『西郷どん完全版第壱集Blu-ray』/wikipediaより引用

西郷どん感想あらすじ

『西郷どん』感想あらすじ視聴率 第38回「傷だらけの維新」


琴子の息子も戦死するけど……スルー?

このあと、妹の琴子が何か言いにきます。

ちなみに史実では彼女の息子・市来嘉納次も出征して戦死しておりますよ。
そんなこと、どうせ調べてないか、調べても無視しているでしょ?

なぜなら吉二郎で泣かせたいから。

琴子は吉二郎を気遣えと西郷どんに言いにきたのですが……。

えぇと、これって、本当に戊辰戦争の最中なんでしょうか?
こんなつまらないシーンが必要?

そんな時間あったら、河井継之助を描いてってば!!

ここで西郷が吉二郎の願いを聞いてやると言うのですが、吉二郎が「戦に出たい」というと周囲が驚いて、私は笑ってしまいました。
本当に武士なの?

八重の桜』の山本三郎や白虎隊出陣と比較すると、もう脱力感しかありません。

あるいは『ゴールデンカムイ』14巻に登場する鯉登少将(※鯉登少尉の父)の言葉を思いだしました。

息子がこの先死体で戻ってくるかもしれませんよ、と杉元から聞かされた彼は、いつ死んでも覚悟はできていると言い放つのです。
我が子可愛さに、息子を危険から遠ざけるのは、他の戦死した子の親に顔向けでいない、軍人として恥ずかしいことであると。

これぞ薩摩隼人の気概では?

武士という戦士身分が権力者であったのは、いざというとき戦うからこそです。
第一次世界大戦を描いた『ダウントン・アビー』でも、貴族関連でそういう描写がちゃんとありました。

 

吉二郎の出征ごときで、こんな大げさな描写やめてくれません?
どうせ死ぬから、泣かせようっていうだけでしょ。

死者を美化する、利用するっていうのは、こういうことを言うのです。

 


信吾が撃たれたときと比べて多少成長

吉二郎が出立して数日後、村田新八がやってきました。
ここでガトリング砲について説明されます。

にしても鹿児島と長岡の距離感が違和感あるなぁ。

西郷は軍艦で長岡藩に向かいます。ただ、もうあらかた終わったところで到着するのです。

本作の描き方だと、身内かわいさのために軍艦をホイホイ使ったように見えて、公私混同っぷりが凄まじいことになっております。なんで本作はこんなに身内贔屓と公私混同が好きなんですか?

と思ったら……。

西郷どんが作戦を練っていると、吉二郎が撃たれたという報告が入りました。
そこで吉之助、「兵の命は同じだから」と言うあたりは、信吾が撃たれたときと比べて多少成長しましたね……って、本来それが当たり前だけどなっ!

ちなみに北越戦争では、西軍もみっともないくらい醜態を見せておりますけど、さすがにそこはやらないようですね。まぁ、いいけど。

 


・大声出して ・負傷者を見舞いに行く

にしても戊辰戦争での西郷どんって、何がすごかったんでしょう?

彰義隊との上野戦争では、大村益次郎に「あんたらバカ?戦は数じゃないよ」と頭から否定されてました。

他の戦場にしたって、
・大声出して

ぐらいしか見てません。

作戦の立案や戦闘での見どころなどが一切ない。

何やったの?

今からでもいいから脚本家さんに説明してもらいたい。
こんなザマでよく「戦の鬼」とか言えたな、と思う。

そして、吉二郎の見舞いへ……。

本当にこのドラマは【フェイストゥフェイス】にしないとダメだ――というクソシステムが大好きですね。

戦死報告を聞くんじゃ足りないの?
吉二郎なんて、西郷どんすら思い出さなかったぐらいにどうでもエエ存在。今日いきなり目立せて、今日いきなり殺すキャラだけに、視聴者も口ポカーンでは?

結局、ですよ。

この戊辰戦争で大きくクローズアップされたのって
・信吾の怪我
・吉二郎の死
それと
・大村益次郎のおでこ
ぐらいでは?

そもそもは、西郷が江戸の町を混乱に陥れ、ノリノリで始めた戦争です。
それがアッサリ終了!

やっぱり『八重の桜』を見た方が勉強になりますよ。
なにより単純に面白いです。

てか、そういえば……庄内藩の処理もやらないの?

そこは絶対に飛ばすなよ!
西郷のいい話じゃん!

やはり本作は、西郷隆盛の歩みにすら興味がなかったのでしょう。

というわけで本サイトで、庄内藩の関連記事を公開させていただきました。

酒井了恒(酒井玄蕃)
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突如狂ったように笑い出す大久保(大丈夫?)

