『西郷どん完全版第壱集Blu-ray』/wikipediaより引用

西郷どん感想あらすじ

『西郷どん』感想あらすじ視聴率 第38回「傷だらけの維新」

2018/10/15

平成の世、しかも明治維新150周年という記念の年に、なんとも不名誉な薩長同盟が締結されました。

何が?
って「視聴率一桁・薩長同盟」です。

◆西郷どん:2週ぶり放送 第37回「江戸無血開城」視聴率9.9%と初の1桁(→link

台風による延期など不運な要素が絡まったにせよ、37話の内容は西郷隆盛と勝海舟が面と向かって話し合う「江戸無血開城」です。
それが本作最低の視聴率となる9.9%でした。

長州の『花燃ゆ』に続き、薩摩の『西郷どん』でも一桁を記録。
いやはや熱い関係です。

 


【1分あらすじ】傷だらけって自業自得でしょ

上野の彰義隊は一日で討伐されました。
“討伐”って言葉を公式サイトでも平然と使っていますが、どこまで歴史認識がおかしいのだろう。

「俺たちは戦争したくないのに、空気の読めない佐幕派、奥羽諸藩のせいで」とでも言いたげに、戊辰戦争が続いているという描写。違うでしょ?
このへんの経緯は『八重の桜』をご覧ください(真顔)。

能天気に自宅へ戻った西郷どんに、吉二郎が戦に出たいアピールを始めます。
あ、これ、死ぬ前にいきなり目立たせるやつですわ。

案の定、吉二郎戦死。

西郷どん、国作りを大久保に丸投げして、帰郷しております。

ここで吉二郎ごめんねと号泣。
散々平和主義アピールしておいてから、突如キャラ変して「戦の鬼」とかイキってたのに、急にどうしたのよ。

何度でも言いますよ。
自分で拡大させた戦争でしょ?

それを伏せて無理に佐幕派&東北諸藩のせいにするから、おかしな話になるんだし、視聴率もついてこないんですよ。

つーことで本編へ!

 


敵が全て悪い…だから殲滅してやるってか?

彰義隊があっさり、大村益次郎に倒されるところからスタートしました。

ナレーションでは
「速やかに殲滅させるため」
とか言ってますが、これも酷いなぁ。

殲滅って意味、わかって使ってるんでしょうか。

上野戦争(彰義隊)
彰義隊が散った上野戦争の恐ろしさ|大村の作戦とアームストロング砲で焼け野原

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彰義隊との戦い、上野戦争では、「薩摩御用盗」を率いていた益満休之助も死んでいます。

武力倒幕
なぜ西郷は強引に武力倒幕を進めたのか?岩倉や薩摩藩は“下策”に反対

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戊辰戦争は西郷が始めた戦(いくさ)です。

にもかかわらず、相も変わらず
「果ての見えん戦でごわす」
とか言っちゃうのがなあ。控えめに言ってクズですね。

わずか半日で壊滅とか、言葉の選び方がいちいち性格悪いです、この作品。
殺されたのはゲーム内の敵キャラじゃなくて、実在した人々の話でっせ。

ついでに西郷が散々大切にする――と言っていた民たちが史実ではどうなったか?
よろしければ皆さんも以下の記事でご確認ください。

戊辰戦争
戊辰戦争のリアルは悲惨だ|生活の場が戦場となり食料を奪われ民は殺害され

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西田敏行さんにナレーションやらせる残酷さよ

ここでOP。
今となっては本当に最低のOPになってしまいました。
明るく能天気でノンキ。憂いもへったくれもありゃしない。

そんでもって
「反乱の火おさまりません、バカな東北諸藩や会津のせいです」という趣旨のナレーションが入るんですが……これをまた、西田敏行さんに読ませるのが酷だよなぁ。

別に福島出身で西郷隆盛を演じるは全然アリだと思います(翔ぶが如く)。

しかし、東北を小馬鹿にするような、このナレーションを、事もあろうに福島出身の方に読ませるのは本当に残念でなりません。

あっ、もちろん、悪いのは番組スタッフだとわかりますよ。
なぜ西田さんに、そんなナレーションを担当させたのか。

そもそもナレーションの戦況説明が全くダメで、庄内、長岡、会津の名前だけしか出てこない。

仙台藩「解せぬ」
米沢藩「解せぬ」

奥羽越列藩同盟すら理解しないまま脚本が進んでおりませんか?

