『真田丸 完全版ブルーレイ全4巻セット』/amazonより引用

真田丸感想あらすじ

『真田丸』感想レビュー第2回「決断」 コメディおりまぜ視聴者を振るい落とす決断やいかに

こんばんは、武者です。続々と本作関連ニュースも出てきました。毎度出てくるエロが最終兵器という記事は無視します。

私の心の琴線に触れたニュースはコレ!

◆「真田丸」冒頭の迫力シーン ハリウッドの最新技術「ロボット馬」を使用(→link

ロボット馬だーっ! 過去大河をオマージュしつつ、ノブヤボコラボといい、こういう滑らない新要素を取り込む精神が好きです。

そして視聴率ですが。

◆【真田丸】初回視聴率、関東19.9%、関西20.1%(→link

事前予想と目標では、年間平均『軍師官兵衛』+1〜3%を目指して欲しいと書きましたが、初回で『官兵衛』初回+1、最高+0.5ですので達成できそうです。

地元長野では30%超えです。

◆「真田丸」好発進32.4%…県内視聴率(→link

くどいようですが大事なのはクオリティです!

◆「真田丸」武田勝頼役の平に賛辞殺到(→link

メディアからも高評価な武田家最期の当主・勝頼

メディアからも高評価な武田家最期の当主・勝頼

◆2016年の大河ドラマ「真田丸」が名作の予感! キャスト、脚本、音楽の魅力を徹底分析(→link

大河ドラマ『真田丸』第一話 歴史オタ絶賛の内容だった!(→link

「真田丸」解説わかりやすいと評判(→link

◆NHK大河『真田丸』、三谷幸喜の脚本は歴史的に非常識?(→link

と、概ねニュースも好意的です。一番下に関しては、昨年の今頃いきなりパソコンフォントに突っ込むニュースがあったことを考えると、遠い目になりますね。

◆「真田丸」で大抜てき! 声優・高木渉への反響にNHKも驚き(→link

昨年はナレーションで声優さんを起用しましたが、話題になったのは序盤だけでした。

今年はいかかでしょう?

先週見た限りでは、良い味を出していて私も期待しています。

とはいえ、序盤はご祝儀的な好意見が多いのは毎年のこと(昨年ですら第一回を絶賛する記事はありました)。

特に今年は昨年の反動で、空腹という最高のスパイスが脳内でどばどば出ていて何を見てもうまい、最高だと絶賛してしまう傾向がある気がします(自分も含めて)。

そして現地も盛り上がっています。

真田信之:夫婦石像の沼田公園にお目見え(→link

大河主人公のきょうだい夫妻の像をゆかりの地に建てるといえば、何かそんな企画がどこかであった気がしますが……こちらは無事に建立され名所になりそうですね!

今回のレビューの前にお断りがあります。

今年は昨年のようにねちねちと「ありえないだろ!」と考証に突っ込むことはしません。

その道の実力者である時代考証の先生が複数ついており、しかもしっかりと三谷さんと話し合いを行い、チェック機能が働いているからです。

諸先生の判断にケチをつけてもかえってこちらが恥をかくだけですので、火傷する前に手を出さないと宣言しておきます。

本作について勉強するのには、時代考証三氏の本を読むのが近道なので、今更つついても天に向かって唾を吐くようなものなのです。

【TOP画像】
『真田丸 完全版ブルーレイ全4巻セット』(→amazon

 


シェフの気まぐれメニューがすべらなければ期待

昨年はその道の研究者も見放しあきれ果て、考証担当者が公式サイトで怒りのデス解説を展開し、あのCPが史実なんてどうでもいい的なことを堂々と口に出していましたので、今年とはまったく事情が別だと書いておきます。

個人的な考え方ですが、大河における各人の役割を飲食店でたとえると、

◆主人公=メインの食材

◆考証担当者=契約生産農家・食材提供者

◆脚本家=料理人

◆政策統括(CP)=マネージャー

のようなものかと思います。

「三谷さんの料理センスはどう?」と問われたら、私は「味のよい素材を、素晴らしい生産者から提供されているのですから、素材のよさを生かしてください」と注文したいところです。