このあと、西郷どんと大久保が東京で笑いあっています。

ここで西郷どん、薩摩に帰ると言いだします。
もう役目は終わった。

なんかもう、めんどくさいこと投げっぱなし。
故郷に戻ってホームパパをしたいだけの無責任クズにしか見えなくてつらいです。

世界に負けない日本を作ってね、とか大久保に丸投げしすぎだってばー。

西郷どんがなぜ帰郷するか?

その理由をろくに描かないで、情感たっぷりのBGMでごまかすだけだから、しまいには
「ふははははははは」
と大久保も笑い出す。

正直、気持ち悪い。意味がわからんのです。
うん、もうチェスト(※『衛府の七忍』的な意味で)でいいや。

このあと、西郷どんが薩摩に戻ります。吉二郎の遺髪を妻に届けました。

おうおう、あんたのせいだよ。
無理矢理武力倒幕するために、江戸で放火殺人強盗をして、会津藩はじめ奥羽に無茶振りしたあんたのせいだ。

いわば自業自得なのに、辛そうな顔をする西郷どん。
「戦の鬼」とかノリノリだったことを思い出すともう、どういう反応していいか困りますねえ。

会津の苦労はこんなもんじゃねえぞ?

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北海道にぶん投げられた奥羽の人々も山ほどいるわなあ。

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このあと、吉二郎のへそくりが出てきます。
どうでもエエ。どうでもエエわ。

映像化された中で、一番出来の悪い戊辰戦争です。

西郷どんが、戦を強引に起こしたことを反省すればマシでした。
そもそも、戦の理由は慶喜排除のためです。
それをヘラヘラ助命して、戦争を止めることもできず、弟(とドラマでは省かれた甥)まで死なせておいて。

「ううううううっ吉二郎〜〜〜」じゃないでしょっ!

あのですね。
こういう身内の死者描写で秀逸だったのは、前も指摘したけど『八重の桜』でございます。

あの作品で、我が子・三郎の死を「武士として名誉なことだ!」と泣き笑う権八の姿には泣かされましたわ。
それと比較すると、今回は、ぶっちゃけ不要。

西郷どん断髪します。

「何を思うか、西郷どん」
って、そりゃ、こっちのセリフですわ!

 


ドーンと大きい西郷隆盛像はもはや時代遅れ

はい、本日のニュースです。こういう声を無視すればこそ、本作は低迷するんです。

◆全国で盛り上がる「明治150年」…戊辰戦争で“負けた側”の人々にとっては150回忌のようなもの(→link

今週も邪悪極まりない、ゲス極ですわ。

西郷どんの弟の死>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>戊辰戦争死傷者

そもそもその戦争を無理矢理始めたのは誰でしたっけ?

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そうそう。
幕末史がらみの本を読んでいて痛感したことがあります。。

最近は、西郷隆盛像が変貌しつつあるのです。
かつてのドーンと大きく豪快な西郷隆盛像はもはや時代遅れになりつつあるのだと。

例えば「神経質で心を病んでいた、憂鬱な西郷隆盛像」が注目を集めております。

そこを踏まえると、本作のマヌケっぷりが際立つことよ。

何ですか、あのメインビジュアルは……トランポリンまで使って、大口を開けてジャンプしている……この段階で、この西郷像はダメだと丸わかりなんです。

『真田丸』は、その点素晴らしかった。
何が?って「真田幸村」ではなくて「真田信繁」だと言い切ったところです。

幸村という名前は特別なもの。
それだけでロマンあふれるもの。

それを敢えて使わず、信繁でいく――これは最新研究とすりあわせてゆくぞ、という宣言に他なりません。

最新研究をふまえた西郷隆盛像ならば、やっぱり『八重の桜』がピカイチです。

今年のことはもう忘れよう。
あ、でも、最低視聴率については、覚えておきましょうね。

 

考察:孝明天皇宸翰の衝撃は終わらない

ここでクイズです。

Q: 戊辰戦争時の会津藩主は誰でしょう?

松平容保」ですって?

