麒麟がくる感想あらすじ

麒麟がくる第38回 感想あらすじ視聴率「丹波攻略命令」

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ご機嫌の信長と面会

京の妙覚寺に、明智光秀が向かっています。

廊下では宣教師とすれ違いました。受け狙いで目立つタレント外国人枠を使わない本作は素晴らしい。

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待ち受ける信長は、ニヤニヤしていました。

最終章に突入して、信長がありのまま、持ち前の子どものようなところを出していますね。

このニヤニヤ……爽やかなスマイルじゃない。

ハッキリ言えば、ちょっと気持ち悪い。心の底にある喜びが顔に出ている。

猫が喉を鳴らすような顔になる。そんな演技ができるからこそ、染谷将太さんの信長ですね。

カッコいい天下人ではない。なんだか、一々挙動不審でなければいけないのです。

光秀が「御免」と入っていくと、信長は嬉しくてたまらない様子。バテレンの土産として、世界地図を見せます。

あの者たちはここから参った。ルソンやゴアより向こうの地の果てから来た。己の信じる神の教えを広めるためじゃ!

しかし信長はバテレンよりも、光秀のことで頭がいっぱいなのか。光秀と話した大きな国のことを持ち出します。

そういう大きな国を目指す自分たちのように、途方もない夢を見る。だからこそ、バテレンが気に入ったのかもしれない。

そう思わせるほど、信長の光秀への圧倒的な信愛すら感じるのです。

手を出させ、ポルトガルの味だと金平糖を差し出す信長。

実は三英傑(信長・秀吉・家康)は甘党です。

個人的な趣味というより、砂糖が権力そのものだったという側面もあります。

男は甘いものが嫌いだなんて、そんなものは後世の偏見なんですね。

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血糖値に気を配りつつ、甘いものを食べましょう。

 

武将一人の命と美濃の平定を天秤に

このあと、信長はジリジリと光秀に接近していく。

距離の取り方が独特です。

そして稲葉一鉄家臣・斎藤利三のことを持ち出しました。

利三が光秀のもとに逃げ込んだと聞いた。理由はいろいろあろうが、稲葉は腹を立てている。稲葉は美濃の国衆をよくまとめている。面倒は避けて、ここは和やかにおさめたいと。

利三が戻れば稲葉一鉄に斬られる。光秀はそう反対します。

対して信長は、それもやむを得まいと言う。一人の命と、美濃を無駄に騒がせることを天秤にかけるのです。

【トロッコ問題】ってありますよね。

ああいう問いかけは、歴史を紐解けばいくらでも顔を出します。

けれども、仮定やたとえ話ではなく、実際に血が流れた事例を見ていくと、不愉快になることもあるでしょう。ましてや目の前でやられたら、投げられただけでも不愉快になります。

そういう命を天秤にかけ、将棋の駒や碁石のようにポンポン決断を下す人間。迷いなくそう言い切る人間とは、反発を買うこともあるのでしょう。

光秀はむっとしつつ、殿が一人の命を大事にすれば、穏やかにおさまりましょうと言い出しました。

思わずムッとする信長。一人の命を大事にしている、それゆえ公方様も手に掛けず、丁重に若江城に送り届けたのだと。

「丁重に?」

光秀はますます怒りを募らせている。

木下藤吉郎が義昭を引き摺り出し、若江城まで着の身着のまま歩かせた――武家の棟梁とは思えぬ仕打ちであり、戦に勝ってもあれでは諸大名を心服させられないと反論します。

けれども、信長には通じない。いいから利三を返せと、イライラするばかり。

信長としては、バテレンの話で盛り上がって楽しい時間でも過ごしたかったのかもしれません。小さなことだと言っていたし、そういう気持ちはあったのでしょう。

しかし光秀は譲らない。その儀は受け兼かねると言います。

 

丹波を攻略せよ

光秀は、紙切れ一枚で三淵に死を命じたことへの恨みまで持ち出しました。

信長からすれば「関係ないだろ!」となりそうですが、光秀の中ではずっと燻っている。

一年後、二年後、我らの想いを伝えていれば、世を押さえられたかもしれぬのに、切った! 公方様が不在で武家の棟梁を早く決めねばならないのに! そう怒っております。

それもわかる。有職故実というものがあります。

行事のとき、ここはどうしたのかと確認するうえで、三淵藤英はものすごく役だったはず。それを殺してその損失がわかっているのか! そう言いたいのでしょう。

しかし信長にしてみれば、そもそも伝統とか行事とか、あるいはルールなんて、どうでもいいタイプです。

「もうよい、帰れ!」

遂には怒りを爆発させました。

信長は悲しい。せっかく金平糖を食べて、楽しくバテレンのお話ができるはずだったのに。何もかもぶち壊しだ!

