明智城の戦い

明智光秀(左)と斎藤義龍/wikipediaより引用

明智家

明智城の戦いは美濃の要衝を巡る合戦~だから光秀や光安の居城は義龍に攻められた

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明智城の戦いは見せしめで行われた?

基本的に攻城戦まで行ってしまうような戦いは、いつの時代もコストが高くつくのでやりません。

築城に目的があれば、戦いにも必ず目的があります。それを見ていきましょう。

長良川の戦い」で道三を討ち果たした斎藤義龍は、既に目的を達成しています。

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それでも義龍は明智城攻めにこだわりました。

家臣の殆どは「明智は説得すれば必ず降りる。今さら力攻めをする必要もない」と提案しましたが、義龍は「見せしめ」による東濃地域の支配力強化を狙っていたのかもしれません。

結局、家臣の説得も聞かず、長井道利を総大将として遠征軍を明智城に派遣したのです。

長井道利の遠征軍を迎え撃つ、光秀の叔父・明智光安は、明智城に籠城しました。

攻城戦の模様は残念ながら現代に伝わっていません。

難攻不落とは言い難い、つまりは攻めやすい明智城は四方八方からの攻撃にさらされ、最終的に光安が城に火を放って自害したと言われています。

 


残念な明智城の構造

明智城は現在の地形図を見ても、それほど堅固な城には見えません。詰めの山城としては緩やかで、尾根にも切岸などの工夫がない。

明智城は、本当は近所の「顔戸城」だったなんて説もあります。

城としては緩すぎて明智の城が本当にここだったのか?という疑問も納得できるものです。

また、明智城は数本ある尾根の一角のみに築城されたことが分かります。

あと少しだけ工夫しておけば、明智城が山城として完璧な構造になれたのに……非常に残念でなりません。

この城は、西に向かって逆Cの字をした馬蹄型の一端を利用して築城されています。実は馬蹄型というのはは、山城として最強の城を築けます。

近江浅井家の小谷城などがまさにそう。

互いに向かい合う山は連携しやすい曲輪となり、袋小路に入った攻城側を少ない兵力でも四方八方から攻めることが可能となります。

しかし明智城は、北側の尾根や東側の高い山を城郭に取り込んだ形跡が見られません。

財力や人員の大小によっても城の大きさは決まりますので、一国の領主ではない明智氏にはそこまで拡張できなかったのでしょうか。

基本的に要塞の維持は莫大なコストがかかります。浅井家のような規模の領主にならないと城の大規模化は不可能です。

このように、明智城で踏ん張ろうにも、城の構造が戦闘向きに工夫されていなかったこと、互いに連携できる味方が城外にいなかったことが最大の敗因です。

 


本能寺に繋がる経験だった?

籠城戦が、後の明智光秀にどのような影響を与えたかは分かりません。

が、これでよしとされていた今までの城郭構造では、大規模化する戦国大名の攻撃には耐えられないということを学んだのではないでしょうか。

さらに、不人気あるいは不安定な総大将(道三)に最後まで付き従うことの危うさを、このとき経験したことが、後の本能寺の変に繋がったのかもしれません。

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いずれにせよ、重要なことは明智光秀の前半生は一切分かっていないということです。

「明智城の戦い」に、光秀の「光」の字も出てきません。

しかし学問的には一切分かっていないというのが、逆に妄想を膨らませる余地があるので大河ドラマ向きなのかもしれません。

そこが明智光秀の魅力でもあるのでしょう。


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筆者:R.Fujise(お城野郎)

◆同著者その他の記事は→【お城野郎!

武将ジャパンお城野郎FUJISEさんイラスト300-4

日本城郭保全協会 研究ユニットリーダー(メンバー1人)。

現存十二天守からフェイクな城までハイパーポジティブシンキングで日本各地のお城を紹介。

特技は妄想力を発動することにより現代に城郭を再現できること(ただし脳内に限る)。

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