まあ、薩長同盟ですら色々と変な描写だったもんなぁ。

奥羽越列藩同盟
奥羽越列藩同盟は何のため?伊達家を中心とした東北31藩は戊辰戦争に敗北

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ともかく【戦上手なんだ】という曖昧な過大評価

あと本作の卑劣な特徴があります。
敵を過大評価するのです。

ここでもともかく【戦上手なんだ】という曖昧極まりない過大評価が前面にプッシュされ、兵器の違いとか、そういうのが無視されてします。

ちょっとした……些細な描写やセリフが弱い。
一つ一つが活きた説明にできていないため、うっすーーーーーーーい展開にしかならないんですね。

脚本家さんは、本気で時代物の合戦を描いたことがあるのか?
あるいは自作と他の作品を、ホンキで見比べたりしたのか?

そうやって頭の中で汗をかいてなければ、面白いものができるはずがない。
「鳥羽伏見の戦い」でも、シレッと嘘をついて、私にとっては悪意に満ちた作品にも見えてきます。

ともかく東北へ攻め込むには、新政府軍には兵も武器も金も足りない様子。
大村益次郎に圧をかけられ、西郷が薩摩へ戻ることとなりました。
島津久光に援軍を頼むんですね。

 

圧倒的に緊張感が足りない

このときの帰国は、史実ベースの話です。

帰国した西郷どんは、例によって一家団欒のグダグダTIMEへと突入しました。

安易に考えてらっしゃるかもしれませんが、こういうシーンで西郷の良さをUPできるかと思ったら大間違い。
彼が強引に戦を起こしたせいで、一家全滅した人も大勢います。

それなのに序盤と同じように、平然と一家団欒を入れ込む。
ホームパパを強調したいのでしょうけど、多くの人を殺し、生活を潰しておきながら、一家団欒が素晴らしいとは何事なのか。

圧倒的に緊張感が足りない!
こんな調子だから視聴率にも出てしまうんでしょうね。

そもそも、この時期の薩摩は、武力倒幕に反対論がありました。
天災からの復興資金が必要でしたし、遠征は経済的に大打撃となる。簡単には軍など派兵できません。

しかし、ドラマではそんなコトかんけーない。

要は、吉二郎を参戦させるためなのでしょう。
それだけのために、こんなにしつこく説明する必要ありますか?

 

これのどこがモテモテのナイスガイ?

この辺の西郷の動き。単純に言えば、こうです。

【史実】武士としての勲功欲しさに弟を戦に引っ張り込んだ

【ドラマ】泣きのシーンにするため回りくどく描いている

そして、極めつけが「子供を抱くシーン」でしょう。

戦地ではない薩摩。
自ら攻め込んでいった東日本はまるで無視するかのように平和に穏やかに自分の子供は抱いてあやす。

これのどこがモテモテのナイスガイなんですか?

そういう人間がカッコいいの?

では、どうすればよいのか?
って、んなことたぁ簡単です。

理想の武士らしく、国全体を安定させるまで我もとにかくストイックに生きる――。

もともとドラマの中での西郷どんは、平和ボケしていたにせよ、そういう一面がないわけじゃなかった。
しかし、キャラ変で全ておかしくなってしまった。

ご都合主義で面白い絵に見せることを第一にしてしまったため、そういう超原則を見落としているんですね。

 

吉二郎ってどんな人?サッパリわからない

このあと吉之助は、島津久光に兵糧や軍資金を求めに行きます。

「薩摩のためになるのか?」と疑問を持つ久光が正論ですね。そもそも薩摩にも大きな負担をかけているわけですから。

しかし、残念なことに、戦争を継続させるための説明はやらない。

史実では、会津藩に対して、しつこく前藩主・松平容保の首を要求したり、長岡藩や庄内藩に金を払えとオラついたり、世良修蔵や大山格之助、岩村精一郎あたりが、最悪の対応をしております。

でも、都合悪いから描かない。

それよりは吉二郎なワケですよ。

情感たっぷりに、悲劇的に描くための演出をしなければなりません。
今まで、ほとんど1ミリも思い出したりしなかったのに、とにかく留守を預かってくれていることに対して感謝の感謝。

これまで帰宅しても糸とイチャイチャしてばかりだったのに、急にどうした?

そんなんだから、吉二郎のキャラも立っていません。
信吾や小兵衛が戦場にいても、吉二郎が家を守るために残っていた説明とか、ありましたっけ?

こんなインスタントでくだらない唐突感あふれる演出をして、こっちが泣くとでも思っているんでしょうか。

しかも、です。
信吾にしたって
「戦場なんて好き好んでいくところじゃないよ!」
とヘタレ全開のセリフを吐くのです。

いやいや、薩摩隼人にそんな言葉似合わないって!
それともそういう史料でもあったんですかね。だったらゴメンナサイとしか言いようがないです。

 

琴子の息子も戦死するけど……スルー?

