いったい明智光安とは何者なのか?
大河ドラマ『麒麟がくる』で、戸惑う方が多かったのがこの明智光安という武将でした。
ドラマで演じていたのは、名脇役としてお馴染みの西村まさ彦さん。
『真田丸』での室賀正武は「黙れ、小童ぁ~!」という決め台詞が一躍話題となりましたが、『麒麟がくる』では主人公・明智光秀の良き叔父御として最期は城を枕に討死しました。
一説には弘治2年(1556年)9月26日のこととされます。
果たしてこの光安は、史実ではどんな武将だったのか?
その生涯を振り返ってみましょう。
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光秀の父の死後、後見人となった明智光安
前述の通り、明智光安は、明智光秀の叔父とされます。
ただし、他の明智一族同様、その生涯について、確実な史実からの実態は全く分かっておりません。
生年すら不明であり、信頼性の劣る系図類や『明智軍記』等を参照して進めますと、光安は明智光継(みつつぐ)の息子として生誕。
明智氏の家督を継承したのは、兄の明智光綱(みつつな)でした。
この光綱こそが光秀の父とされ、関係性をザックリと系図で記すとこうなります。
【光秀までの明智家三代略図】
明智光継
│
明智光綱(兄)ー光安(弟)―他の弟
│
明智光秀
明智光安は、自身の弟たちにあたる明智光久・明智光廉らと共に、一門衆として兄・光綱(光秀の父)をサポートしていたのではないかと考えられています。
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しかし、その時代は長くは続きませんでした。
当主の光綱が天文7年(1538年)に早逝。
当時まだ11歳だったとされる光秀が、一族を率いるのは困難だと考えられたのでしょう。
光秀の祖父・光継の命令により、叔父・光安を中心にした一門が事実上の実権を握り、同時に彼は光秀の後見人ともなりました。
領国経営は光安らに任せ、光秀は将来に備えた修行に明け暮れたともいいます。
道三に近づき御家を保っていたが……
戦乱の美濃でどう生き抜いていくか――。
明智城を中心に東美濃で勢力を有していた光安は、当時、台頭しつつあった斎藤道三に従うことで生き残りを図りました。
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結果として道三は国盗りを成し遂げ、この時点での判断は正解だったと言えましょう。
後述する明智城の落城までには入道して、光安ではなく「宗寂」と名乗っていたようです。
そうこうするうちに美濃守護の土岐頼芸を追い出し、支配した斎藤道三。
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やがて自身の息子である義龍との対立が表面化し、衝突が避けられない情勢となります。
この親子間トラブル、かつては道三を裏切った義龍がヒール役で描かれがちでしたが、近年では、道三が悪質な国盗りや政権奪取後の失政などによって家臣らの信任を失い、代わって義龍の勢力が伸びていたという見方が浮上しております。
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道三が、信長の妻・帰蝶の父であり、信長も頼りにしていたため、かなりバイアスのかかった【道三贔屓史観】とでも申しましょうか。
斎藤家は、結果的に美濃を追い出されており、いわば信長サイドから見た「勝者の歴史」だったんですね。
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3000の兵に明智城を囲まれ
道三の配下にある明智氏にとって、彼らの親子対立は他人事ではありませんでした。
どちらの勢力に味方するか。
それを決定しなければならず、光安は決断に窮してしまいました。
なぜなら一説には、明智光安の娘が道三の正室として斎藤家に嫁いでいたとされ、光安からすれば道三が娘婿という関係性にあったからだと目されています。
もとより血縁関係だけでなく、個人間の親交も厚かったとされ、道三を見限れなかったようです。
ただし、美濃国内での状況は、道三が不利な立場であることは明白であり、結果的に光安は苦し紛れの「中立策」を採りました。
義龍からも帰順勧告は届いていながら、「味方する」という明確なスタンスまでは明かしていないのです。
結局、どちらの勢力にも属することがないまま、迎えた弘治2年(1556年)。
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道三を打倒した義龍は、中立を宣言しながら味方にはならなかった明智氏に反感を抱きます。
あるいは東美濃における反義龍勢力の台頭に恐れを感じたのか。
家臣らの諫めにも耳を貸さずに討伐を決意し、3000余りの兵を差し向けました。
対する明智勢はわずかな兵力しか有しておらず、光安らは絶体絶命の危機に直面してしまうのです。
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