屋敷Pは前作のCPと違って、メニューにはあまりには口を出さず、店の見栄えやBGMにこだわるタイプのようです。

シェフのきまぐれメニューで事故でも起こさなければ、今年の大河レストランはなかなかの味を提供してくれるのではないでしょうか。

もうひとつ、言葉使いです。

現代風なのは仕方ないと思います。完全に再現したら『タイムスクープハンター』のように字幕が必要になりますからね。

ただし、女性登場人物の女言葉は私も実はひっかかっていて、できればない方がよいかと感じてはいます。

女言葉はどうしても人工的に作った不自然なものの気がして、かえって古くさく感じるといいますか。

放映前まで本、ニュース、公式本を読み、わくわくしながら迎えた日曜。新聞のラテ欄もまともで安心します(昨年は恋の神が舞い降りるとか、ドレスで光の世界とか、ものすごいポエムを読まされたので……)。

先週に続けてアバンなしでOP。信繁が理想の城を持っていたら、ということがコンセプト。バイオリンソロから始まり、音が重なりゆくテーマ曲は、信州の山奥から天下に打ってでる真田一族の運命と重なっているような気がします。

本作は六文戦をバックに文字が出て、ナレーションが読み上げるところから始まります。あらすじがわかりやすく、どこか懐かしい演出です。

今週は岩櫃城を目指す真田家ご一行からスタート。

危険の少ない平坦な道を行く兄・信幸に、弟の信繁は山道ショートカットがよいのにとこぼします。

兄弟の性格の差は、こうしてちょくちょく出てくるようです。

生真面目お兄ちゃんとは性格的に反対な主人公・信繁

生真面目お兄ちゃんとは性格的に反対な主人公・信繁

 


足をひっぱる京都出身のおかあさまと最近鬼門の女性キャラ

兄弟の母・薫は歩き疲れてしまい(装束が甲冑並に重たそう)、もう無理だと言い出します。

薫は京都からやって来た時は、信州の景色を見ながらなんという田舎かと思ったものだが、今はここが故郷としみじみと言います。

松役の木村佳乃さんは乗馬をマスターしております。

薫には、大納言である菊亭晴季の女(むすめ)という記載もありますが、これは流石に身分が高すぎるので信憑性はないとされています。

ただし最近の研究では彼女を「京の御前」と記載した史料が発見されており、京都出身であることは確定しているとのこと。

武田信玄の正室である三条夫人は公家の出身ですから、その侍女として甲斐まで来ていた女性が、昌幸の妻になったのではないか、などと推察されています。

ちなみに信幸の次男である信政の側室である小野国子は、京都の才女・小野お通の娘です。

お通自身も信之の側室説があります。真田一族と京都の女性はなかなか深い関わりがあると言えるでしょう。

薫をなだめすかして何とか進もうとする一行。

すると薫の足下にぶすりと矢が刺さります!

このあたり、松が偵察していたのに駄目じゃないのか、隠れていたら偵察したって見つけられるわけないじゃないと、姉弟で会話が入ります。

このコントのようなやり取りは、賛否両論かなというところ。緊迫感が欲しい人も絶対に出てくるでしょう。

とりあえず女性キャラは鬱陶しくなりそうな予感……今回初登場の阿茶局あたりを見て、判断しましょうか。

山賊に囲まれた一行。

身代金狙いではなく、兵糧狙いと判断した信繁は、薫の衣装箱を開けて高そうな装束を投げ捨てて注意を惹きつけ、なんとか撃退に成功します。

岩櫃の昌幸には、勝頼たちが岩殿に向かったという知らせが届きます。

小山田信茂が気にかかる昌幸は、佐助に様子を探らせに向かいます。

温水さんの小山田信茂が、何とも怪しくて……

温水さんの小山田信茂が、何とも怪しくて……

田野村にまで追い詰められた勝頼は、天命を悟り木賊山(天目山)に向かうと決めます。

この山はかつて勝頼の先祖・信満が自害し甲斐武田家が滅亡したところです。再興された甲斐武田家はまた同じ地で滅亡することになります。

真田家一行は、百姓に化けて進むことを提案。薫は立腹しております。

顔に泥を塗るように言われて怒る薫ですが、とりや松は割とノリノリで塗りあいます。

信幸は、薫は気品があるからとおだてながら、泥を母の顔に塗りつけます。そこにどこかの武士らしきものがやって来ますが、とりの演技もあってあっさりと引き揚げて行きます。

一難去ってまた一難、武士の一行がまたやって来ます。

ところが薫が臭い演技をした結果、綺麗な扇を懐から落としてしまいピンチが!