ブブ~♪

正解は、容保が養子にした松平喜徳(徳川慶喜の弟)なんですね。
当時まだ中学生くらいの年齢です。

松平喜徳/wikipediaより引用

どうしてこうなったか?
と言いますと、容保は藩主の座を退き、隠棲すると宣言していたのです。

慶喜と同様に地位を返上し、反省するから許して欲しいと低姿勢そのもの。
会津藩の家老たちも、謝罪していました。

それを、新政府側が一切受け付けなかった――。

長州藩としては「八月十八日の政変」から「禁門の変」まで、会津藩が頑固に自分たちの謝罪を突っぱねたからその仕返しだ、会津も朝敵になって苦しめばいい、という思いがあったようです。

まぁ、怨恨ッスね。

薩摩も長州も、関ヶ原で負けた恨みがあるわけじゃないですか。

「負けた側の会津あたりが、未だに恨みに思うなんて〜」
なんて意見ありますけど、関ヶ原から幕末まで何年経っておりましたっけ? 約250年規模ですよ。

会津はじめ賊軍とされた藩は、明治以降も嫌がらせとしか思えない措置を長いことされてきました。
それを考えると、150年前の期間はグッと縮み、さらに身近なものとなってきます。

話を戻しますと……。
薩長の態度があまりに強引で、奥羽諸藩は「おかしい」と戸惑い始めました。

「会津と庄内がここまで反省しているのに、なんでゴリゴリ攻めてくるの? おかしくね? ぶっちゃけ私怨だよね?」

仙台藩・米沢藩はじめとする奥羽の戸惑い。
それが戊辰戦争背後にあるのです。

しかし、本作は華麗にスルー。一方的に反抗する立場の者たちとされました。

いいですか?

「新政府軍は許してやりたいのに、空気を読めない越後東北の馬鹿のせいで最悪の結果に……」
というのは
嘘!
ですからね。

こうして「戊辰戦争が私怨だったんじゃね?」
と指摘しますと、必ず次のような反論が帰ってきました。

「禁門の変で、会津が長州いじめたじゃん! その仕返しだろ!!」

それに対し、ついに会津側が動かぬ証拠を突き出します。

「私怨じゃないんだよな。孝明天皇に頼まれたんだよね」

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この証拠が出たてきたとき、長州側がアワアワアワ……とパニックになったそうで。

ぶっちゃけ、そんな状況が21世紀まで続くとは思いませんでした。

『八重の桜』でこの証拠・孝明天皇宸翰(天皇直筆の文書)関連がガッツリと、しかも史実に則して描かれたのです。
一応のテレビ的結論も話がついたであろう、そう考えました。

しかし、
「見せてあげますよ、新政府側の大河を……」
と言わんばかりに出てきたのが、『花燃ゆ』と『西郷どん』ですからね。

堂々と史実で反論すればよいものを、捏造まみれの自己正当化に徹していたのもおかしい。

明治維新から150周年。
未だに孝明天皇宸翰ってヤバイんですね。

だって、『八重の桜』へのカウンターとして作られた薩長大河が、揃って
「一桁薩長同盟」
を達成してしまいましたからね……やってくれると思っていたぞ、『西郷どん』!

しかも、西郷の人生の見せ場である江戸無血開城で達成だ!

近年ないほど宣伝番組を作り、トークショーを開催し、出演者をガッツリおさえ、もしかして『花燃ゆ』を見捨てるつもりか!!と焦っておりました。
明治維新150周年というムードもありましたしね。

しかし、これだけの布陣でありながら堂々の一桁陥落。
これぞまさしく「平成の一桁薩長同盟」です。

これに関して、
「それでも関西は好調です!」
だけは、絶対に言ってはいかんフォローだと思います。

毎年、関東基準で数値をはかっているというのもありますが。
今年は、
「西日本の京都、長州の民を殺しちゃ駄目! でも東日本の連中は、江戸中放火してでも戦争起こさないとね〜」
という内容ですからね。

そりゃまあ、幕末は東西で戦った内戦です。
西は『八重の桜』の時こらえたもんね、と言いたいでしょう?

『八重の桜』:当時の史実を、史料を元に再現し、会津藩はじめ東日本が西日本の西軍に攻められて戦った様子を描く

『西郷どん』:当時の史実をテキトーに濁し、史料にない幕府の悪事を捏造し、「東日本の馬鹿が戦争したがるんだもん! 西軍は何も悪くないもんねー!!」と誤魔化す

フーッ……みなまで言うなって話だけども。どうなんですか、これは実際のところ。

そういうごまかしが受けないからこそ、「一桁薩長同盟」なんでしょ?
ズルしておきながら、惨敗したってことですよ!

しかも150周年という記念の年。
ちょっとダサすぎませんか?

ちなみに「孝明天皇宸翰」実物は、会津若松市の鶴ヶ城で展示中だそうです。

実物を目にしたい方、是非訪れてみましょう。
よろしければ『八重の桜』もご一緒に。

合わせて鬼玄蕃こと酒井了恒さんも!

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著:武者震之助
絵:小久ヒロ

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【参考】
西郷どん感想あらすじ
NHK西郷どん公式サイト(→link)等

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