「帰りまする!」

「捨ておけ、帰りたい者は帰らせろ!」

決裂しましたね。

しかし信長はここで「うーん……うーん」と悩んでいます。

「ぐずぐずするな、呼び戻せ!」

なんだか斎藤道三も似たようなことを光秀としていたっけ。

けれども、呼び戻すところが彼らのやり方。もしも斎藤高政のように見送るだけですと、切ないハートブレイクが待ち受けています。

信長は、またちょっと気持ち悪いニヤニヤを浮かべつつ、南蛮服を手にしています。

光秀がむっつりしながら戻ってくると、「わしには似合わぬからそなたにやろうと思って取っておいた。持って行け」と言い出します。

戸惑いつつ受け取る光秀ですが……一体何が起こっているのか?

信長がバテレンに好意的であった理由が、光秀と自分と似ているという感情由来に思えてくる。バテレン服を着るのも、信長でなくて光秀。信長の光秀への愛着がすごいことになってきました。新しい描き方だ……。

そのうえで光秀を座らせ、今度は大きな話だと持ち出します。

佐久間や細川と、河内国の三好の一党を平らげた。そのことを見事だと褒め、信長も伊勢長島一揆の息の根を止めた、南側の敵はほぼ抑え込んだと言い出します。

手付かずで残ったのは、西隣の丹波――ここは公方様の息がかかった国衆が多い難物。ここを光秀に任せると言います。与力には細川藤孝をつけるとも。

「そなたならやれる。何年かかってもよい、丹波を抑えこめ。利三の件は、わしから稲葉に話してみる」

かくして、一人の命を救うのと同時に、丹波攻略を任せられる光秀なのでした。

 

南蛮姿は奇妙か?

坂本城では、岸とたまの姉妹がいたずらっぽく笑っています。

母の煕子が「何がおかしいのです」と聞くと……。

なんでも父上が、随分と妙なお姿をしているのだとか。

姉妹は「たまにはああいうお姿もよいかもしれませぬ」なんて言い合い笑っています。左馬助まで思わず笑みが漏れてしまい、煕子が驚く。

ここで光秀が出てきます。

南蛮服で、ヒールのある靴まで履いてしまうばかりか、タイツまで着用!

服装というのもおもしろいもので、ヒール付きの靴にせよ、ストッキングにせよ、かつては男性も着用していました。

むしろ脚線美を求められたのは、ハッキリとそれがわかる男性であったものです。コッドピース(各自お調べください)がないだけ、この衣装はまともですね。

「どうだ? やはり奇妙か?」

そう真面目に尋ねる光秀。

煕子以外は笑ってしまいます。こんなに無邪気で明るい人々の行く末を思うと、感じるところはあります。

京都で見た南蛮人のようだと意見を言う煕子。

なんとも貴重かつ、問題提起でもあると思います。

みなさん南蛮服の信長を当然のもの、お約束、カッコいいものとして受け止めておりませんか?

けれども、それは妥当なのかどうか。後世のイメージもあるのかもしれませんよね。そこまで考えてみるとおもしろい。

ちなみに南蛮マントの信長といえば、Amazonプライムの『MAGI』における吉川晃司さんも素晴らしい。こういう従来の定番信長と、本作の信長の比較も興味深いものです。

そうそう、信長といえば。

染谷さんの演技のおかげでSNSやネットで“ノッブ”という愛称がついたとする、そんな記事もあるようです。しかし実際は、織田信長への愛称として、かなり以前から大手掲示板ユーザーを中心として使われていました。

彼の過去作品、配偶者のことを取り上げるニュースもあり、話題性や需要は理解できます。

ただ、それよりも目の前の演技を見て本質を考えてゆきたいとは思うところです。

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