下馬した武士は、本当に武士なのかと問い質します。ここで松、相手が小山田の家来である小山田八左衛門だと気づきます。

八左衛門は助けに来たのだとさわやかに語ります……喜ぶ一行ですが、さわやかすぎる気がする、と思っていたら信繁も同じように怪しんでいます。

田野村の勝頼は、滝川一益に攻められ覚悟の自害を果たします。

死を目の前に父に詫びる勝頼の目の前に、信玄の亡霊が浮かび上がります(演じるのはこれが遺作の林邦史朗さん、長年大河の殺陣を担当されておりました)。

父の幻に振り回された一生でした。

「四郎を、たっぷり叱ってくださいませ……」

という台詞が何とも哀しい。コメディセンスが持ち味の三谷さんですが、びしっと締めるところは締めます。

ただ、編集が残念な出来で平さんの熱演がもったいなかったかな。

勝頼の描き方を見ていると、勝頼同様残念な敗者扱いされる秀次、三成、そして秀頼らもきっちりと描かれるのではないかと期待できます。

ついに天目山で命尽きた武田勝頼

ついに天目山で命尽きた武田勝頼

重要人物が亡くなると皿が割れるとかそういう演出はよくありますが、本作では昌幸が脳トレに握りしめている胡桃が割れ、照明が消えました。

そしてここにも信玄の亡霊が。馬の嘶きと蹄の音が入るのが、武田らしい演出です。

ちなみに信玄公の亡霊は、関ヶ原ウォーランドという素晴らしいレジャー施設にも出没しておりますので、興味のある方は是非ご訪問ください。

◆関ヶ原ウォーランド(→link

◆「どうして信玄公がいるの?」(→link

そこへ佐助がやって来ます。

昌幸は勝頼の死を悟り、ここへ来てくだされば……とつぶやくのでした。

昌幸は泣くわけではありませんが、涙が目に浮かんでいます。死を悼むだけではなく、何を託されたのかと自問自答する昌幸。

 


武田の軍師が家康に返り咲く?

一方、新府城には、徳川家康がやって来ています。

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「武田が滅びたのはめでたいことじゃが、ちっともうれしくないのは何故だ!」

と叫ぶ家康に、一部の視聴者は「そりゃアンタ九年前は武田家に仕えていましたし」(『風林火山』)と突っ込んだと思います。

家康はしんみりと武田の滅亡をしのんでいるのですが、ついうっかり焼けて熱い香炉を拾ってしまい火傷を負います。

ちょっと間抜けではあるんですが、私も同じ事をよくやらかすので親近感が湧きましたね……ここで本多正信(大阪一のお父様から徳川一の謀将にクラスチェンジ)が、火傷に効く薬があると勧めて喜ばれます。

家康は健康オタクの薬マニアですので、ちょっとした火傷も気にするということでしょう。

小心者ぽくは見えるのですが、その慎重さゆえに天下を取れたと見ることもでき、チンピラ臭い嫌な奴にはなっておりません。

一方、八左衛門の向かう方向が甲斐に戻る道だと気づいた信繁は、八左衛門に質問をします。

八左衛門ニヤリと笑い「生け捕るのじゃあ〜」と本性を剥き出しに。大ピンチだと思っていたら、「捕らえよ!」と叫んだ八左衛門の肩に矢が刺さります。

「迎えに参ったぞ!」

父ちゃん、やっぱりカッコイイ!

父ちゃん、やっぱりカッコイイ!

なんと昌幸です。

やはり父上はカッコイイ!

