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【鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第33回「修善寺」】
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愕然とする重忠に対し時政は?
頼家の好物である干し鮑を山ほど持って、政子が妹のちえと共に修善寺へ来ました。
足立遠元が、頼家は畠山重忠とよもやま話をしていて息災だと告げてきます。ただ、それでも気持ちは変わらず、北条の者とは会わないとも……。
政子はしょうがないと納得し、ここで待つと言います。
今日は干し鮑を届けに来ただけ。頼家がどんな様子か教えて欲しい。
遠元が干し鮑を持って行くと、ちえが「せっかく会いに来たのに門前払いか」と不満そうです。
それでも、あの子の気持ちを思えば仕方ないと理解を示す政子。達者でいることがわかったらそれで十分だ。
一方、頼家と面会している重忠も、尼御台にも会って欲しいと頼んでいました。
遠元もいたく心配していると続きます。
「あの女子をもはや母とは思っておらぬ」
冷たくそう言い放ちながら、頼家が不敵な笑みを浮かべます。
「重忠、お前の本領は武蔵だったな。遠元、お前もだな」
怪訝な表情になりながら、頼家の言葉にうなずくしかない二人。
「よいことを教えてやろう。北条時政……あの古狸は武蔵守の座を狙っておる。既に朝廷にその旨を願い出ておる」
重忠が「まさか」と愕然としています。
どこからそのようなことを聞いたのか?と問うと、頼家はこうだ。
「それは言えぬ。味方になれば話す」
一気に不穏な空気になってきましたが、それにしても重忠の顔付きも変わってきたと感じませんか?
髭を蓄えただけではなく、何かが濁ってしまったかのような印象。
美しい顔が秀麗なのは変わりませんが、若い頃のような透明感が感じられない。
疲れ、焦り、不信……何かよくないものが出ている印象――と、これは、演じ分けている中川大志さんの演技が素晴らしいのでしょう。
鎌倉に戻った重忠は、さっそく報告。
「軽はずみなことは言うべきではない」と義時に諭されますが、ことが地元・武蔵のことだけに重忠もそう簡単には引けません。
舅殿である時政に、武蔵のことをどうお考えなのかと問いただしています。
黒く沈んでいく義時の顔。「その話はこれまで」と収めようとすると、時政が、武蔵を独り占めにしようなんて気はないとかなんとか言い訳しています。
なにがなんでも自領を守りたい坂東武者に、そんなことを疑わせた時点でダメでしょ。
と、そこへ八田知家が猿楽衆の一人を捕らえたと報告します。
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頼家の仮面
一同の前に“面”を放り投げる知家。
これは修善寺寺宝の「頼家の面(頼家の仮面)」です。
何かと伝説のある面ですが、こんな風に使ってくるとは予想外の方も多かったのでは? 小道具担当者の仕事が光る、不気味な仕上がりです。
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そして押収したという扇を持ってきますが、読める者がおらず「文士」の康信が解読します。
どうやら頼家は、後鳥羽院に北条追悼の院宣を頼むつもりのようです。
事ここに至れば、もう決まりとばかりに、時政が重々しく言います。
「決まりのようだな」
時房、重忠、広元も黙っている。義時が決意を述べます。
「頼家様を討ち取る」
姉上にはどうお伝えするのか?時房が尋ねると、全てが終わったら私から話すと義時が答えます。
「なりませぬ!」
泰時がまたも父に反論します。
義時が、これは謀反だと言い切れば、上皇がいるなら大きな戦になると時房も続く。
実際に院宣を出すのかどうかなんてわからない、と泰時は諦めませんが、上皇からすれば北条は一介の御家人でしかなく、源氏を差し置いて政権を運営することなど許すわけがないと義時が答えます。
上皇様に文を出す!
頼家様に死んで欲しくない!
とことん粘る泰時、思いは義時も同じです。しかし、こうなってしまった以上……他には道がない……そう重々しくうなだれるしかありません。
思えばずっとそうでした。頼朝があの髑髏に賭けた時以来、義時には選択の余地が無い人生でした。
「父上は間違っている! 私は承知できません!」
真っ直ぐに叫びながら去ってゆく泰時を時房は懸念しています。あれでは修善寺に向かい、頼家様に逃げるように伝えるだろう。
と、そこでハッとして時房は気づきます。
「逃げて欲しかったんですか?」
「そうではない……太郎はかつての私なんだ。あれは、私なんだ」
そう苦い声で返す義時。
泰時は母・八重や上総広常の声までも代弁しているようです。
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ここは時房も重要でしょう。
時房は「口が過ぎるぞ」と泰時をたしなめてもいる。兄の苦悩を理解し、甥をたしなめています。
組織の潤滑剤として、こういう人物は目立たないながら重要。結果としてグループのパフォーマンスを上げます。
兄の宗時を殺害したのは善児だが
義時が善児の住処へ足を運んでいました。
しかし、弟子のトウと共に留守の様子。時房はおもむろに泰時のことを尋ねます。
兄上にとって太郎は望みなのか?
そんな質問に対し、「あいつの一途な思いが羨ましい」と語る義時。
「では、兄上にとって私はなんなのでしょう?」
「考えたこともなかった……」
時房はここで自分の役目を語ります。
太郎とは真逆でありたい。
太郎が異を唱えることは全部私が引き受けると。
「何でも申し付けてください。どんなことだって私は……聞いてないですね」
と、汚れ仕事もする宣言までしたのに、義時はそれどころではない。
善児の置いて残した荷物の中に、兄・宗時がいつも腰から下げていた袋がありました。
「そうであったか……」
「三郎兄上の……なぜそれがここに」
「答えはひとつ」
悟った時房は、善児は私が斬ります宣言をします。おう、汚ねえ仕事はするって言ったもんな!
