『西郷どん完全版第壱集Blu-ray』/wikipediaより引用

西郷どん感想あらすじ

『西郷どん』感想あらすじ第2回「立派なお侍」

こんばんは、武者震之助の大河レビューです。

念のため、もう一度断っておきますが、本作に関しては二年ぶりに厳しいレビューになる可能性が高いと思われます。

大変申し訳ありませんが……絶賛レビューをご所望でしたら、何卒、他を当たってください。
特に日刊ゲンダイさんはかなり本作に期待しておられます。

◆プラス材料がズラリ NHK大河「西郷どん」期待大のワケ(→link

日刊ゲンダイさんも、おそらくドコかへ忖度する必要性など皆無かと思われますので、本当に期待されているのでしょう。

では本編へ。

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藩校「造士館」にも触れればいいのに

時代は弘化3年(1846年)。西郷は16才になりました。
郡方書役助(こおりかたかきやくたすけ)として、年貢の取り立てをしています。

ん、そういえば……。
薩摩の藩校「造士館(1773年に島津重豪が創立)」が出てきていませんね。
史実では、西郷の右腕負傷は、藩校からの帰り道で起きた事件でした。

藩校というのは、藩士のアイデンティティに強い影響を与えるもの。
しかも薩摩藩の場合、島津斉彬が改革に取り組み、西洋式の先進的な教育も実施されていたわけです。

あんな無理矢理なカタチで主人公と斉彬をからませるよりも(参照:『西郷どん』感想あらすじ第1回)、藩校視察に斉彬が来て西郷と出会う、という設定でよかったんじゃないでしょうか。

『西郷どん』感想あらすじ第1回「薩摩のやっせんぼ」

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BL大河を自称しているのに、実質的に男子校状態の藩校描写をスルーというのはもったいないのでは?

といっても私も専門外ですので、BLソムリエの意見をいただきたいところです。

そういえば、数年前の長州大河でも藩校「明倫館」の扱いが酷くて、愚痴を書いた記憶があります。

※編集部注:会津の藩校「日新館」については本サイトで記事にしております(以下をご参照いただければ)

日新館
授業中でもケンカ上等だぁ! 会津藩校「日新館」はやはり武士の学校でした

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ますます弟妹の増える西郷家 給料は持って帰れず

話を戻しまして。
この年は天候不順で凶作ですが、それでも年貢の取り立てに猶予はありません。農民は困っています。

そこに西郷の上役・井上登場。
いかにもワルくてセコそうな男です。農民からイキナリ賄賂を受け取っておりました。

ここで貧しい農民の娘・フキの登場です。
幼いながらも目鼻立ちが整っており、借金のカタに売られそうになっております。そこで西郷は自分の金、それから井上の金を借金取りに渡して、とりあえず娘を救います。

とりあえず目の前の人を助けるわけですが、借金取りをなんのかんの理由つけて強引に逮捕するとかしないと、根本的な解決には程遠いでしょう。なんなら「チェスト!」で敵を……って、冗談をスミマセンでした。
要は、一時しのぎというのは誰の目にも明らかなわけで。

西郷隆盛(鈴木亮平さん)

画面が切り替わると、近所の川で西郷が鰻を捕っています。
ドジっ子っぽく転んじゃったりして。も、もしかして、これはサービスシーン……ですかね?

西郷家は三男も産まれ、ますます大所帯になっています。
それなのに、西郷は人助けのために給料を全額使ってしまい、そりゃあ叱られますよね。褌姿でやけにセクシーですが、ネットニュースやSNSなどでの話題性を狙っているのかなぁ?と思わず勘繰りたくなったり。

そんな西郷家に、大久保正助(のちの大久保利通)がやって来ます。
西郷とは対照的で、洗練された優等生タイプの大久保。

大久保利通(瑛太さん)

記録所書役助につとめることになったそうです。

 


斉彬は、輩のように調所&斉興へ詰め寄って

一方、島津本家では、斉彬が江戸から帰国しておりました。
父の島津斉興を相手に「藩士2千人を動員する大がかりな大砲の調練をやりたい」と言い出します。
莫大な費用がかかると、調所広郷が反対します。

調所の言うことはもっともだと思います。
そもそも斉彬は藩主ではなく、あくまでこの時点では世子に過ぎません。なぜこんなに威張っているのか謎。
こんな言動を続けていたら、そりゃあ藩主候補としてマズいと思われても仕方ないかなぁ。

ここで斉彬、ギロリと調所を睨んで、借金を返す過程で懐に金を入れたんじゃないか、と言い出します。
斉興の前で、冗談でもキツイ。これでは単なる脅しですよ。

島津斉彬(渡辺謙さん)

そして突如、言うのです。

「おおっ、エゲレスの軍艦が! おおっ、おおっ! どうやら桜島があきれておるようじゃ」
う、うーん。これも脅しですよね……。

ケン・ワタナベの「渡辺斉彬」を絶賛する意見が多いのですが、私はどうにも乗れません。

草刈正雄さんの真田昌幸(2016年『真田丸』)
高橋一生さんの小野政次(2017年『おんな城主直虎』)
とは違って、役者のよさに中身が追いついていない。
役柄と役者がピタリとはまって音がするような、一足す一が十になるような、そういう絶妙さには欠けています。

役者さんのせいではなく、セリフや設定など複合的に絡み合っ……つまりは脚本のせいです。

喩えるのであれば、豪華な薩摩切り子のグラスに注がれた不味い酒と言いましょうか。
せっかく素敵な容器なのに、そこから流れ出てくる中身はデキの悪い安酒、という。

 

