鎌倉殿の13人感想あらすじ

鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第26回「悲しむ前に」

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鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第26回「悲しむ前に」
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坂東は坂東武者の手に戻る?

「あっけないものですね……」

「あの方を恨んで死んでいった者も多い」

そう語り合う畠山重忠和田義盛

義盛はろくな死に方をしないと思っていたら馬に振り落とされたと言い出す。武家の棟梁なのに恥ずかしいというニュアンスが篭り過ぎですってば。

鎌倉御家人は武勇に重点を置きすぎですね。

武士にも、そうでない人にも、多くの評価基準が用意されてしかるべきであり、とにかく武芸がイケていれば良いってものでもないでしょう。

義盛さんよぉ。

頼朝には、冗談みたいな約束通り侍所別当に指名してもらったり、あれだけ世話になっておいて、落馬くらいでここまで言うのはさすがに酷い。忠義ってもんがないのよねー。

重忠ですら、心底嘆き悲しんでいるのはお身内とごく一握りとか、冷淡に突き放すように言ってしまう。あわわわわ……。

さらに義盛はこう言いました。

「これで、坂東は坂東武者の手に戻った! 言うことなし!」

「そうでしょうか」

重忠はそう返していますが、それを頼時が見聞きしていました。

下剋上どころじゃねえ。

坂東武者、そもそも上下意識ってもんがねえ!

おそろしい。こういう荒んでいてあまりにワイルドな御家人に懸念を覚えたからこそ、頼時、のちの泰時はそれをなんとかするために奮闘するんでしょうねえ。

いやはや怖い。

時政は比企能員と言い争っています。

構図としては以下の通り。

全成を推す北条
vs
若君こと頼家を推す比企

大江広元は、とりあえず全成に任せると言い始めました。成長したところで頼家に譲るという算段です。

が、それでは比企能員は納得しない。

これまた、なかなか難しい話でもあります。

父・頼朝が亡くなった時点で、頼家の年齢は18才。もしも十歳年上か、あるいは年下なら、コトはすんなり運ばれたでしょう。

年上なら文句なし。年下なら選ばれないか、後見が代行する。

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しかし18才というのは、君主としてやっていけるかどうか、なかなか難しいところでして。

義時が止めに入り「御台所のお裁きに委ねる」と言い切ります。

「それがいい」

ニンマリと同意する時政。

 


一度は断るその裏に景時の策あり

誰を次の鎌倉殿にするか。

阿野全成か、それとも源頼家か――。

義時からそう問われた政子は困惑しています。夫からは「政に口を出すな」とキツく言われていたとして、弟からの要請を断りたい政子。

しかし義時は説得にかかります。

「これからは姉上の御沙汰でことが動くことが多々ございましょう。そういうお立場になられたのです。好むと好まざるとには関わらず……悲しみは先にとっておきましょう」

酷いことを姉に提案する義時。

涙に暮れる前にことを動かせという。果たしてそれで動くのか?

場面変わって、頼家と政子。

母に向かって自信がないと息子が告げる。そんな我が子に政子が語りかけます。

「初めて鎌倉にやって来たとき、佐殿と私はここに立った。

あなたの父上は自分の思いを語ってくださいました。坂東をまとめ上げ、いずれ平家を滅ぼすと。

そして、自分の跡を継ぐ立派な男子を産むように……あなたはまだ若い。

けれど、私と小四郎はあなたの才を信じます。

鎌倉を混乱から守れるのはあなただけ。新しい鎌倉殿になるの」

「かしこまりました、母上」

そう返す頼家ですが……このあと頼家は梶原景時に会い、「言われた通り一度は断った」と告げています。

んん?どういうこっちゃ?

と、思いきや、悪そうな顔のまま「それでいい」と返す景時。快諾したら節操がないと思われるから一度は断れ、と。

そして「これからは新しい鎌倉殿として思った通りに進めていけばよい」と語っています。

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御家人の間で孤立しがちな景時には、自分を庇護する主君がどうしても必要だ。

頼家にとってなくてはならぬ存在であるために、動き出したようです。

 


私が二代目鎌倉殿だ!

