青天を衝け感想あらすじ

青天を衝け総評&最終回 感想あらすじレビュー「青春はつづく」

青天を衝け総評&最終回感想あらすじレビュー

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青天を衝けキャスト

青天を衝け感想あらすじレビュー

※文中の記事リンクは文末にもございます

最終回になっても徳川家康さんが登場。

当初は歴史解説をしていたこのコーナーも、単に「家康役が出るための時間」としか思えなくなりました。

視聴率を分析してみると、家康の登場が実はマイナス影響を与えていたという見方もある。

◆『青天を衝け』視聴率半減の真相~大河で見たいのは“偉人伝”でなく“人間ドラマ”~(→link

あの家康、SNSでは盛り上がっていたけれど、多くの人が視聴をやめていたと指摘されているのです(以下、引用)。

制作陣の誤算は北小路欣也扮する徳川家康による解説コーナー。ここで多くの人が視聴をやめていた。SNSではこの演出を面白がる声が多かったが、サイレントマジョリティは必ずしも評価していなかったのである。

制作側はなんのかんのと効果を謳っていましたが、冷静にデータ解析をしていなかったことが悔やまれます。

SNSでノイジーマイノリティがいくら活発であろうと、サイレントマジョリティの声を聞かねば足元をすくわれるということでしょう。

あの話題作『江~姫たちの戦国~』と同キャストの家康が、十年ぶりに出たというのに、心苦しい限り。

そんな家康が、今週もいきなりトンデモナイことを言い出します。

渋沢栄一の、真心の道の先を歩んでいるのはアナタたちだ! らしいですが……はぁ……なんすか、この薄っぺらい言葉は。

脚本家さんにガチで問いたい。

真心って、どういうこと? それが我々と渋沢栄一とどう繋がるの? もっと具体性をもって教えて欲しい。

こんなもん、ぶっちゃけて答えさせたら「大して意味はなく、家康にそれっぽいことを語ってもらいました」的な回答になるんでは?

居酒屋での雰囲気トークじゃないんだから、NHKの大河枠で本当に勘弁して欲しいです。

 

パリ講和会議

大正7年(1918年)――ドイツの降伏により、第一次世界大戦が終結しました。

パリ講和会議で、日本は人種差別撤廃を欧米諸国に求めます。

何かと話題になるこの条約で、日本は世界に先駆けて人種差別に反対していたとされることもありますが、実際は矛盾だらけの行動を取っていました。

本作では、アメリカの排日運動は大々的に取り上げ、日本が加害側であった人種差別はほとんど無視。

どうしても渋沢を聖人君子にする物語にしたいのか。

都合が良いところだけピックアップするスタンスには、どうしても違和感を覚えます。作品を面白くするために、ありのまま描いて欲しいと願うのは贅沢でしょうか。

日本がドイツ領であった山東半島の権益を求めたことで、欧米諸国が警戒するようになったと説明されます。

これも全ては吉田松陰の『幽囚録』路線ですね。そういう明治維新以来のマイナス面を本作はまたもスルーしました。

たとえば高杉晋作坂本龍馬が主人公ならば、維新前後で斃れるため、こうしたマイナス面を描く必要性はありません。

しかし時系列が明治になるとそうはいかない。

ゆえに1980年大河『獅子の時代』では、架空主人公である強みを生かして、会津藩と薩摩藩という目線で描いた。

1998年大河『徳川慶喜』は、明治以降を描いていません。

鳥羽・伏見の戦いで逃亡して以来、とにかく逃げ腰及び腰だった徳川慶喜の人生を描くのであれば、むしろよい選択だったでしょう。

それがこれまでの真っ当な大河ドラマというものでした。

今年はそれを崩しました。

明治以降に突入してからというもの、都合の悪いことは徹底して避け、気持ち良くなるように快感だけを与える、どうでもいい描写のみをひたすら流すようにしたわけです。

 

