まずはニュースから
ふぅ~。
今なお心揺さぶられる名作の話はさておき、行ってみますか。
まずはニュースから。
◆「西郷どん」第41話は11・8%、4週連続で2ケタ視聴率(→link)
うはぁ。「4週連続で2ケタ視聴率」って、いくらなんでも惨い見出し。
苦しい、苦しいなぁ。
◆「西郷どん」視聴率1桁! 安倍消費税増税の運命は?(→link)
このコラムに「視聴率予測の神さま」という方が出てきますけれども。
実は私も、2015年と2018年の大河は、大コケすると予測しておりました。
しかも2018年が幕末大河でコケると予測した最も早い時期は、2015年末なんで、ちょっと褒めて貰っていいでしょうか。まぁ、嬉しくもなんともない予想的中ですけど。
てなわけでニュースのあとは1分あらすじへGO!
1分あらすじ【岩倉使節団が帰ってくる】
西郷どんは、岩倉使節団の留守中、政務をしております。
政務よりも、長屋でリラックスしている場面が長いような気がしますが、そこは気にしたら負けです。
大久保は、条約改正に失敗してグレた調子で帰国。
まぁ、これまでの無計画っぷりを見ていれば、残念ながら当然としか言いようがありませんな。
そんな中、西郷は朝鮮国との外交問題解決のため、朝鮮に渡ると言い出します。
その無能っぷりを見ていたこちらとしては、やめえおけとしか言いようがない。
むしろ止めた大久保、たまにはエエことするなあ、という気持ちしか湧いてきませんでした。
あ、今週もキャバクラとお菓子ノルマはこなしております。一体誰の需要なんだよ!
自分の息子を国費留学、ドコが美談?
はい、今回は西郷どんが我が子を国費留学させる場面からスタートです。
何度でも容赦なく言いますけど、国費使って留学できて、いいっすね、恵まれてますね。
ちなみに琴の子・市来宗介も出てきました。
戊辰戦争で戦死した息子はスルーしたのになぜ急に? しかも彼も、暗い未来が待ち受けています。
いずれにしても、国の金で自分の親族を留学させる話を美談にする神経がわかりません。
長屋暮らしやデスおにぎりで西郷どんの清貧アピールしてるのに台無しじゃないですか。
「せわぁない」
ナゼかそう言いたくなるんですよね〜。
今日もまた、史実ではない長屋暮らしアピールをして来ました。
史実では立派な屋敷暮らしですがね。
こんなすぐバレるしょうもない嘘を使わないと、維新三傑の魅力をアピールできないらしい本作スタッフ。もう、鯉登少尉にキエエエエエエエされてしまえっ!
大久保さん、ペンフレンドかよ
このあとも長屋ライフが続きます。
岩倉使節団という、いろいろすったもんだがあった話を、すご〜〜くお粗末に描きます。
大久保が脱毛症になったとか、どうでもエエ。
岩倉使節団留守中の政治の流れって、こんなペンフレンドの写真を見てニッコニコしていたような甘っちょろいものではありません。
長引いた理由も、当時ぶっ叩かれるほどお粗末なやらかしをいろいろやっちまっているんですね。
そのせいで国内では、
「岩倉具視と大久保利通さあ、お前ら切腹しろよ」
という意見まで出たほどなのです。
詳しくは以下の記事をどうぞ。
-

トラブル続きで非難された岩倉使節団|1年10ヶ月の視察で成果は?
続きを見る
井上と江藤の対立が小学生じゃないんだから
ここで井上馨が出てきます。
維新前は長州が異常なまでに持ち上げられていて、一方で一時期薩摩藩とともに行動していた会津藩がボロカスに描かれていて、意味がわからなかったんですけれども。
維新後は長州出身者がみんなショボくて話になりません。あ、薩摩もか。
このへんの井上馨と江藤新平の対立も、きちっとやらなければなりません。
-

処刑後に斬首写真を晒された江藤新平|肥前藩の逸材41年の生涯まとめ
続きを見る
しかし本作は、お子様レベル。
「井上くんが帰り道でお菓子買ってましたぁ」
「いけないと思いまーす!」
「西郷どーん、解決してえ」
とワラワラやっている程度に見えて辛い。
たぶん、ほとんどの方が理解できてないと思われるので、関連記事をご参照いただければ。
-