かくして二代鎌倉殿・源頼家が御家人たちの前に姿を現しました。

我々は大きなものを失った。

このままでは日本中で戦乱の嵐が吹き荒れかねない。

「我らは先の右近衛大将、征夷大将軍の死を乗り越え、前へ進むのだ!」

そう言い切る頼家なのですが、どこか軽い。

重石となるにはまだまだ歳月が必要だと思ってしまう。

声がちょっと上ずっていて不安がある……そんな響きがあります。

「裏切りやがったな!」

このあと、時政とりくは義時を責めています。

そこに政子が現れ、頼家だって孫だと嗜める。それなのに時政は「あれはもう比企に取られたようなもんだ」と返すのです。

「北条がどうなってもよいのか」

そう煽るのがりく。全成が割って入るものの、りくは憤然と立ち去ります。義時は北条を思う気持ちは同じというものの、父には通じません。

「父上は北条あっての鎌倉とお考えですか? 私は逆。鎌倉あっての北条。鎌倉が栄えてこそ、北条も栄えるのです」

「意味わかんねえ!」

義時が真摯に語っても、もはや何も通じないようだ。

「頼家を助けてやってください。鎌倉のために」

そう政子が全成に告げると、実衣が皮肉げにこう返します。

「真に受けちゃ駄目よ。姉上は私が御台所になるのがお嫌だったんでしょ?」

「何を言っているの?」

「そうに決まってる。私が自分にとって代わるのを許せなかった。悲しい。そんなお人ではなかったのに。力を持つと人は変わってしまうのね」

政子が唖然とする中、実衣と全成は去って行きます。

義時にキレて場を去った時政のもとへりくがやってきました。

彼女は頼家の弱点をよく理解しています。頼朝よりも気が強く、頼朝に似て女好き。いずれ必ずボロを出す。その時が北条にとって本当の勝負だ、と。

頼家がボロを出さなかったらどうする?と時政が尋ねると、そう仕向けるとりくが返す。

孫の失敗を願う、あるいは画策するなんて、どんな祖父なんだよ~!

 

頼朝の観音像を握らされ

義時は一人、外で静かに考え込んでいます。

そこへ頼時(北条泰時)が来ました。

「思うのですが、鎌倉殿のお召し物は肩のあたりが汚れていたそうです。

つまり馬から落ちた時、手をついておられない。

そこから考えると、鎌倉殿は先に気を失われ、馬から落ちたのではないでしょうか。決して振り落とされたわけでありません」

「よくぞ見抜いた」

義時はやっとかすかに微笑みます。我が子の聡明さを知ったのです。

頼時は先入観がない。和田義盛と比べるとわかりやすい。

義盛は「どーせ武士らしくねえ無様な落馬なんだろう!」という先入観、つまりはバイアスがかかっていました。

自分がなまじ武芸ができるだけに驕っている面もあり、このバイアスが頼朝への軽蔑心の現れてもある。

しかし頼時はフラットです。

そういう先入観なしに情報を整理し、推理しています。

思考の【仮説形成(アブダクション)】というものですね。

これは何も一から作ったドラマの設定というわけでもなく、北条泰時は理詰めのことを言われると感動するタイプだったとか。

ストレスまみれの中、義時にとっても我が子の聡明さと善良さは癒しです。

後に、そこが対立の一因となりそうな予感もありますが……。

義時は、再び政子のところへ出向き、やるべきことは全てやったと告げます。どういうことか?と返されると、鎌倉を離れると言い出します。

「待ちなさい!」

「姉上、私は頼朝様のためにこの身を捧げて来ました。頼朝様が亡くなった今、ここにいる意味はありません。頼朝様に、憂なく旅立っていただくことが私の最後の仕事と思っておりました」

「ばかなこと言わないで」

「政所は文官の方々に。侍所は梶原殿や和田殿に任せておけばいい。平六(義村)もいます。

それぞれが私欲に走ろうと、頼家様をお支えすればこの先は安泰。北条も然りです。

五郎もいれば、息子太郎もいる。皆で、父上を支えていくのです。そして鎌倉の中心には姉上が。誰とでも隔てなく接することのできる姉上がいる」

「あなたは?」

「私は伊豆へ借ります。米の勘定をしながらゆっくりと過ごします」

「なりませぬ!」

「姉上。これからの鎌倉に私はいらぬ男です」

「頼家を助けてやってちょうだい」

そう言われても立ち上がり背を向ける弟に、姉は訴えます。

「あなた卑怯よ! 私だけに押し付けて自分だけ逃げるなんて! あなたに言われて腹を括ったんですから、少しは責任を持ちなさい。これまで頼朝を支えてきたように、これからは私を支えてください。お願い!」

政子は義時に手を重ねます。

そして政子は義時の手に、あの頼朝の髷から出てきた観音像を渡すのです。

「姉上……」

「鎌倉を見捨てないで。頼朝様を、頼家を」

義時はその観音像を握りしめるしかありませんでした。

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