麒麟がくる感想あらすじ

麒麟がくる第26回 感想あらすじ視聴率「三淵の奸計(かんけい)」

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麒麟がくる第26回感想あらすじ
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吉家の念押し

光秀が家にいると、山崎吉家の来訪を煕子が告げます。

ここでささっと夫に告げる所作が綺麗で、芯が通っています。今年は磐石だ。ほんとうに、何もかもが綺麗だ。

光秀が出迎えると、吉家は突然の到来を詫びつつ、上がることはないと断ります。

その上で、相談があると言い、光秀は目で妻を下がらせました。

吉家は、元服の儀の祝いの宴を設けたいので、御側衆の集まる場に光秀も参加して欲しい、と言うのです。

光秀はここで、何もしていないから「平にご容赦を」と断ろうとするのですが……。

考えようによっては、光秀は愚かで、嫌味ったらしいとも思う。秀吉ならホイホイそこは参加するだろうに、そういう社交の場で就職機会を見つけるとか、不器用ゆえにできないわけです。謙遜しすぎて嫌味でもある。

吉家はプッシュします。

なんと伊呂波太夫も来る、顔を見たいとのこと。そのうえで、明智殿の胸に収めておいていただきたいと前置きしつつ、こう言います。

朝倉一門は団結しておらず、上洛に付き従いたいわけではないのだ、と。

そのあたりを念頭に置かれて、明後日来て欲しいと言います。

そのうえで、誰しも余計な戦に巻き込まれたくないと念押しをします。

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「明智殿も、おわかりであろう」

かくして、光秀は宴に顔を出すことになったのでした。

 