フェミニスト隼人たちの前で糸怒る

西郷は、フキの家を訪れております。
西郷が与えた握り飯をほおばるフキたち。フキの子役が名演技ですので、それだけでも引き込まれます。

このあとは大久保の就職祝いの宴です。
女性が同席しているように見えましたが、大丈夫でしょうか。彼女らはさっと引っ込んだのでありかな。

そこへ、鯛を持参した赤山靭負が来ました。
さらに赤山に連れられて、岩山糸がやって来ます。
糸は天保14年(1843年)生まれですので、史実ですと先週は誕生前。今年は幼児のはずですね……(彼女の生涯についてはリンク先、あるいは記事末のURLをご参照ください)。

岩山糸(黒木華さん)

まあ、年齢なんか些細な問題です。たぶん。問題は言動。

どうやら大久保は糸にズキューンとトキめいた様子。
あぁ、これは、西郷と大久保と糸で三角関係になるやつですね。

糸には妙円寺参りをぶち壊された過去があるのですが、本作の薩摩隼人はフェミニスト(誤用的な意味で)なので、ノープロブレムのようです。

糸、普通に宴会に参加しています。
しかも男どもを叱り飛ばしたりするという。
武家の女がしれっと混ざっているのは、やっぱりチョット……。

この宴の最中、西郷は弱き者を助ける武士になりたいと語っております。

そして、藩内の勢力についてをトークで解説。
島津斉彬と島津久光の兄弟や、調所広郷について。
斉興は調所と側室の由羅に操られ、斉彬ではなく久光を藩主にしようと惑わされているとか。

ここで、
「男は女にものをねだられたら、断れん」
という話も。

有馬新七(増田修一朗さん)

有村俊斎→海江田信義(高橋光臣さん)

これが薩摩武士でいいのですかね。

 


密貿易もぜんぶ幕府にブチ撒けて!

場面が切り替わり、再び斉興と斉彬のご対面シーン。

斉彬は沿岸警備の報告書を斉興に見せます。
ココでも何故か、由羅が狆(ちん)を抱いて座っているという。
しかも不快感を示す斉興に対して、露骨に我が子を藩主にしろ、とそそのかす。

由羅(小柳ルミ子さん)

由羅の描写も残念です。
彼女は賢明な女性だったのですが、底の浅い愚か者のように見えてしまいます。

斉彬は父に対して激怒し、江戸に戻ると宣言。ついでに薩摩の密貿易を全部幕府にブチまけて、父を引きずり落とすと言い出します。

この辺、幕府(老中・阿部正弘)も巻き込んだ非常に大事な政治的駆け引きがあって、後にとても面白いシーンになるハズなんですけどね。
きちっと時間を割かないため描写が雑で、どうにも短慮気味に見えてしまいます。
もったいない。

ここで、薩摩藩の年貢事情の解説へ。

取り立てが厳しく、不正や賄賂が横行していると説明されます。
なにせ八公二民ですからキツイのは当たり前。奄美は「黒糖地獄」と呼ばれ、もっと酷かった。

薩摩藩が何故そこまで厳しいのか。
様々な理由があります。

火山灰の影響といった地理的なものもありますが、システムの問題です。

精強さで知られた薩摩藩島津家は、戦闘員である武士の割合が、他の藩より突出して高かったのです。
このいびつな構造が、問題の根底にありました。
西郷は上役のやり方に反発しますが、根本的なところをどうにかしないといけないんですよね。

ちなみに実際に西郷が最初にであった上司の迫田は、なかなかの人物で民への慈愛もありました。
いきなり一足飛びに斉彬を目指すのではなくて、そういう身近な尊敬すべき人の背中を追う展開でもよかったと思うのです。

それなら薩摩ファンをも大いに喜ばせたことでしょう(糸の描写を減らせば……)。

 

「隠し田」キタ━(゚∀゚)━!! で、Twitter盛り上がる

ここで西郷、突然調所の元に乗り込みます。

乗り込もうとしても、分厚い壁に遮られる方が、薩摩藩の身分制度の厳しさがわかったと思うんですけれども。
迫る西郷を追い返さず、話だけでも聞いてやる調所はなかなかいい人では?

調所広郷(竜雷太さん)

ここで、調所は西郷に「検見取」をやってみろと言い出します。
張り切って検見取に向かう西郷。
そのあとを糸が歩いて付いていきます。

武士の男女が屋外を、こんなふうに並んで歩くというのは無理があります。
先週私がつっこんだ「男女七歳にして席を同じゅうせず」を口にする糸。わかっていながら、そんなものは全く気に掛けていないという設定のようです。

糸は、自分の家で糸を雇うことにしたと言い出します。
フキの母は、
「立派なお侍様に出会えてよかったなあ」
そう感動します。

検見取の最中、既視感のある流れに!!
うわぁ、これは昨年見た展開になりそう……。
って、案の定そうでした。西郷は「隠し田」を見つけてしまうのでした。

このせいか、何故かツイッターのトレンドには「#西郷どん」ではなく、「#おんな城主直虎」がランクインするという奇妙なことになりまして。
皆さんどんだけ直虎ロス引きずっているんですか! 流石、総集編の放送時に【トレンド世界一】を獲得しただけのことはありますね。

おんな城主 直虎・総集編がTwitter世界トレンド1位に! 本編未公開のラストシーンががが!

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