佐助も参戦し、アクロバティックに戦います。

堺さんは『塚原卜伝』主演経験のためか、殺陣がちゃんとしています。

相変わらず薫は邪魔アンド絶叫要員。鬱陶しくはあるのですが、薫にがばっと抱きつかれた昌幸は実にうれしそうで、奥様としてはとてもかわいらしいんだと思いますよ。

この状況下では京出身であることが足手まといそのものなんですが、平時は「かわいらしくてセンスもいい、自慢の妻!」ってところかな(そうでも思わないと薫が不憫ですし、ね)。

一方でゴッドマザーとりは余裕綽々です。

喜ぶ一行の中、真面目な信幸は勝頼について父に尋ね、その死を悼みます。

信繁もまた、穏やかな顔ながら胸中複雑なようです。素直なようで、感情を表に出さない性格なのでしょうか。

徳川の陣では、家康が茶を阿茶局に淹れさせてくつろぎモード。

健康マニアらしく、薬研が傍らに老いてあります。

今日は疲れたからもっと茶をと所望する家康に、阿茶局はよい顔をしません。お茶って、当時の人にとってはカフェイン入り健康ドリンクのような感覚もあるでしょうし。阿茶局はツッコミ要員で「裏切り者は嫌だとか言うけど、唆しているのは誰だっていうのよ」とか何とか、ぶつぶつとつぶやいております。

家康は穴山梅雪に面会しなければいけないけど、ああいう裏切る奴って嫌いなんだよね〜、と石川数正に愚痴ります。

「あんなふうに裏切る奴うちから出たらたまんねえよな〜」と言う家康に、「もちろんですよ!」とさわやかな数正……今後の展開を考えると実にいい笑顔だ!

「分かる奴だけ、分かればいい」(『あまちゃん』の花巻さん)ですね。

このあと家康、満面の笑みを浮かべて梅雪を接待する場面はサラリーマンコメディみたいです。

武田家の重臣ながら真っ先に飛び出した穴山梅雪

武田家の重臣ながら真っ先に飛び出した穴山梅雪。御家存続という観点からは正解な判断だったかもしれません、このときは…

勝頼を裏切った小山田信茂は、信長の嫡男・信忠に面会。

これからよろしくお願いしますと頭を下げる信茂ですが、いきなり腕を捕まれます。

信忠は「おまえみたいな裏切り者はいらん、斬首せよ!」と死刑宣告。

一益が親切に「他の奴らは調略で裏切ったけど、お前はただ情勢にびびって裏切った卑怯者だから、死ぬしかないよな」と親切に解説。

こういう事情があるから、事前に寝返る先に接触しておく必要があるんですね(昌幸も北条相手に書状を送りやりとりをしておりますので、岩櫃に勝頼が来たらもしかすると、というのも否めないよね……『あまちゃん』のベロニカ)。

信忠と一益は、とどめとばかりに信茂に対して勝頼の首を見せ付けます(桶入り)。

先週彼が裏切った時、「なんて奴だ!死んでしまえ!」と呪詛のようなつぶやきをしていた人もいると思うんですが、これは見ていて「ここまでやれとはいってない……」と引いているかもしれません。

舞台劇のようなセットや演出も手伝って、もの凄いブラックコメディを見ているように感じます。

絶対に賛否両論だと思いますが、個人的にはこういうの、好きなんだなあ。オチに斬首が使えるコメディなんて、時代ものじゃないと無理ですもんね。

と、思っていると松の夫・小山田茂誠が悲痛な顔でおののいており、これまた肝が冷えるのでした。演じる高木さんは、ここは声優出身なのに声ではなく、顔芸で頑張っています。

 

いつも切り返される真面目なお兄さん……

真田家中は、今後の去就を家臣に尋ねます。

そのやりとりを外で信繁と三十郎が会話中。

華々しい討ち死にについて語る三十郎に対し、甲斐領を治めてから攻めて来るからまだちょっと時間はあると信繁は説明します。

能天気なようで、きっちり自分の頭で考えております。

結局、家臣と話し合っても結論は出なかったのか、昌幸は息子二人を呼び出します。

昌幸「武田家が滅びてしまうなんて、わしは己のふがいなさを責めるのみじゃ」

信幸「何をおっしゃいます! 父上に非はございません!」

昌幸「いや、わしもそう思うんだ」

信幸「えっ……」

えっ?

えっ?