敬三が栄一に興味を持った理由が

飛鳥山の渋沢邸に画面が映ります。

イキイキきびきびした栄一は、なんで「こんなに嫌われるのか!」とわざとらしく咳き込んでいます。

こりゃ渋沢敬三も大変だわ。

じーちゃんに、そんなこと言われても、孫としては困惑するだけでしょう。

呆れるのは「世界は共存共栄に向かうべきだ!」なんて言い出していることです。

誰がどんな立場から、そんな偉そうに語っているのでしょう。財界人の重鎮が語る言葉は、小学生が「世界平和♪」と合唱するのとはワケが違います。

相変わらず周囲のせいにしてばかりで、堅実な加齢が全くできてない。歳をとっても若者のように突然叫ぶし、落ち着きもなく、本当に目をそむけたくなります。

何事もどっしり構えてこそ、年長者の人徳ではないでしょうか。

すると、ここでわざとらしく『徳川慶喜公伝』完成がアピールされます。

この書籍が発行された当時、内容があまりにご都合主義ではないか!と激怒した山川健次郎(元東京大学総長)なんて、出てくるわけないですよね。

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本当に自信があるのだったらフィクションなんですからドラマ内で論争させたって良かったはず……ですが、それほど骨のあるストーリーをこの局面で描けるスタッフでしたら、そもそもこんな展開になってませんね。

渋沢栄一は喜寿を機に引退しても衰えないと言われますが、そもそも全く喜寿に見えない。結局、最終回まで鬼舞辻無惨の不死身モードは継続です。

先週はデ・アール大隈に「80近くにもなって口出しするな!」と言っておいて、自分は別ってのも何なんだ。

このころの渋沢は六時起床、入浴を済ませて朝食をとる生活だとの説明が入りました。

心の底からどうでもいい情報ですが、続けますと、7時から客が詰めかけ、15時間働くそうです。

でも……それって典型的なダメ組織では?

しかるべき代替りもできず、老人に頼り切りの組織なんて危険で仕方ない。

それでも敬三が後継ぎとして手伝っているようで、安っぽいセットの前で、本の間から古い祖父の写真をみつけ、敬三はこう言い出します。

祖父をもっと知りたいと思った……って、なんじゃこりゃー!

またもや雑すぎる展開。後継ぎなのに、栄一のことを初めて知りたいと思ったのが、そんな偶然頼りでいいんでしょうか。もし写真を見つけなかったら、どうするつもりだったんです?

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本作は、書き手の能力が問われるストーリーの繋ぎ部分で破綻の傾向が見て取れます。

おそらく著者が歴史に興味が無いから、そんなことになっちゃうんですよね。

 

子供だらけでドン引きされなかった?

栄一は日米友好につとめていて、日系人排斥の理由をアメリカ人に聞いています。

知っていて、わざと交渉相手を問い詰める材料に使うのか?と思ったらさにあらず。

本当に知らなかったように見えるから、このドラマの栄一は本当に勉強をしてくれません。

ここで大仰に、アメリカでの日系人排斥運動が描かれました。

実際はアメリカ西海岸だけの話でもなく、中国や朝鮮半島でも反日運動が起きていたんですけどね。

案の定、アメリカ人は日本人がしている中国人差別も指摘してきて、「アナタたちだって差別しているじゃないか!」と言われてしまいますが、そこはノーコメント。相手をネチネチ責め、自分の過失は認めない。

本当は、相手から責められたときに、上手な切り返しをすることで、外交手腕や各人物の魅力を描けると思うんですけどね。

この作品は周囲の人間に「栄一は凄い!」と言わせることでしか、能力を表現できないから仕方ない。

そしてごまかすように、おもてなしをすると言い出す栄一。

グラント前大統領に出した「煮ぼうとう」あたりでしょうか。

彼らに「日本の家庭の真心を味わってもらいたい」と言い出す栄一ですが、あんだけ大量に子供(庶子)がいる時点で、プロテスタントのアメリカ人ならドン引きですよ。

表向きは微笑んでいても、後で「汚い奴だ」と日記に書くパターンだ。

この後、敬三が素手でトイレを磨く場面は何でしょうか?

使用人はいない? 本作は、千代がグラント夫人の虫刺されを世話する場面も美談扱いしていました。

歴史が嫌いで何も調べたくないのはわかりますが、それにしてもトイレ掃除を美談にする感性って、さすがに滅んだほうがいいと思います。

◆ 「素手で便器掃除」が美談になる日本のおかしさ ドイツ出身の筆者が驚いた「異常すぎる校則」 (→link

以下の記述にありますように、トイレは「病原菌」リスクのある場所です。

しかし、相手はあくまでも「トイレ」です。どんな病原菌がいるかもわからず、生徒が感染症になったりする危険性は誰も考えなかったのかとショックを受けました。一般社会でトイレ掃除がプロの仕事であるのは、「掃除を素手でしない」のは言うまでもなく、適切な対策とノウハウがあるからこそ求められるからであり、そのおかげで私たちも快適にトイレが使えて病気にもならずに済むのです。

妻をコレラで失っておいて、その妻の血を引く嫡孫に素手でトイレ掃除をさせるとは、何事ですか?

