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【鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第26回「悲しむ前に」】
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姉を励ましつつ葬儀の打ち合わせ
夫が鎌倉殿になり、自分は御台所になる――すっかりソノ気になってしまった実衣は、阿野全成に将軍職を引き受けるよう頼み始めます。
全成は妻に、本当に御台所になる覚悟があるのかどうか聞く。
と、実衣の目に怪しい光が灯り始めました。
実衣は女であり、妹であり、所詮は政治に関われなかった。はなから諦めているようなところがあった。
それがにわかに事情が変わりつつあり、彼女の本質に火がついてしまったように思えます。
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本物の御台所である政子は、動かぬ夫の体を拭い、看病をしていました。
そこへ義時が比奈を連れてきます。
全然休んでいない政子に代わり、比奈が看病をする。姉上は少し休んでください、鎌倉殿は顔色もいいし、持ち直すでしょう、と嘘をつく。
大江広元たちと次の鎌倉殿の準備をしつつも、姉を励ます。善意ある陰謀家の成長ですね。
政子はそんな弟に、何かあったら知らせるように言い、やっと休むのでした。
そうして政子が去ったあと、八田知家が火葬の手順を打ち合わせにきます。
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当時は高温で一気に焼く技術がない。そのため、こういう手順も大事です。
「りくの考えがわしの考えじゃ!」
義時は時政のもとへ。
すると「次の鎌倉殿は全成でいくことにした」と告げられます。
困惑するしかない義時に対し、阿野全成も腹を括ったとかで、髪も伸ばし始めてチクチクしていると言います。
「触ってみる?」とどこか呑気な全成。
それでも義時は迷うばかり。
御台所は北条から出したいのだと頼むと、義時は「それは父上のお考えか?」と聞きます。
そうです。時政も、全成も、心底そうは思っていない。
背後には野心家の妻がいます。
「何が言いたい! りくの考えがわしの考えじゃ!」
開き直り、あっさり認める時政。
彼の野心と陰謀は悪どい――本作では、それがりくに吹き込まれ、流されてゆく姿として描かれていますね。
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義時は比奈にこのことを告げます。
あの人(阿野全成)を擁立すれば、鎌倉は二分されると暗い口調になっていく。
比奈も、北条と比企は競い合うばかりと嘆いています。
そもそも彼女は、比企能員が頼朝を篭絡するために連れてきた比企の姫でした。
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それが義時の正妻になり、今では、板挟みにならないよう気を遣っている。
「ご心配なく。私は北条の女子ですから」
そうニッコリ微笑む比奈。
このやりとりを頼朝の枕元でしているということが、なんとも空恐ろしくもありますね。
八田知家が火葬準備を内密に進める中、頼家がようやく父のもとへやって来ました。
「父上」
「頼家が戻ってきましたよ」
そう告げても、頼朝は微動だにしない。
頼家は、このあと義時に助からないと断言しつつ、誰がこのことを知っているかと尋ねます。
ごく少数にとどめたものの、噂は広まっている。
「いっそのこと公表する」と言う頼家に対し義時は、朝廷への申請準備中だと返します。
苛立つ頼家。跡を継ぐのが自分なのに隠すことはないと言い出します。
頼家は貴公子でありながら目を吊り上げ、髪を振り乱すようなイメージがある。
金子大地さんはそんな頼家へと向かっているように思え、ハラハラさせられます。先が怖くもあり、楽しみでもある。
しかし、いつまで隠せるわけでもありません。
鎌倉殿に何があったのか――御家人を集めて発表だ!
それが回りくどい言い方のためか、案の定、和田義盛がイラつき始めました。鎌倉殿の御容態を知りたがり、もうパニックになっています。
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そんな中、コツコツと火葬場を組み立てている八田知家は口が固いのでしょう。
髻(もとどり)の中に あの観音像が
政子はやつれた様子で看病をしています。
と、そこで臨終出家を提案してするのが三善康信でした。なんでも都人での間では、死ぬ間際に出家するのが流行っているようです。
一体なんなんでしょう、当時の日本仏教って。
本人の意思も何もない状態で出家させ、それでどうにかなると思っているのでしょうか?
宗教の形骸化を感じるところであり、そんな雑なやり方で極楽往生を得ようってさすがに虫が良すぎるでしょう。
こうした感想は何も私だけのものではありません。
当時は栄西らが「変えなくちゃ、日本の仏教!」とばかりに鎌倉仏教を形成していきました。
『鎌倉殿の13人』は、当時のそういう行き詰まった空気まで掬い取り、なぜそうなったか?まで理解できるようにストーリーが進んでいるようにも思えます。秀逸ですね。
義時は「やらねばならぬのですか?」と迷いながら、政子にも提案。
縁起でもないと断ろうとする政子に対し、頼家は母上もわかっていると告げます。
政子は心の底から頼朝を愛していて、離れていくことをわかっていても認められないのでしょう。そんな細やかな政子の心の機微が伝わってきます。
かくして臨終出家も進められてゆきます。
切り落とした髻(もとどり)の中から、比企尼の託した小さな観音像が出てきました。
比企尼には捨てたと言ったけれど、そうではなかったんですね。
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それを見た政子は、涙をこぼしながらふと笑みが頬に浮かびます。
自分が愛した人は、やはり優しかった。
そう確認できて安堵しているような笑み。菩薩の笑みといった風情があります。
頼朝「これは何ですか?」
政子は初めて頼朝と会ったときに出したものを運んでいこうとします。
そこへ実衣がせかせかと来て、話があると言い出す。
食べるのかと実衣に聞かれ、わからないけど置いておけば何かできるかもしれないと政子。
そんな姉に、実衣は「全成が次の鎌倉殿になる覚悟を決めた」と告げます。
どうやら父(時政)と母(りく)も認めたらしい。というか、そもそもは父母の企みで始まった話。政子はとても聞き入れる雰囲気ではありません。
実衣が「御台所を務める」というものの、務まるものかと言い切ります。
「あなたには無理です」
姉妹の間に吹く冷たい風。実衣の瞳に黒い炎が宿っていきます。
頼朝は目を覚ましません。政子はそんな夫をじっと見つめて枕元にいます。
疲れた政子がうとうとしていると、頼朝が起きあがり、皿を持ちこう言います。
「これは何ですか?」
政子は喜び、人を呼びにいきます。
しかし政子が見たのは、床に倒れ動かなくなった頼朝。
「佐殿! 佐殿!」
嗚咽を漏らして政子は愛する夫の息を探るものの、すでに彼は息絶えていました。
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頼朝の遺体が荼毘に付されます。
炎を前に合掌する者たちの胸中は……?
と、義時には、そんな風に気を回している余裕がありません。
お骨をどこに安置するか。安置するにせよ、誰が骨壷を運ぶか。すべてを手配せねばならない。
結局、安達盛長に骨壷を運ぶように頼み、いったんは断られるも、盛長こそ最も生前鎌倉殿に信頼されていたと告げます。
かくして盛長がお骨を運んでゆくこととなりました。頼朝の骨は御所の裏にある持仏堂に納められます。
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