首相になれなかった長州藩士・井上馨|西郷からは「三井の番頭」と非難され
続きを見る
結局、西郷どんの独裁体制になってません?
というか、西郷どんの権限がデカすぎて、マズくないですか?
なんでも一人で決められそうで。
明治維新って西郷どんの独裁実現のためにやっちまったか感半端ない。
徳川家に逆らえない、そういう国はダメだ。
そう思って明治維新やったはずです。
しかしこれでは、徳川の代わりに西郷どんというワンマン政治になっただけに思えてきます。
なんで150年という記念に、こんなことするの?
んで、また長屋情報ネットワーク。
徴兵制度で文句つけられてきます。
血税のことを説明し始める西郷どん。
こいつ、本当にせせこましくて涙が滲んできました。長屋暮らしで庶民に偉そうにアピールして、なんてセコいのだ。
しかも徴兵制度の説明が、あまりに大雑把。このドラマを、若年層が見ていなくてよかった。有害だ。
イベントのぶつ切り感が相変わらず凄まじい
ナレーションとテロップだけで明治政府の制度がざーっと説明されます。
もちろんこういう制度にも、裏ではいろいろなトラブルもありましたけどね。
そんなもんやるわけないですし、仮にあったとしてもどうせ西郷どんが長屋トークすれば解決するんでしょ。
本作を観ていると、岩倉使節団の留守を西郷どんが守っているという時点、その西郷どんを頼りきりの政府の皆さんという時点で、もう日本滅亡待ったなしに見えてきて辛い。
そして明治6年の宮殿火災が挟まります。
挟まったのはいいんですけど、ただ燃えちゃったーではなく、その影響とか、原因とかやらないと。
ただのイベントぶつ切りなんですよ。
本作って、基本的に皆そうなんですよね。
イベントのつながりが見えてこないから、テキトーにいろいろあるなとしか思えない。
火災後、西郷どんが倒れます。
過労アピールでしょうけど、長屋で寝ているあたりがバカそのものですよね。
そんな政府の重要な人物なら、病院に連れて行けよ!
しっかり体を治して政府を運営してこそ、まっとうな政治家でしょうがっ!
清貧アピールのため、長屋に留まり続ける西郷どんの偽善者っぷりが半端ないわ~。
西郷さん、要らんやないか(´・ω・`)
西郷どんの療養中。
政府が動いていて笑ってしまいました。
中心でガッツリ進めている雰囲気出していたのに……なんだよ、要らないじゃん!
そして大久保の帰国です。
長引いたのに成果なし。
あーあー、岩倉使節団の意味や影響をまともにやらないで、あっさり終わったなぁ。
-

トラブル続きで非難された岩倉使節団|1年10ヶ月の視察で成果は?
続きを見る
このあと、屋内のせせこましいロケで、またヤンキー漫画高校生フードコート状態になります。
こんなことで明治政府の動きを描けるはずもない。
大久保のアップ。
うるさいBGMで盛り上がってくれと頼み込むような演出です。
いい加減、そういう無駄だと思いますよ。
たぶん私だけじゃない。視聴率が物語っているでしょうが。
小細工だけのストーリー、無駄無駄無駄ァ!!
前半はそれでも、薩摩美麗なロケという楽しみがありました。
今は、暗い室内で、もう何もない。
どうせ体調不良をやるなら他にも色々あるでしょ
大久保が、西郷どんの長屋に来ました。
病気で倒れたときに土佐・肥前の連中にアッサリ無視されていた西郷隆盛。
そして、それに頼る大久保までもが無能に見えてきた。辛い……。
それに、ですよ。
どうせ西郷どんの体調不良をやるなら、史実ベースでやったらどうですか?
神経衰弱、下痢、睾丸肥大。
ドラマのように、過労でなんとなく倒れました、じゃないんだってば。
-

あの西郷も倒幕の重圧でメンタルはボロボロ?いつだって中間管理職は辛いよ
続きを見る
-

西郷さんのタマが大きく腫れた原因は寄生虫だった?歴女医さんの見解を聞く
続きを見る
大久保の愚痴もバカなのかと言いたくなるレベルです。
要するに、西洋スゲエ、追いつけないもん、ってさ。
あーあー。
幕府が外国の強大さを見に染みて実感していたころ、明治政府を立てた薩摩や長州の人々は何をしていました?
福沢諭吉が見たら、ハイテンションでどぎつい嫌味を言ってくれそうだな〜〜!
-

