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【鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第35回「苦い盃」】
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政範に毒を持ったのは畠山重保だと!?
一方、平賀朝雅は、りくに京都へ戻ると告げています。
彼女がいずれ東山にお参りに行くと返答すると、それならばお供をすると笑顔を浮かべる朝雅。
そして、本題へ入ります。政範の死について、嫌な噂が流れていると囁く。
あまりに突然の逝去であり「毒を盛られたのではないか?」と、りくを騙しにかかる。
「毒? 誰が?」
「畠山重保殿……」
追い打ちをかけるようにして、重保が毒を盛る動機まで説明を始めました。
畠山一門には、武蔵の統治をめぐって北条に恨みがある。父の重忠が揉めている。そのせいだと。
息子の死だけにとても冷静にはなれないりくが「許せない」と声を絞り出すと、朝雅はさらに追撃します。
「重保は自分(朝雅)を下手人だと言いふらしている」
「頭がくらくらする……まことですか?」
「畠山重忠が何を言ってきても信じてはなりませんぞ」
そう念押しする朝雅。
りくは頭がくらくらしているし、血が昇っておかしなことになっている。それでも信じてしまった。
りくは時政をせっつきます。
「政範の仇をとってくださいませ!」
そうはいっても、重忠は時政の娘・ちえの嫁ぎ先です。
悲劇の最期を迎えた北条時政の娘達~畠山重忠や稲毛重成の妻たちは一体何処へ
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忠義者で知られ、人望も厚い。
しかし「自分の血縁ではない!」と声を荒げるりく。
政範は殺されたんだ!と訴え、畠山が彼女のことを北条一門だとは思っていないのだと捲し立てます。
誰であろうと勝手に兵は動かせない
義時は証拠を集め推理をして、朝雅にぶつけてみます。
・あまりの突然死
・死体はすぐさま東山に葬られた
・夏ならともかく、この季節なら京都から鎌倉に運べたはず
さらには、毒を飲んで死ぬと死体の顔色が変わると問い詰めると、相手は「おほほほほ!」と笑い、無礼だと怒ります。怒るところが怪しいんですけどね。
法医学なんてない時代の怪事件を、ミステリにするのは楽しいことです。三谷さんもノリノリでしょう。
義時は時政に、この件に関しては軽はずみに答えを出すべきではないと釘を刺しています。
りくは畠山を討つと言っていると狼狽するばかりの時政。彼にしても、畠山を討ちたくない。重忠はよき息子である。
ただ、政範は大事な息子だった。
義時の隣にいた北条時房も、政範はかわいい弟であったと相槌を打ちますが、それを無視するかのように時政は「畠山を討つから力を貸してくれ」と義時に頼み込んでいます。
義時はキッパリと返す。
「誰であろうと鎌倉で勝手に兵をあげることはできない。たとえ執権であろうと」
軍勢を動かせないことに動揺する時政に、鎌倉殿の下文がなければ勝手に動けないと、手続きのことを説明する義時。
むしろ今までホイホイと軍勢を動かせたことが危険でしたね。
時房は、父に申したいことがあると付け加えます。
「父上、義母上に振り回されるのはもうおやめください。息子として恥ずかしうございます」
「うるせえ!」
途端に怒る時政。義時も、最後のは余計だったと言いながら、その場を去っていきます。
のえに疑いを持つ義村
義時は、盟友の三浦義村に相談しています。りくの入れ知恵のせいで、父が畠山と戦う気になっている。
「次郎を甘くみるな」
あれは優男だと付け加えつつ、壇ノ浦のことを思い出しています。
源義経の命令とはいえ、誰よりも進んで漕ぎ手を殺していたのが畠山重忠。優男だともう一度付け加えつつ、それができる男だとして注意を促しています。
重忠も大したものではありますが、あの激戦でそこまで観察していた義村もやはりすごい。
と、ここで継室のえがやってきて、「縫い物していたアピール」をします。相変わらず、あざといやっちゃ。
義時は妻に盟友を紹介します。悪いところもあるけれど、頼りにしているとか。
「三浦平六にござる」
「今後ともよろしくお願いいたします」
のえの指をチラッと見る義村。用向きは済んだからと、二人で酒を飲むことにします。
「できた女子だ」
義時がデレデレしていると、義村に惚れているのかと尋ねられ、惚れていなければ妻にはしないと返している。
もう嫌な予感しかありません。父の時政が目の前で振り回されていても、自分は大丈夫だと思い込んでいますね。
「だったらいいが」
「なんだ?」
義村は見ていました。のえの指には飯がついていた。握り飯を食いながら裁縫をする奴がいるか。
やはりこいつは見る目がある!
八田知家ではなく、義村がのえを検分していたら結婚していなかったのかも……。
三浦義村の生涯とは?殺伐とした鎌倉を生き延びた義時従兄弟の冷徹
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前回、義村が実朝に語っていた処世術は真実なのでしょう。
遊ぶけど、惚れはしない。相手が深く情けをかけてくれるほど深く付き合わない。冷たいようで重たくないし、短期間、遊ぶ相手としてはいいのでは?
あのわけのわからない処世術講義は、義村と義時の恋愛観の違いを見せる意味もあったのでしょう。
悪いようで、悪くない男。それが三浦義村の個性かもしれません。
ただもう、義時は手遅れですし、これはこれでそういうものかもしれません。
現実問題、家の中をおさめる女性は必要ですし、裏の顔はさておき、表の顔はこんなにも甘くて素敵ですから騙しきればよいだけ。
義時は地位と金を与える。のえは家の統治と子を与える。裏だの表だの愛情だのを抜きにすれば、取引成立です。
千世との結婚生活に馴染めない実朝
源実朝は、和歌を詠もうとするも、調子が乗らないようです。
そんな実朝に向かって、三善康信が素晴らしい御台所だと褒めている。
あのように気高い女性が見たことがない。気がそぞろになるのも致し方ない。
若い新婚の二人ですから、早く夜にならないかソワソワしていると康信は思っているのでしょう。
しかし、実朝はどうもそうではない様子です。
義時は、りくに会うよう政子に声をかけています。
平賀朝雅にあることないこと吹き込まれているから、少し話を聞けば落ち着けるはずと頼んでいる。
政子も畠山との戦は止めたいと訴えます。
実朝は、泰時に妻・初のことを聞きます。
「どんな女子だ?」
「なかなか気の強い女子で、叱られてばかりです」
「不思議だな。文句を言っているのに惚気にしか聞こえない」
確かに千世は美しい。しかし実朝は、雛人形ではなく生身の女性を愛したいのかもしれません。それこそ心の底から恋歌を贈りたくなるような恋をしたいのかもしれません。
実朝は、気晴らしに表をぶらぶらしたいと告げ、泰時がお供をします。
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りくと会って話を聞くように、義時から頼まれた政子は、彼女のもとへ出向きいていました。
と、菊の花を生けていたりく。
表面上は冷静になっていて、3人の子を亡くした政子の前で辛い顔をしたら罰が当たると答えます。
政子は、重忠のことは頼朝も頼りにしていたし、ちえの夫だとしてさらに釘を刺す。
急にどうしたの?
りくが平然としていると、政子は追撃の手を緩めず、畠山を討つなどトンデモナイことだと伝えます。
「ごめんなさい、わからないわ」
あくまでトボけるりくは、政範は急な病死だとして、畠山を討つという話が初耳のような態度を取っています。
さらには、御家人同士が殺し合うのはもうたくさん、と話を打ち切りながら、彼女は手にしたハサミで菊の花までジャキジャキと切り落としていました。
政子との会話など、全く耳に入っていませんね。
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