どうする家康感想あらすじレビュー

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『どうする家康』感想あらすじレビュー第45回「二人のプリンス」

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『どうする家康』感想あらすじレビュー第45回「二人のプリンス」
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どうする大筒

三浦按針がやっと和服を着ました。

「どうだ! お前が前回文句つけてたけど、ちゃんと和服になったぞ!」

そんな風に言われそうですが、これだけ時間が経過していたらそうなるでしょう。むしろこれだけ時間経過しながら、まだ時計の話というのは一体何なのか。

そう思っていたら、もうどうしようもないことを言い出しました。

大筒をここで三浦按針に調達させたいってよ。三浦が「あれは威力が大きい」と心配そうな表情ですが、問題はそこですかね。

あの時点で発注して、大坂の陣に間に合うのか? どういうルートで、誰に依頼するのか?

当時はまだAmazonショッピングはできませんからね。

そもそも関ヶ原の時点で大砲はありました。BBC『ウォリアーズ』ではそうちゃんと描かれていたものです。

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文禄・慶長の役でも、明軍のフランキ砲が猛威を振るっている。明は瓦解が急激だったせいか日本では過小評価されがちだけれども、軍隊としては十分精強です。

そこを踏まえて、家康がドヤ顔で「すごいこと思いついた!」的に表現されても、悲しくなるばかりです。

では、なぜこんなお粗末な展開になるのか?

というと、本作の制作者が必要最低限しかやらないからでしょう。

大筒を撃ち込まれて茶々が絶望する話の前フリとしてしか意識していないため、せっかくの大筒も活かせないでいる。

 

人間の適性を理解しないパクリ家康

時計の仕組みを知りたい――そんなことを突然、アリバイ的に言い出す家康がどうしようもありません。

本当に、物事に没頭する好奇心旺盛な人物は、周囲の空気など気にせず、後先考えずに分解します。やらかします。朝ドラ『らんまん』でも、そんな描写がありました。

人生経験の浅い幼少期に「人と違う適性が出てくる」ことは、『麒麟がくる』でもきちんと表現できておりました。

松平竹千代のころから家康は沈着冷静だった。織田信長は幼少期から母の大切なものを破壊して、周囲から「うつけ」とされた。

本作の場合、それこそ『らんまん』あたりをうっすらと真似したのではないかと思えてくる。幼少期から今に至るまで変わらない家康の個性ですか。女のことばかりを考える下劣さですかね。

今川氏真が出てきて「家康は木彫りが好きだもんな」というのもよくわかりません。

このドラマは複数名がやたらと木彫りをしていますよね。むしろブームじゃないかと思うほど木彫り。なんでも木彫り。

連歌もねえ、
能もねえ、
読経もねえ、
書道もねえ、
趣味といったら木彫りだけ!
オラこんな大河嫌だ!

思わずそう歌ってしまいたくなるほど、木彫りまみれの本作。

石川数正も仏像を掘っていたし、マザーセナの木彫りウサギは、慈愛の国教団の重要な収入源である聖遺物じみていた。

これで家康の個性と言われてもなぁ。

最終盤まで人物設定すらブレブレじゃないですか。そんな最低限のことすら真っ当に表現できていない。

誤魔化そうと番宣だのSNS対策だのやらかそうが、無駄なものは無駄です。

 

今さら王道と覇王でどうする

結局このドラマの「王道」って「今川氏真が今から言い出したこと」扱いで気が遠くなります。

『青天を衝け』では孟子の言葉や、一部の儒教思想そのものを「渋沢栄一が思いついちゃった教えだよ」扱いしていて絶望したことを思い出しました。

『麒麟がくる』では出典を明かしていたのに。

本当は怖い渋沢栄一 友を見捨て労働者に厳しくも人当たりは抜群

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漢籍由来の概念を、引用も出典もなしにやらかし、自分たちが思いついたように言い出すのは、恥辱としか言いようがありません。

脳内で諸葛孔明が「恥ずかしいとは思いませんか?」と煽ってきます。私はもう、血反吐を吐いて倒れそうだ。

思えばこのドラマって「中華料理和食に分類されるんですよ!」と言い出しちゃった陰謀論者みたいなノリがずっとある。

漢籍知識が盤石な『麒麟がくる』から、わずか数年でなぜこんなことになってしまうのか。

王道と覇道なんて、初めて漢文を習ったキッズが言い出しそうな基礎知識で、出てくるだけでうんざりさせられます。

 

つくづく会話がないドラマ

このドラマには、会話があるようで、実はありません。

説明セリフか、主演俳優が「俺がんばってます!」とアピールするプロモビデオでしかない。

だから敬語の使い方もおかしいし、何も心に響かない。古典の引用なんてするわけもない。誤魔化すようにピアノもやたらと重なる。

いわばコスパ重視で、いかに真面目にやらずに、テキトーに誤魔化すかばかりを追い求めているようだ。

子どもの教育に有害どころか、大人の精神までおかしくします。

 

秀忠との態度も親子とも思えず

家康と秀忠の会話も意味がありません。またピロピロピアノ。

この年齢になって、ドスのきいた声で、見下ろすように王道と覇道の話をする。

これしか漢籍教養が身についていないって、絶望しかありません。林羅山を出して『貞観政要』すらやりませんからね。

なぜ林羅山を出したのか……理解に苦しみます。

 

どうしようもないモテモテファンタジー

大坂城には稽古場すらないのか?

秀頼はなぜ、母と妻の前で武術稽古をするのでしょう。

「やっぱりイケメンが部活するとさー、女子が騒ぐじゃないw」

高校時代を思い出しつつニヤニヤする、そんなくだらない妄想のためでしょうか。

それに総大将が武芸を習ってドヤ顔というのも恥ずかしい。

徳川家康は柳生石舟斎を呼びだし、「無刀取り」の境地に感服しました。そしてその子である宗矩を召し抱えています。

剣の腕前の中に、精神性を見出した――それのみならず柳生は監視役としても有能だった。

それが武芸を用いるべき用途であり、こんなモテモテしか考えられないとすれば絶望的です。

本当に幼稚で頭が痛くなる。

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