勝や榎本にケンカを売った福沢諭吉|慶応創始者の正体は超武骨な武士だった
続きを見る
ビジョンを語るならもっともっと具体的に!
外国ショックを受けた大久保。
ともかく政敵をやめさせるんだぁーと言い張っていて、もう、辛さしかない。
だから!
もっと具体的に!
明治政府をどちらに持っていくかのビジョンを語れよ!
これじゃただの、
「だってあいつらムカつくんだもん!」
で終わりじゃないですか。
あと、本作は非常に大きな問題点があります。
大久保は、西洋に追いつけ追い越せという一派とはちょっと違うんですよね。
むしろ西郷も大久保も、それに木戸孝允も、西洋の技術と東洋の徳の融合タイプです。
彼らが一気に、しかもほぼ同時期に抜けたから、明治政府の動きが変わってくるんでしょ。
西郷と大久保の対立の理由を、あのデスおにぎりのあたりで嫌な予感しましたけれども、史実から逸脱させるってもうわけがわからない。
日本史の知識を捨てなければ、見ていて脳みそがとろけそうになる、酷いドラマだ。
明治初期の領土問題があまりにお粗末
ここで、朝鮮の問題が出てきました。
このへんも、もう指摘するのも疲れてきました。
朝鮮だけではなく、樺太や台湾の問題も並行しているんですけど。
明治初期の領土問題をまともにやりましょうよ。
本作だと、
「なんか朝鮮態度悪いしぃ!!」
という、朝鮮がともかく悪いという路線に持っていくようです。
あーあーあー!!
どこまでゲスなんでしょ。
-

西郷は死に場所を探していた?征韓論と明治六年の政変で新政府はガタガタ
続きを見る
樺太のスルーは、知っておりました。
薩摩がべったりだったパークスも絡んで来ていますからね。
-

ロシアから圧迫され続けた「樺太の歴史」一体いつから日本じゃなくなったのか
続きを見る
-

『ゴールデンカムイ』で注目「南樺太の歴史」戦前の日本経済に貢献した過去を知る
続きを見る
ちなみにこの樺太問題が、『ゴールデンカムイ』の根底にかなり絡んでおります。
もう、あの作品の方がよほど歴史の勉強になりますね。
またかよ、あの絶望的な、お菓子プッシュorz
はい、いつの間にやら西郷どんが朝鮮に派遣されることになっておりました。
このへんの背景もスカスカのまま、カステラを大久保の子供が食べる場面に。
犬と子役しか頼るもののない、虚しいドラマです。こういうお菓子プッシュはあの作品を思い出すなあ。
「せわぁない」
ああ〜、『姫たちの戦国』、『花燃ゆ』もお菓子路線が好きだったなぁ。
真田幸村と井伊直虎という、2年連続の力作大河を見た視聴者。幸せの味を知ってしまった視聴者。
そんな彼らが、
【壁を乗り越えてきた巨人に出会ったような顔】
になったのは、まさしくこれかもしれません。
「その日、大河視聴者は思い出した…… 奴らに支配されていた恐怖を。 お菓子推し大河ドラマに囚われていた屈辱を……」
我々は克服できていなかった!
そして岩倉使節団帰ってきます。
もう、岩倉が出てくるだけで『家族に乾杯』と言いたくなるので、なるべく出番は削ったほうがよいのではないでしょうか。
キャバクラで描く明治政府
明治天皇も登場します。
-