町では戦支度が進んでいない

このあと、光秀は鍛冶屋に来ています。

暇そうだなと、主に声をかけると、仕事がないから働き手は農作業をしていると相手は返してきます。

戦の折は、槍だの鏃だの作った端からお武家様が持っていく。けれども、当分戦はなさそうだね。そう気軽に話す主人に、光秀は「うむ」と応じて懸念を見せています。

これが本作の光秀の、光秀たるところ。

宴会だからと何を着ていこう?と浮かれるとか、伊呂波太夫を思い出して鼻の下を伸ばすとか、そういうことはしません。

自らの目で下調べを敢行する。何気ないようで、光秀らしさがつまった場面です。

そして朝倉館では、宴が始まります。

屏風が綺麗ですね。

撮影、衣装、小道具も今年は練達の技が光っており、見ているだけで満足感があります。

義景は皆に挨拶をします。

烏帽子親になって、上洛の決心も固めた。その後押しをしたのは、阿君丸だそうです。どのように父上を後押ししたのか?と三淵藤英が優しく尋ねると……。

私も京都に行ってみたい! そう言ったそうです。

我が子にそう言われたら行くしかないと、隣に座る義景はご満悦な表情。微笑ましい話で、聞いている伊呂波太夫の頬には笑みが浮かんでいます。

とはいえ、藤英以下、ここにいる皆がそう思ったかどうかはまた別のことですね。

嫡男を自分の隣に座らせたままでいる時点で、義景はかなりよろしくないと思えます。挨拶だけさせて下がらせるとか、他に対処はあるでしょう。

もちろん、我が子を突き放しすぎればコミニケーション不足で破滅する斎藤道三斎藤義龍パターンもありますが。

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義景の意向を真っ向否定の光秀

ここで、朝倉一門の朝倉景鏡が意見を述べ始めます。

元服は末代までの誇り――さりながら、上洛は別の話だと釘を刺す。

義景は、同義だと思っていると不満を隠しません。元服して上洛して、将軍になるところまで見届けてこそ、一つの流れだと言うのです。

藤英も同意します。

けれども、景鏡は三好一族との戦に勝利せねばそうならないと返します。

上杉。

六角。

織田。

松永。

上洛すれば、三好は一日で追い出せると強気な義景。

けれども、上杉は己の戦があり、六角は信頼できないと景鏡は言い返します。そのうえで、そこにいる明智殿は下調べをしていて、山崎も褒めていたと話を振られます。

「明智殿はどう思われる?」

「有り体のままに申すがよい。今日は無礼講じゃ」

光秀は酒で酔っていました。

ここで光秀のかなり厳しい性格が見えます。

「景鏡様の仰せの通りかと」

「松永はどうじゃ?」

「さーて微妙かと」

義景は不安げな顔になっている。音楽も不穏です。

光秀はここで「気になりますのは……」と容赦ないことを言い出す。

戦に向かう国とは、槍等の武器、米、麦、豆を買い漁り、物が市場からなくなるのが常。

それなのに、一乗谷は物が溢れかえっている。どこをみても戦に向かう気配がない。義景にその気があろうが、動かない。

「上洛して戦? 論外かと」

光秀の容赦ない言葉に、緊迫感が漂います。酒を飲み続けている参加者もいますが。

伊呂波太夫は、ここで何か察知した顔になっている。

彼女はメイクも素晴らしい。かなり白く塗って、赤いポイントメイクをしています。妖艶な白い顔が、チラリとのぞくだけでも場の雰囲気が変わる、絶妙です。

ここで藤英は、いけると思うていると断言します。

朝倉が兵をあげれば、諸大名も動く。案ずることはないのだと。

義景もいざとなれば朝倉だけで上洛してみせると断言します。これは上洛の前(さき)祝いと宣言し、伊呂波太夫に歌に合わせて舞いを所望するのでした。

 

伊呂波太夫「義景に上洛の器量なし」

サッと出てくる伊呂波太夫。所作が流れるようで、まさしく流麗です。

けれども、この妖艶な女性の働きは踊りだけではありません。

光秀は縁側でため息をついています。そこへ伊呂波太夫がゆらりとやってきます。

そのうえで、挑発的に退屈な歌と舞であったと顔に書いてあると煽るのです。

光秀は、お歌はともかく、舞は流石だと返します。

「ではご褒美に、少しご一緒してよろしうございますか?」

妖艶さがやはりすごい。会話の糸口を掴んでいるけれども、色仕掛けはしない。

ハニートラップだのなんだの言いますが、仕掛けられても引っ掛からなければよいだけのこと。光秀には通じないと、伊呂波太夫は理解しています。

色気ではなく、別の手段で心を揺さぶる。

朝倉様をよく知っているけれど、一乗谷でのほほんと歌でも詠んでいるのがお似合い、将軍家を支える器量はないと、厳しい審判を下すのです。

普段は愛想良く舞いつつ、そう判断している伊呂波太夫はやはり怖いものがあります。背中には孔雀の羽がついている。地球を回ってきたこんなものを身につける彼女は、情報だって吸い寄せる。見識も鍛えられています。

それからもう一押し。

明智様は不思議なお方だと言います。亡き将軍の義輝様も、斎藤道三様も、松永久秀様も、とどめておこうとする。自分の妹のような駒ちゃんも、明智様の名が出ると顔色が変わるのだと。

そうフフフと含み笑いをする伊呂波太夫は、今週も絶品の酔わせる色気を振りまいています。

「駒殿、息災ですか」

「はい、達者でおります」

光秀はここできっちり、かっちりと生真面目に返す。「えへへっ、駒ちゃんか」というようなデレデレした態度とは無縁です。

「そういうお方が、もう十年近くもこの越前に……そろそろ船出の潮時なのではありませぬか?」

ここで光秀は苛立ち、盃を投げて立ち上がります。伊呂波太夫は人心掌握の達人だから、球をいくつも投げています。

義景への不満?

駒の名を出して情愛の深さを見る?

ここまで投げて、次は野心に火をつけました。

「あいにく船出の船が見つかりませぬ」

「その船の名は、すでにお分かりのはず……」

ここで光秀の目の色が変わる。

高度な心理の攻防が続いています。

織田信長帰蝶様が仰せでしたよ。十兵衛が考え、信長様が動けば、かなうものなしと。お二人で上洛されればよいのですよ。上杉様も、朝倉様も、不要ではありませぬか」

光秀の顔に、ありありと何かが滲んでいます。

静かな水面に石が投げ入れられたように、ざわざわと何かが変わりつつある。

「太夫様、山崎殿がお呼びでございますよ」

「はいはい、ただいま」

伊呂波太夫はここで姿をすっと消します。光秀の目には、決意を固めた光が宿りました。

伊呂波太夫はおそろしい。心理を操り、その人の欲望や答えを引き出します。

前久からはことなかれ主義。駒からは丸薬で人を助けたい思い。そして光秀からは、とてつもないものを引き出したのです。

けれども、成功すると魔法をかけてくれるわけでもない。

現に伊呂波太夫の誘いに乗って、前久は今困り果てているのです。

伊呂波太夫は、フィクサーではありません。ただただ、その人の心の奥底にある欲望を引き摺り出してくるだけ。心を読み、動かす。とてつもない妖婦が現れたものです。

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