このあと、妹の琴子が何か言いにきます。

ちなみに史実では彼女の息子・市来嘉納次も出征して戦死しておりますよ。
そんなこと、どうせ調べてないか、調べても無視しているでしょ?

なぜなら吉二郎で泣かせたいから。

琴子は吉二郎を気遣えと西郷どんに言いにきたのですが……。

えぇと、これって、本当に戊辰戦争の最中なんでしょうか?
こんなつまらないシーンが必要?

そんな時間あったら、河井継之助を描いてってば!!

ここで西郷が吉二郎の願いを聞いてやると言うのですが、吉二郎が「戦に出たい」というと周囲が驚いて、私は笑ってしまいました。
本当に武士なの?

『八重の桜』の山本三郎や白虎隊出陣と比較すると、もう脱力感しかありません。

あるいは『ゴールデンカムイ』14巻に登場する鯉登少将(※鯉登少尉の父)の言葉を思いだしました。

息子がこの先死体で戻ってくるかもしれませんよ、と杉元から聞かされた彼は、いつ死んでも覚悟はできていると言い放つのです。
我が子可愛さに、息子を危険から遠ざけるのは、他の戦死した子の親に顔向けでいない、軍人として恥ずかしいことであると。

これぞ薩摩隼人の気概では?

武士という戦士身分が権力者であったのは、いざというとき戦うからこそです。
第一次世界大戦を描いた『ダウントン・アビー』でも、貴族関連でそういう描写がちゃんとありました。

 

吉二郎の出征ごときで、こんな大げさな描写やめてくれません?
どうせ死ぬから、泣かせようっていうだけでしょ。

死者を美化する、利用するっていうのは、こういうことを言うのです。

 

信吾が撃たれたときと比べて多少成長

吉二郎が出立して数日後、村田新八がやってきました。
ここでガトリング砲について説明されます。

にしても鹿児島と長岡の距離感が違和感あるなぁ。

西郷は軍艦で長岡藩に向かいます。ただ、もうあらかた終わったところで到着するのです。

本作の描き方だと、身内かわいさのために軍艦をホイホイ使ったように見えて、公私混同っぷりが凄まじいことになっております。なんで本作はこんなに身内贔屓と公私混同が好きなんですか?

と思ったら……。

西郷どんが作戦を練っていると、吉二郎が撃たれたという報告が入りました。
そこで吉之助、「兵の命は同じだから」と言うあたりは、信吾が撃たれたときと比べて多少成長しましたね……って、本来それが当たり前だけどなっ!

ちなみに北越戦争では、西軍もみっともないくらい醜態を見せておりますけど、さすがにそこはやらないようですね。まぁ、いいけど。

 

・大声出して ・負傷者を見舞いに行く

にしても戊辰戦争での西郷どんって、何がすごかったんでしょう?

彰義隊との上野戦争では、大村益次郎に「あんたらバカ?戦は数じゃないよ」と頭から否定されてました。

他の戦場にしたって、
・大声出して

ぐらいしか見てません。

作戦の立案や戦闘での見どころなどが一切ない。

何やったの?

今からでもいいから脚本家さんに説明してもらいたい。
こんなザマでよく「戦の鬼」とか言えたな、と思う。

そして、吉二郎の見舞いへ……。

本当にこのドラマは【フェイストゥフェイス】にしないとダメだ――というクソシステムが大好きですね。

戦死報告を聞くんじゃ足りないの?
吉二郎なんて、西郷どんすら思い出さなかったぐらいにどうでもエエ存在。今日いきなり目立せて、今日いきなり殺すキャラだけに、視聴者も口ポカーンでは?

結局、ですよ。

この戊辰戦争で大きくクローズアップされたのって
・信吾の怪我
・吉二郎の死
それと
・大村益次郎のおでこ
ぐらいでは?

そもそもは、西郷が江戸の町を混乱に陥れ、ノリノリで始めた戦争です。
それがアッサリ終了!

やっぱり『八重の桜』を見た方が勉強になりますよ。
なにより単純に面白いです。

てか、そういえば……庄内藩の処理もやらないの?

そこは絶対に飛ばすなよ!
西郷のいい話じゃん!

やはり本作は、西郷隆盛の歩みにすら興味がなかったのでしょう。

というわけで本サイトで、庄内藩の関連記事を公開させていただきました。

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突如狂ったように笑い出す大久保(大丈夫?)

