麒麟がくる感想あらすじ

麒麟がくる第26回 感想あらすじ視聴率「三淵の奸計(かんけい)」

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三淵の奸計

そして夜――。

密談が展開されています。

三淵藤英が、朝倉景鏡と山崎吉家と語り合っています。

朝倉一門は、分裂しているのです。

一向一揆に手こずっている景鏡からすれば、疲れ切っていて上洛どころではない。

国の中を鎮めることが先決。だいたい金がかかる。兵糧米だって集めねばならない。そんなことつきあいきれないと。

家老の山崎吉家も、同意している。

藤英は朝倉家に過分の負担をかけるつもりはないと穏やかな口調で言います。恩義も忘れないと。

願わくば、互いの行く末に悔いを残さぬため、知恵を出し合えれば幸いだとまとめるのですが……。

このあと、越前・朝倉館の台所になります。

こういう調理器具や食事の場面はなかなか大変だとは思いますし、眼福そのものではあります。こういうところが見たい! とはいえ、無意味に食事を用意させるわけがないのでありまして。

「よし」

毒見役の侍女がそう言い、海老の入った汁を配膳する侍女に渡します。

そして運ばれていった直後……。

「うっ!」

毒見役は苦しみ出す。

すると別の侍女が介抱するように誰の目が届かぬところへ連れ出し、苦しむ毒見役がこときれ、声が出せぬよう口を抑えているのです。

ここで口を抑えるほうの侍女の切羽詰まった顔がおそろしい。こんな侍女まで入り込めるのですから、朝倉家が磐石でないとわかりますね。

カメラは、毒の入ったお膳を見据える侍女目線で動いてゆきます。

阿君丸は海老入りの汁を捧げられ、飲んで「うまーい」とニッコリ。母の小宰相も微笑ましく「ふふ、よかったのう」と我が子を見ています。

と、ここで椀が床に落ちる。

阿君丸が倒れ、苦しみだす。

小宰相も侍女もあわてふためいています。

義景のもとにも、この悲報が届けられました。

この場で動揺を見せる山崎吉家のおそろしさよ。何もかも知っていて、毒見役を殺した侍女を手配したかもしれないのに、動揺するふりをしている。

義景が慌てて駆けつけると、そこはおそろしいことになっています。

まだ幼い少年の死に動揺し、謝るばかりの声。

「申し訳ございません、申し訳ございません!」

「阿君……」

これが三淵藤英の考えた知恵でした。

 

すっかり抜け殻になってしまった義景

一ヶ月後――。

義景は気が抜けてしまっています。

部屋には阿君丸のネズミである忠太郎がおります。彼は抜け殻になっていました。

山崎吉家がやってきて、三淵藤英が挨拶に来ていると告げます。

御一行が明後日、美濃へ出発する挨拶だそうです。

あっさりと通すし、おまけに阿君丸の弔いの折には義昭様が足を運んでいただいたことに感謝までしています。

当然、その三淵藤英が我が子を殺したとは知っているはずもない。

上洛には我が家も不幸の最中ゆえに関われないといい、織田信長如きが足利義昭様を支えられるかどうか、見ものだとマウンティング宣言をします。

こういう人は結構いますね。理詰めで反論できなくなった時、観客になるぞ宣言をして、謎の勝ち誇りをする系です。

そんな義景のそばで、藤英と吉家が目だけで何かを伝えているのがおぞましい。

光秀の家には、藤孝が来ています。

なんだか熱血すぎて暑苦しい藤孝と、穏やかなようで奸計も使う藤英という兄弟のコントラストが強烈になってきました。

藤英が弟に計略を告げないことには、性格を配慮した部分があるのでしょう。

こういう役をこなせると指名された谷原章介さんは、本当に素晴らしいと思います。

光秀が支度を整えてくる。

お子たちは一緒に来ぬのかと尋ねられ、後からゆっくり参ると光秀は説明します。

山崎殿は、夜逃げのように去らなくともよい、国境まで送ってくれるとのこと。義景への挨拶はしないほうがよいと。

山崎殿が上洛せずに済んでほっとしているだろうということは、わかっています。

「しかし、誰が阿君丸様を……」

光秀はそう怪しむ。確かにそこは気になりますね。

藤孝は私にも6歳の子がいるから胸が痛むと言います。

もう6歳かと光秀は言い、たまも6歳だと言います。

のちの細川忠興とガラシャ夫妻、このころはまだ6歳ということになります。

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光秀は娘たちに、険しい山に気をつけろと語りかけ、愛おしそうに頭を撫でます。