こんなの笑うしかねーだろ! この三人の会話、信幸兄さんが真面目なツッコミ役、昌幸と信繁は天然ボケっぽい演出になっています。二対一でボケ優勢はつらい。

昌幸は勝頼が自分の岩櫃撤退案を受け入れなかった以上、織田と戦う理由もないと結論づけます。そこで二択。

上杉:領土も近いし、織田との緩衝になる真田なら迎えてくれるはず

北条:以前からやり取りもしているし(武田を裏切っていたわけじゃないぞ、とここで昌幸の苦しい言い訳)、きっと暖かく迎えてくれるはず

というわけで、どちらもメリットがあって決められないから赤と黒のくじ引きをして決めると迫る昌幸。

信幸はドン引きしていますが、信繁は大はしゃぎ。

そんなことをくじ引きで決めていいのか戸惑う信幸に「大事だから神頼みだ!」となんか妙な説得力で迫る昌幸。

信幸は意を決して引こうとするのですが、決められません。

そりゃそうですわ、と思っていたら昌幸が今更「こんな大事なことくじで決めていいのか」とか言い出します。私が信幸なら胃に穴が空くわ!

信繁が「上杉にしましょ!」と理由を語りだし、信幸が駄目出し。

上杉:織田との緩衝になるっていうことは、真っ先に織田と戦うことになるぞ!

北条:北条は既に織田に臣従しているから、織田に突き出されるぞ!

真田家……駄目じゃん!

終わってるじゃねーか!

昌幸、くじを燃やして「わしゃ決めた!」と絶叫。

「どちらにもつかん。織田も迎え撃たん。真田は織田につく!」

あ、その手があったね! ここまでギャグテイストなのに、「敢えて火中に身を投じるのだ」からの台詞、信長に面会に行くと宣言する昌幸はカッコイイのである意味反則です。

 


今週のMVP:小山田信茂

あまりに最期が酷くて(褒めています)、画面の前で凍りました。

親切かつ残酷な解説をする滝川一益も好きです。

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総評

今作はおそらく最高視聴率は初回ということになるかと思います。二週目でふるい落としにかかってきたからです。

アンチも大量に発生し、感想コーナーなどは嵐が吹きすさぶように荒れると思います。これぞ乱世の極み、というくらいに。

三谷色が薄かった先週と比べ、今週は45分ほぼコメディ色びっしり、やけにハイテンションでした。この雰囲気が嫌いな人は今週ごっそり抜けると思います。

私も正直、真田一家コントはあまり好みではありません。

特に松と薫が重度のアホネタキャラにされており、今後鬱陶しくなる予感がひしひしとあります。来週新登場のきりも不安要素です。

しかし、ゆかいな徳川家、オチが斬首の小山田信茂、そして真田父子のくじ引きコントは嫌いではありません。

笑わせには来ていますが、かなり情報量が豊富です。

事前に交渉して裏切ったらセーフでもそうでなければアウト、上杉と北条につくメリットデメリットと、きちんと説明されているのに説明台詞に聞こえないのは流石です。

エンタメ要素も盛り込みながら、戦国をわからせる巧みな作りになっていると思います。

生徒を笑わせながら授業をする歴史の先生みたいなドラマになっています。

そもそもに真田含め、本作は敗者ばかりのドラマです。

その悲哀を端正に茶化さず描いたら、『八重の桜』の時のように「辛気くさい」「真面目過ぎる」「見ていて暗い気持ちになる」「エンタメとしては駄目じゃん」って言われると思うんですよね。

暗くなりがちなシリアスな時代を滅法明るく、というアプローチはありではないでしょうか。

ここでふと思い出したのが、ノンフィクション作家の高野秀行氏の著書にあった話です。

悲惨な紛争地域に暮らす人たちは、いつも暗い生活を送っているのかと思われがちだけれども、実際に行ってみると、明るくあっけらかんと生きている、と。

あまりにハードモードだから悩んでも仕方ないじゃん、ってなるのかも。

昌幸や信繁のハイテンションも、「どうせ明日死ぬかもしれないなら、明るく生きるぜ!」という、絶望しすぎてハイになっちまったということかもしれません。

二年連続このネタかよ、って我ながら思うんですけど、この『マッドマックス 怒りのデスロード』も世界観が本当に悲惨なんですよ。

そんな中で戦っているお兄ちゃんたちは絶望に開きなおっちゃって、「ヒャッハー!」「V8!V8!」と叫んだり、火炎放射するギターをかきならしたりして、それなりに楽しく生きているように見えるんですよね……どう生きても、考えに考えても明日死ぬかもしれないんじゃね、と思ったら明るく生きてもいいんじゃないかな、という解釈でいいやと思いました。

乱世の極みはハイテンション、ということで!


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