このあと、西郷どんと大久保が東京で笑いあっています。

ここで西郷どん、薩摩に帰ると言いだします。
もう役目は終わった。

なんかもう、めんどくさいこと投げっぱなし。
故郷に戻ってホームパパをしたいだけの無責任クズにしか見えなくてつらいです。

世界に負けない日本を作ってね、とか大久保に丸投げしすぎだってばー。

西郷どんがなぜ帰郷するか?

その理由をろくに描かないで、情感たっぷりのBGMでごまかすだけだから、しまいには
「ふははははははは」
と大久保も笑い出す。

正直、気持ち悪い。意味がわからんのです。
うん、もうチェスト(※『衛府の七忍』的な意味で)でいいや。

このあと、西郷どんが薩摩に戻ります。吉二郎の遺髪を妻に届けました。

おうおう、あんたのせいだよ。
無理矢理武力倒幕するために、江戸で放火殺人強盗をして、会津藩はじめ奥羽に無茶振りしたあんたのせいだ。

いわば自業自得なのに、辛そうな顔をする西郷どん。
「戦の鬼」とかノリノリだったことを思い出すともう、どういう反応していいか困りますねえ。

会津の苦労はこんなもんじゃねえぞ?

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北海道にぶん投げられた奥羽の人々も山ほどいるわなあ。

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このあと、吉二郎のへそくりが出てきます。
どうでもエエ。どうでもエエわ。

映像化された中で、一番出来の悪い戊辰戦争です。

西郷どんが、戦を強引に起こしたことを反省すればマシでした。
そもそも、戦の理由は慶喜排除のためです。
それをヘラヘラ助命して、戦争を止めることもできず、弟(とドラマでは省かれた甥)まで死なせておいて。

「ううううううっ吉二郎〜〜〜」じゃないでしょっ!

あのですね。
こういう身内の死者描写で秀逸だったのは、前も指摘したけど『八重の桜』でございます。

あの作品で、我が子・三郎の死を「武士として名誉なことだ!」と泣き笑う権八の姿には泣かされましたわ。
それと比較すると、今回は、ぶっちゃけ不要。

西郷どん断髪します。

「何を思うか、西郷どん」
って、そりゃ、こっちのセリフですわ!

 

ドーンと大きい西郷隆盛像はもはや時代遅れ

はい、本日のニュースです。こういう声を無視すればこそ、本作は低迷するんです。

◆全国で盛り上がる「明治150年」…戊辰戦争で“負けた側”の人々にとっては150回忌のようなもの(→link

今週も邪悪極まりない、ゲス極ですわ。

西郷どんの弟の死>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>戊辰戦争死傷者

そもそもその戦争を無理矢理始めたのは誰でしたっけ?

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そうそう。
幕末史がらみの本を読んでいて痛感したことがあります。。

最近は、西郷隆盛像が変貌しつつあるのです。
かつてのドーンと大きく豪快な西郷隆盛像はもはや時代遅れになりつつあるのだと。

例えば「神経質で心を病んでいた、憂鬱な西郷隆盛像」が注目を集めております。

そこを踏まえると、本作のマヌケっぷりが際立つことよ。

何ですか、あのメインビジュアルは……トランポリンまで使って、大口を開けてジャンプしている……この段階で、この西郷像はダメだと丸わかりなんです。

『真田丸』は、その点素晴らしかった。
何が?って「真田幸村」ではなくて「真田信繁」だと言い切ったところです。

幸村という名前は特別なもの。
それだけでロマンあふれるもの。

それを敢えて使わず、信繁でいく――これは最新研究とすりあわせてゆくぞ、という宣言に他なりません。

最新研究をふまえた西郷隆盛像ならば、やっぱり『八重の桜』がピカイチです。

今年のことはもう忘れよう。
あ、でも、最低視聴率については、覚えておきましょうね。

 

考察:孝明天皇宸翰の衝撃は終わらない

ここでクイズです。

Q: 戊辰戦争時の会津藩主は誰でしょう?

松平容保」ですって?

ブブ~♪

正解は、容保が養子にした松平喜徳(徳川慶喜の弟)なんですね。
当時まだ中学生くらいの年齢です。

松平喜徳/wikipediaより引用

どうしてこうなったか?
と言いますと、容保は藩主の座を退き、隠棲すると宣言していたのです。

慶喜と同様に地位を返上し、反省するから許して欲しいと低姿勢そのもの。
会津藩の家老たちも、謝罪していました。

それを、新政府側が一切受け付けなかった――。

長州藩としては「八月十八日の政変」から「禁門の変」まで、会津藩が頑固に自分たちの謝罪を突っぱねたからその仕返しだ、会津も朝敵になって苦しめばいい、という思いがあったようです。