明治天皇の功績&エピソードまとめ|現代皇室の礎を築いたお人柄とは?
続きを見る
本作の不敬ぶりが止まるところを知りません。
露骨な時間稼ぎ要員じゃないですか。
そしてこのあと、岩倉と伊藤はキャバクラへ。
ただのキャバクラではなく、木戸孝允、山県有朋、井上馨らもいました。
明示政府の偉大さを、キャバクラ入り浸りという暗黒面で描く。
まさにゲスの極み!
磯田屋といい、本作は歴史やキャバクラで始まっているとでも言いたいのでしょうか?
なんでそんなメッセージを送るの?
だって岩倉ですら、西郷隆盛と大久保利通の対立を、このお店で知るんですよ。
長屋の立ち話。
キャバクラ。
そんなところでしか情報を得られない明治政府首脳部についていけません。
そして大久保もやって来ます。
指摘するのも野暮ってもんですけど、こいつらのキャバクラ飲み代って、税金ですよね?
明治維新を達成したおかげで、税金で子弟を留学させられるし、キャバクラ入り浸りで最高!
そう言いたいようにも見えてきた。
咳き込むだけが体調不良なのか?
このあと、三条のアホ麻呂っぷりを挟み、閣議の場面へ。
岩倉はここで西郷どんの朝鮮使節派遣が決まるかと思っていたのですが、大久保がちゃぶ台返しします。
同時に咳き込む西郷どん。
体調不良アピールでしょうけど、本作はどうして呼吸器系以外でも咳き込むのかという疑問が湧いて来ます。
西郷どんは、咳が出る症状じゃないっつうの。
まぁ、遺体確認にも使われたという睾丸のことはやらんでしょうなァ。
それにしても。
大久保がなんかいきなりおかしくなった、みたいな描き方ですけど、この件、西郷側にもかなり問題がありましたからね。どうせやらないでしょうけど。
もう最終回まで、
「どうせこの史実やらんでしょ」
だらけだった――そんなオチになりそう。
総評
先週と今週、こんなにも辛いのはナゼか?
それはきっと、『八重の桜』総集編鑑賞後であるからなのです。出来が違い過ぎる……。
この違いは、観光にも影響がありそうでして。
◆「西郷どん大河ドラマ館」苦戦…50万人目指し集客作戦(→link)
鹿児島・旧薩摩藩を舞台にした2008年の大河「篤姫」のドラマ館は観光・商業施設の中にあり、目標を上回る年間57万人を集め開館時期も延長された。過去2年のドラマ館は「真田丸」(長野県上田市)が103万人、「おんな城主 直虎」(浜松市)が78万人の集客実績がある。
2016年 真田丸(103万人)
2017年 おんな城主 直虎(78万人)
アッサリ惨敗ですが、この2年間は戦国でしたので、比較は難しいかな?
ならば近年の幕末大河とも比べてみましょう。
◆『八重の桜』の場合、放映後1月、60万人を達成しました(会津若松市公式サイト→link)。
『花燃ゆ』の場合は……。
いやはや、大河ドラマ館動員数でも、「薩長同盟」でごわすなあ。
自治体や観光当事者のみなさまにとっては笑い事じゃありません。
大河ドラマの出来は、どうしても視聴率だけで判断されるものですが、現在は録画率も高いわけで。
観光効果も大事なんです。
近年では高視聴率の『真田丸』ですら、往年の視聴率のみならず、戦国ブームに後押しされた『天地人』にも及びません。
『おんな城主 直虎』は、視聴率が伸び悩んだため、失敗作という評価すらありました。
しかし、この二作は脚本はじめ作品評価、番組に寄せられた好評意見の多さ、そして観光効果をみますと、成功作であったと言えるでしょう。
『八重の桜』の場合、東日本大震災による観光への打撃を払拭しました。
5年連続「会津まつり」に綾瀬はるかさんが参加して、これまた大賑わいですからバッチリですね。
国際エミー賞にノミネートは、他の大河では達成できなかった高い評価の証です。
そこで『西郷どん』です。
視聴率は一桁達成。
観光効果もイマイチ。
評価は最低。
こんな大コケは『花燃ゆ』と本作くらいです。
これぞまさに、明治維新150周年を祝う熱〜い「幕末最低最悪大河薩長同盟」でしょう。
きっちり反省して欲しいところで、奇妙なほど持ち上げ記事が多かった本作も、ようやく潮目が変わったようです。
◆NHK大河ドラマ『西郷どん』の低迷続く 『ドクターX』中園ミホ氏が脚本務める(→link)
ただ、残念ながらこういう記事は本質を突くことが少なく、隔靴掻痒感があります。
根底にある歴史観の酷さ。
そこを見ていきましょう。
ナポレオンの伝記を読んだから西郷は革命家だの。
幕府が薩摩をフランスに売り渡そうとしただの。
そんなデタラメかつ歪みまくった、70年以上前の価値観すら入った歴史観が根底にあっては、どんな脚本家だろうと名作なんて書けるはずがありません。
あわせて読みたい関連記事
-

幕末維新を最も動かした男・西郷隆盛|誕生から西南戦争まで49年の生涯
続きを見る
-

薩摩藩士から維新三傑へ脅威の出世 なぜ大久保利通は紀尾井坂で死を迎えたか
続きを見る
-

ホントはすごい西郷従道(信吾)兄の隆盛に隠れがちな”小西郷”の実力に注目
続きを見る
-

幕末に薩摩から将軍家に嫁いだ篤姫「徳川の女」を全うした47年の生涯とは?
続きを見る
-

幕末薩摩を躍進させた島津斉彬の生涯|西郷らを見出した“幕末の四賢侯”とは
続きを見る
【TOP画像】
『西郷どん完全版第壱集Blu-ray』(→amazon)
【参考】
NHK西郷どん公式サイト(→link)等
















