にしてもそうです。

映画『首』では大金の描写として、金銀入り混じった塊が出てきた。金しかない『どうする家康』とは違います。

 


『信長の野望』を買ったはずが中身は!

NHKから素材を受け取っている以上、ドラマを悪くは書けない。

と先程申しましたように、今週も凄まじい擁護記事を目にしました。

◆<どうする家康>なぜ? 一人だけ老けない茶々 化け物臭プンプン「怖いから老けないのか、老けないから怖いのか」(→link

◆『どうする家康』 北川景子の淀君はどうしてあそこまで魔物じみているのか(→link

要するに、内容を単純明快にして、みんな大好きなRPGのようにした結果なんですね。

『信長の野望』だと思って遊び始めたら、一本道ダンジョンだらけのクソゲーだったような悲劇です。

JRPG(日本製RPG)で満足しているようなこの論調には、天下万民が断固そうではないと申し上げたい。

私は『ドラゴンクエスト』でも『ファイナルファンタジー』でもなく『ウィザードリィ』派です。

◆ 「ウィザードリィ #I」国内デビューから38年! 寝ても覚めてもダンジョンをさまよいレアアイテムを願ったあの興奮(→link

遊んでいるだけで変態マゾヒスト扱いされる。そんな苦行ゲームでした。

しかも一番好きなのは、設定そのものが地獄としか言いようのない、極めて邪悪な『4』です。

遊ぶだけで人間性が歪みかねないシナリオ。自分以外、あのゲームが好きだという奴にはあったことがないし、我ながらどうかしていると思います。

このようにRPGといっても、個々人ごとに好きな作品は異なるんですよね。

それを上記の記事のように粗雑なくくりをされると、ゲーマーとしては文句の一つも言いたくなります。

あの『ウィザードリィ』にある、敵襲を突如受けて全滅。宝箱が爆発して全滅。テレポート先の座標を間違えて全滅。復活に失敗して消滅する。

そういう絶望感が好きな人間のことを無視していると思うんですが……まぁ、ゲームの話はこのあたりとしましょう。

 

呂布か? 関羽か? 劉禅はいらない

映画『首』を見て、気分が爽快になるような、とことん落ち込んでいくような、複雑な状態に陥っています。

ただ、これだけは言っておきたい。

『首』と対比となる大河ドラマは『麒麟がくる』であって『どうする家康』ではない。

制作時期からして、今年との比較は否定できます。

『首』と『麒麟がくる』の対比は、呂布と関羽の対決のようなもの。

荒々しく粗雑で単純。魅惑のアンチヒーローである呂布か?

正義を貫き、曲がったことは許せない。そんな関羽か?

どちらも選べない!

どちらかだけを好きになれと言われても困る。それが私にとってのこの作品です。

では『どうする家康』は誰か?

劉禅です。

呂布と劉禅、どちらが強い?

関羽と劉禅、どちらを選ぶ?

そう問われたら、そもそも劉禅を持ち出すことそのものが関羽や呂布への侮辱でしょう。『どうする家康』はその程度です。

『首』は意図的に思想や宗教を排除して、ひたすら暴力衝動に取り憑かれた人間を描いています。

儒教朱子学倫理が根底に流れる『麒麟がくる』との対比だとすればおもしろい。

『首』は仰々しく、「こんな戦国時代は見たことがない!」と宣伝しておりますが、見てみるとおなじみの要素もいくつもあります。

私はむしろ旧友に再会したような懐かしさを感じてしまいました。

信長の装束ひとつとっても、奇抜な南蛮服はお馴染みのモチーフです。むしろそういうお馴染みのイメージを外そうとしているのは、『麒麟がくる』だと思えます。

『首』は、8割おなじみの描写を用いておいて、残りの部分に強烈な罠を仕込むことで驚かせる。そういう巧みな映画です。

たとえば、武者絵はじめ、江戸時代以降は定番の場面となった荒木村重が信長から刀に刺した饅頭を食べさせられる場面。

饅頭を口に入れるところまでは従来通りです。しかしそのあと、こちらの頬を引っ叩くような凄まじい捻りが入ります。気になる方はぜひ劇場でお確かめください。

『どうする家康』の「シン・大河」はそうではありません。

「いつものあの味で」

そう注文されたとしても、調理する側は「いつものあの味」すらろくに把握していない。そのくせ新しいものを作ろうとする。

レアの豚肉って斬新、とてもおいしそう!

その程度の思いつきで、とても食えたもんじゃない料理を笑顔で出してくるのです。

防腐加工のために入れる砂糖や塩を「こんなにいらないでしょw」と半量にまで減らして、健康にいいと自慢する。結果、腐敗したものを販売してしまった。そんな悲惨な事例を思い出します。

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武者震之助

2015年の大河ドラマ『花燃ゆ』以来、毎年レビューを担当。大河ドラマにとっての魏徴(ぎちょう)たらんと自認しているが、そう思うのは本人だけである。

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