まぁ、怨恨ッスね。

薩摩も長州も、関ヶ原で負けた恨みがあるわけじゃないですか。

「負けた側の会津あたりが、未だに恨みに思うなんて〜」
なんて意見ありますけど、関ヶ原から幕末まで何年経っておりましたっけ? 約250年規模ですよ。

会津はじめ賊軍とされた藩は、明治以降も嫌がらせとしか思えない措置を長いことされてきました。
それを考えると、150年前の期間はグッと縮み、さらに身近なものとなってきます。

話を戻しますと……。
薩長の態度があまりに強引で、奥羽諸藩は「おかしい」と戸惑い始めました。

「会津と庄内がここまで反省しているのに、なんでゴリゴリ攻めてくるの? おかしくね? ぶっちゃけ私怨だよね?」

仙台藩・米沢藩はじめとする奥羽の戸惑い。
それが戊辰戦争背後にあるのです。

しかし、本作は華麗にスルー。一方的に反抗する立場の者たちとされました。

いいですか?

「新政府軍は許してやりたいのに、空気を読めない越後東北の馬鹿のせいで最悪の結果に……」
というのは
嘘!
ですからね。

こうして「戊辰戦争が私怨だったんじゃね?」
と指摘しますと、必ず次のような反論が帰ってきました。

禁門の変で、会津が長州いじめたじゃん! その仕返しだろ!!」

それに対し、ついに会津側が動かぬ証拠を突き出します。

「私怨じゃないんだよな。孝明天皇に頼まれたんだよね」

禁門の変(蛤御門の変)
「禁門の変」の背景にあった不都合な真実|孝明天皇は長州藩の排除を望んでいた

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この証拠が出たてきたとき、長州側がアワアワアワ……とパニックになったそうで。

ぶっちゃけ、そんな状況が21世紀まで続くとは思いませんでした。

『八重の桜』でこの証拠・孝明天皇宸翰(天皇直筆の文書)関連がガッツリと、しかも史実に則して描かれたのです。
一応のテレビ的結論も話がついたであろう、そう考えました。

しかし、
「見せてあげますよ、新政府側の大河を……」
と言わんばかりに出てきたのが、『花燃ゆ』と『西郷どん』ですからね。

堂々と史実で反論すればよいものを、捏造まみれの自己正当化に徹していたのもおかしい。

明治維新から150周年。
未だに孝明天皇宸翰ってヤバイんですね。

だって、『八重の桜』へのカウンターとして作られた薩長大河が、揃って
「一桁薩長同盟」
を達成してしまいましたからね……やってくれると思っていたぞ、『西郷どん』!

しかも、西郷の人生の見せ場である江戸無血開城で達成だ!

近年ないほど宣伝番組を作り、トークショーを開催し、出演者をガッツリおさえ、もしかして『花燃ゆ』を見捨てるつもりか!!と焦っておりました。
明治維新150周年というムードもありましたしね。

しかし、これだけの布陣でありながら堂々の一桁陥落。
これぞまさしく「平成の一桁薩長同盟」です。

これに関して、
「それでも関西は好調です!」
だけは、絶対に言ってはいかんフォローだと思います。

毎年、関東基準で数値をはかっているというのもありますが。
今年は、
「西日本の京都、長州の民を殺しちゃ駄目! でも東日本の連中は、江戸中放火してでも戦争起こさないとね〜」
という内容ですからね。

そりゃまあ、幕末は東西で戦った内戦です。
西は『八重の桜』の時こらえたもんね、と言いたいでしょう?

『八重の桜』:当時の史実を、史料を元に再現し、会津藩はじめ東日本が西日本の西軍に攻められて戦った様子を描く

『西郷どん』:当時の史実をテキトーに濁し、史料にない幕府の悪事を捏造し、「東日本の馬鹿が戦争したがるんだもん! 西軍は何も悪くないもんねー!!」と誤魔化す

フーッ……みなまで言うなって話だけども。どうなんですか、これは実際のところ。

そういうごまかしが受けないからこそ、「一桁薩長同盟」なんでしょ?
ズルしておきながら、惨敗したってことですよ!

しかも150周年という記念の年。
ちょっとダサすぎませんか?

ちなみに「孝明天皇宸翰」実物は、会津若松市の鶴ヶ城で展示中だそうです。

実物を目にしたい方、是非訪れてみましょう。
よろしければ『八重の桜』もご一緒に。

合わせて鬼玄蕃こと酒井了恒さんも!


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【参考】
NHK西郷どん公式サイト(→link)等

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武者震之助

2015年の大河ドラマ『花燃ゆ』以来、毎年レビューを担当。大河ドラマにとっての魏徴(ぎちょう)たらんと自認しているが、そう思うのは本人だけである。

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