が、しかし……。
「ならぬ。あれは必要な男だ」
「しかし!」
「私に善児が責められようか……兄上……」
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するとそこへトウが戻ってきました。
善児は一幡の粗末な墓の横で薪を割っています。
素直な一幡の姿を思い出しながら、淡々と薪割りを続ける善児。トウがそこへ義時を連れてきます。
「善児、仕事だ」
「へえ」
義時は己と善児を重ねてしまった。
頼朝に「仕事だ」と言われたら引き受けていた己と善児は変わらない。だから殺せないのかもしれない。
善児が死に値するのならば己もそうだ。
誰かの仇だというならば、既に頼朝と政子の孫である一幡を殺している……。
それにしても、時房も相当おかしな奴ですよ。
彼は自分探しをしているみたい。嫡男にもなれないから、自分の生き方を探さなくちゃ。
頼家様の寵臣になる道も途切れたし。才能を見出せた蹴鞠も、そういう場合じゃなくなってきたし。
じゃあ汚れ仕事をする役目を果たして兄上のそばにいよう!
……って、どんな状況でも居場所を見つける才能は素晴らしいけれども、なんだかおかしくありません?
この凶悪になりそうな人物像を、愛嬌を持って演じてしまう瀬戸康史さんが素晴らしい。
目立たないようで、毎回すごく濃い何かを持って迫ってきます。いい奴だなぁ、時房は!
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和田邸で運慶と再会
「お逃げください!」
泰時が頼家に訴えます。
しかし、それを即座に断る頼家。
命を大事にして生きていればまた道も開けると訴えますが、頼家はこう返します。
「道などない。いずれわしは殺される。座して死を待つつもりはない。最期の最期まで戦ってやる」
「お願いですから!」
そう訴える泰時に、京からやってきた猿楽が始まると頼家が言います。
上皇様の肝入りだから、お前も見て行けと。
そのころ義時は、和田義盛の元へ足を運んでいました。誰かと酒を飲みたかったそうですが、なんで俺なの?と義盛が戸惑っている。
メンタルが疲弊しているときに義村と飲んだらますます精神状態が悪化しそうだし、重忠とは武蔵を巡ってギスギスしそうだし。
「難しいことは考えずうまい酒が飲めそうだ」
「ふふっ、確かに俺は難しいことは難しいから苦手だ!」
と、アッケラカンとしている義盛。確かに、この人とのお酒は楽しそうですよね(暴れない限り)。
縁側に目をやると、仏師・運慶がいました。お会いできるとは!と義時が驚いています。
「えにしだね」
なんでも義盛も、おやじ殿の勧めでこいつに何体か仏像を作らせたのだとか。京都に戻る前にどうしても一杯飲んでくれと頼んだそうです。
難しいことは苦手と言っていた義盛ですが、ちゃんと仏像を彫らせるようになった。以前より格段に賢くなっています。
宗教は偶像崇拝を禁じているケースは少なくありません。
神の姿が綺麗だから信じる、という姿勢ではよろしくないだろう。
そんな考えもあれば、壮麗な宗教美術で信者を獲得すべし!とする考え方もあり、義盛は壮麗かつ勇壮な仏像に惚れたんでしょうね。
鎌倉時代の仏像は美しい。
現代人が見ても立派ですが、ちょっと想像してみてください。
当時の素朴な人が仏像やら寺社仏閣を目の当たりにしたら「すげえ、仏様、マジパネェ!!!」となると思いませんか?
するとそこへ巴御前が来て、小さな仏像を手渡しました。
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運慶が受け取り「なんとかなるよ」と返す。どうやら巴が峠道で拾った仏像で、すり減っている顔を直してもらうそうですよ。
普通はそんなことはしないと答える運慶。
義盛はワクワクしながら「ひょっとして由緒があったりしねえか?」と聞いています。
「由緒はない」
「ちぇっ」
残念がって、巴に何かうまいもんを作れと言う義盛。
「手伝って!」
巴から即座に返される義盛。
時代劇はジェンダーを反映できないと誤解されがちですが、食事の支度を手伝うよう女性が男性に一声かけることで対応できることもありますね。この辺、工夫一つなのでしょう。
そういえば、仏像といえば……比企尼から頼朝が受け取ったあの小さな観音像は、どうなってしまったんでしょう。
義盛と巴が料理をするためその場から去ると、運慶が義時に声をかけてきました。
「小四郎、何年ぶりだ」
「15年になります」
「お前、悪い顔になったな」
「それなりにいろいろありましたから」
「だがまだ救いはある。お前の顔は悩んでいる顔だ。己の生き方に迷いがある、その迷いが救いなのさ。悪い顔だが、よい顔だ。ああいつか、お前のために仏を彫ってやりたいなぁ。うん、いい仏ができそうだ」
「ありがとうございます」
そう礼を言う義時。
思えば八重が亡くなる直前に、この二人は出会っていました。
千鶴丸を水死させたことを悔やんでいたからこそ、水死してしまった八重。
一方で義時は生きてはいるけれど、苦悩が顔に刻まれていく。
悪い顔だがいい顔だ。
これは小栗旬さんの演じる義時そのものであり、迷いながら最後まで生きていくんでしょうね。
そして実はそういう坂東武者が他にも多くいたからこそ、ああもたくさんの仏像が鎌倉にある。
そんな仏像の製作背景まで想像できて、贅沢な時間です。
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