きっと本物の汲み取り式トイレなんて、知らないでドラマを作っているのでしょう。

日常の服のまま掃除するって、意味がわかりません。強烈な臭いがこびりつくから、このあと一日潰れますよ。

 

移民をめぐる各国の思惑

平民宰相と呼ばれた原敬が出てきます。

最終回まで人の死で引っ張るロス戦術ですね。

しかも原が悪い方向へ誘導する流れが見え見え。

栄一が、原の言葉を遮って「日本の外交はどうしたいのか?」という辺りがとても感じ悪く見てしまう。お得意の三白眼で睨みつけます。

史実はさておき、このドラマの栄一に外交センスなんてありません。みんなで文化祭していれば仲良くなれるし~程度のオツムしか備わっていない。

そして結局、移民の話です。

自国民の保護は、他国へ干渉する言い訳の王道であり、この描き方だと日本がまるで悪くないかのように思えてきます。

果たしてそうでしょうか。

歴史は立場によって見方が変わるのが当然で、自国だからこそ多面的に捉えておくのが大切でしょう。

そこで参考になるのがVODなどにある他国の作品。いくつかピックアップしておきます。

・韓国フィクション

日帝時代を描いた傑作は数多いですが、ここは敢えて『お嬢さん』をオススメします。

植民地支配を描いたものにしてはマイルドで、かつ日本人と朝鮮人女性の熱愛というロマンチックな要素があります。ただし18禁なのでそこはご注意ください。

この作品を入口にして、その後、レコメンド作品を見るのが良いのでは?

・中国語圏フィクション

ブルース・リー『ドラゴン 怒りの鉄拳』がオススメでしょう。

悪役が日本人。当時、香港でこんな映画が作られていても、日本人も「まぁ、そうなるわな。そんなことよりブルース・リー最高! アタァ!」と盛り上がっていました。

『無敵のゴッドファーザー ドラゴン世界を征く』もVODで見やすい一本です。

悪役が枢軸国(ドイツ・イタリア・日本)という世界観から、当時の香港人が抱いていた想いがわかります。映画としては全く面白くもなんともありませんが、勉強としては良いかもしれません。

・欧米圏

『高い城の男』なんてどうでしょう。アジア・太平洋戦争以前の日本は、ナチスドイツと並び、勝利したら最低最悪の国家と見られていたとわかります。

 

最後まで「であーる!」頼りが痛すぎる

話を本編に戻しまして、敬三です。栄一に対し「外で働きたい」と言い出しました。

祖父と孫というより見た目は兄弟ですね。むしろ孫である敬三の方が、突然、怒鳴ったりもしないから、落ち着きがあるぐらい。

寝室で栄一は「敬三に跡を継がせたい自分はワガママである」と兼子に愚痴ります。

兼子は今週も和装所作が綺麗ですね。

確かに栄一はワガママでした。吉原で遊ぶ金だって父に出させた。乳児を抱えた千代は放置で好き勝手に生きていました。

そしてデ・アール大隈もまた登場。

「元気が増すのであーる!」

最終回までバカバカしいことは続けるんだなぁ……。

もう、何なんでしょう。こんなのが本当に面白いと思っているんですか?

オープニングの家康といい、蚕ダンスといい、一体なんなのか。

栄一もまたナントカの一つ覚えで、移民問題だけを言い募る。

脚本家もスタッフも、渋沢栄一の事績を調べきれなかったんですかね? 明治時代に入ってから、まともに経済なんて描いてませんが、それでよしとするNHK側の神経も理解できません。

本当に杜撰な仕事っぷりですわ。

そして極めつけがこの台詞。

「胸がムベムベして眠れない!」

なに?

これなに?

ぐるぐるといい、ムベムベといい。オノマトペの使い方が絶望的。

敢えて皆さんにお尋ねしますが、この「ムベムベ」を誰かの前で使う勇気がありますか?