母上とともに気をつけて参れと言います。

かくして、上洛への旅が始まりました。

永禄11年(1568年)7月、織田信長のいる美濃へ出発する一行。京は間近です。

 

 

MVP:阿君丸を殺した人々(三淵藤英・朝倉景鏡・山崎吉家)

もちろんこの3人が主犯とはいえ、光秀が義昭の美濃行きを決めたがゆえの謀殺でもあり、複雑です。

誰が阿君丸を殺したのか?

彼の命は高いのか、安いのか?

そう考えてしまう。

子どもの生々しい死を前にして、こういうことを思う自分が邪悪だし、いろいろと失うものがあるだろうとは思えるのだけれども。

確かに、これは知恵を絞った結果であり、最善の策ではある。

子どもと毒見役の命ふたつならば、安い買い物とはいえる。

藤英は宴の席で、父の後押しをしたと阿君丸が語ったあたりで、失望とともに弱みを握った痛快さもあったのかもしれない。

だって、あんなに堂々と、義景に反感を抱いている者の前で愚かなことをしたのだから。

あの瞬間、義景は自分の弱点をむざむざと晒しました。

人間誰しも愛着はあるし、そのことを表明もするけれども、それは時に危険でもある。麒麟が来ない乱世では、特にそうです。

義景は我が子を愛する、ちょっと抜けたところはあっても善良な人物です。

ただ、乱世を生きていく大名に適していないだけなのです。

本作はおそろしい。歴史をもとにして考えることの邪悪さ、下手すれば転がっていってしまう落とし穴を示している。

こういう人の命に値段をつけるような思考実験を、要所要所でやらかす。

今までも暗殺の場面は何度も出てきました。残酷だけど、それで戦が回避できるのであれば効率的であると。

そうやって人の命を貨幣のように思うことそのものが、乱世のようで、人間性の摩耗なのだと思えてきました。

それを気にしないと明確にされている人物も複数名出てきている。

家康の場合、父の首すらそうできた。

最終盤、妻子を信長によって失ったとき、彼はどんな反応を示すのでしょうか。

この3人を演じた谷原章介さん、榎木孝明さん、そして手塚とおるさん、みな素晴らしい演技でした。

 

総評

戦国時代って、ロマンがあって、かっこよくて、皆がかっこいいというイメージがあるとは思う。

それをひっくり返して、人間の身勝手さや愚かさが伝わってくる作品になりました。

将軍候補者ですら、銭すら足りずに粗悪なものをかき集めている。

そういう劣悪な環境だろうと、権力争いを止められない公卿たち。

阿君丸を殺しておいて、それでも知恵を絞った結果だとして、目配せしあう三淵藤英と山崎吉家の邪悪さ。

光秀自身も、だんだんと、どこかいびつになってきてはいる。

戦争に備えていない一乗谷は気がゆるんでいると彼はいうけれども、市場の動きが止まって物資不足になるくらいでないといけないって、なかなか酷いことを言う。

戦争には悪いことがたくさんある。物も命も破壊する。のみならず、人間の精神を破壊し蝕み、とりかえしがつかないくらいいびつに変えてゆく。

その様がまざまざと伝わってきて、本作がどんどん怖くなってきました。

本来、戦争の続く時代は気軽に考えてはいけないのかもしれない。

昔、戦争を題材にしたゲームで遊んでいて、手が止まってしまったことがあります。

数字が減っていくだけ、そう思って遊んでいるけれども、減った数字は命の数ではないのか?

この武将にしたって、人間の存在に数値をつけ、ランキングをつけて、遊んでいる。能力が低いものを軽んじるようになるのでは?

そういう懸念に、その通りだと叩きつけるようなこのドラマ。大河ドラマをまったく新しいようで、普遍的に変えていくような試みを、毎週感じています。

そんな斬新な作品を支える技術については、noteの記事でどうぞ。

◆大河ドラマとVFX(→link

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文:武者震之助
絵:小久ヒロ

【参考】
麒麟がくる/公式サイト

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