響きからして不協和音な感じ。

最終回まで語彙力とセンスが『おねがい社長』広告動画と同程度でした。

※『おねがい社長』:社長経営シミュレーションアプリ。広告の無茶苦茶な日本語が話題になっている

デ・アール大隈は栄一に対して寝ていろと言います。

たまにはこいつもいいこと言いますね。私も栄一が寝ていればいいと思う。

そう言われて「むーっ!」と幼児のように口を尖らせる顔がもうわけがわからない。喜寿を迎えても七五三か。

デ・アール大隈はしつこく「であーるであーる」。病室で連呼って、一体どんな症状なんすか……。

 

「外交は人と人との関わり!」

デ・アールは最期まで無能でした。

日米開戦になったらどうするのか。そのことしか言わない。あまりに戦争を単純化しすぎです。

太平洋戦争の原因は移民問題であり、それを作ったのはアメリカという方向へ印象付けたいのでしょう。

大正9年(1920年)には、日米の実業家同士で協議会が開かれ、関係改善に務めます。

明治村らしい廊下で、日米の要人が話しています。やたらと照明がくすんでいるのは、ヘアメイクと衣装の不出来さをごまかすためでしょうか。

栄一は軍備縮小に賛成すると啖呵を切ります。

本当に初回から最終回まで、三白眼で威張るしかない演技ですね。誰も注意できなかったんでしょうか。

愚かというか浅はかというか。移民のことばかりしつこいし、軍事のことを考えていないように見える。

何より世界地図が頭に入ってないような物言いばかり。

しまいには

「外交は人と人との関わり! 心の尊厳の問題だ!」

なんて、しょーもないことを言い出しました。

綺麗事ばかり並べて、何をどう解決するのでしょう。

しょうもない精神論で外交に口を突っ込む栄一を見ていて、こんな言葉を思い出しました。

麒麟も老いては駑馬に劣る。

麒麟のように優秀な人物も、歳をとれば駄馬以下になる。

『戦国策』

引用しておいてなんですが、本作の栄一って、麒麟のように輝いていた時期など無かったので使い方が間違ってますね。失礼しました。

去年(2020年大河)が麒麟だったのに、今年は駑馬に劣る――それなら合っているか。

「外交は心だ!」と言われたほうは、若干の間をおいて「栄一さん、スゴーイ♪」とリアクション。

ここまで来たら「感情ゼロのキャバ嬢に褒められて喜んでいるオッサン」を笑う場面に思えてきました。とにかくもうすべてが虚しい……。

 

そもそも渋沢栄一の権限は?

渡米先の渋沢栄一は、原敬が暗殺されたことを知りました。

今週も来ました。栄一が渡米するたび首相が死ぬ、斬新な連動システムです。

参加した会議では軍縮も受け入れました。

しかし、栄一が議論した排日問題は議論もされません。

気になるのは、渋沢栄一の権限です。

どこまで発言力があり、発言内容を任せられているのか。単なる民間商人なら、そもそも大して権限は無いでしょう。

ならば「自分が提案したのに受け入れてもらえない!」としても当然。そもそも彼は「一線から引いた」と自分で言っている。

これが本作特有の卑劣な価値観なんですよね。

栄一のみならず、徳川慶喜もそうでしたが、権限と責任の所在が曖昧なのです。

ドラマ内では、何かよいことを成し遂げたらば「自分のおかげ!」と言い張り、他人の功績を奪うこともある。

典型例が孝明天皇と徳川慶喜の関係でしょう。

あれは会津藩主・松平容保との信頼関係に慶喜が乗っかったもの。それを「慶喜は天皇にも信じられちゃう!」と誘導した。

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天狗党の件もそう。あれほど厳しい処断は、天狗党と関係を消したい慶喜の保身あってのものです。

それを田沼意尊の独断にして責任転嫁した。

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よいことは全部自分のおかげ。

悪いことは自分以外の誰かのせい。

無責任な規範を大河で流し続けてきたのです。それが哀しくて情けなくて、怖くもなる。

それでも平和を訴える旅を続ける栄一だそうですが……本当に栄一の無能っぷりにはイライラが募ってきます。

押してダメなら引いてみろ、直進がダメなら迂回しろ――といった機転さがまるでない。目を潤ませてゴリゴリ説得すれば何とかなると思っている。

外交を舐めてませんか?

デ・アール大隈が死に、大正11年(1922年)には敬三も結婚、ロンドンへ向かいました。

ここでやっと出てくる敬三の妻のほうが、レギュラーの若手女優より和装所作がうまいのは何なのでしょう。ほんとワケのわからんドラマです。

そしてバカ息子・篤二の話が始まった。

どうでもいい。心の底からどうでもいい。こんなワイドショーネタを大河ドラマで引っ張らないで欲しい。

最終回まで一体なんなんだ。

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