願證寺山門/photo by 立花左近 wikipediaより引用

信長公記 寺社・一揆

信長を苦しめてきた伊勢長島の願証寺を攻略だ!超わかる信長公記114話

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まずは5つの拠点を攻略せよ

織田家の水軍といえば九鬼嘉隆が有名ですね。

その九鬼と滝川一益が安宅船、島田秀満・林秀貞が囲い舟を用意し、周辺地域からも舟をかき集めたとありますから、相当な大船団だったのでしょう。

伊勢にいた信長の次男・織田信雄も、大船で参陣したといいます。

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陸海双方から攻められた一揆勢。彼らは妻子を連れて長島へ逃げ込みました。

信長と信忠は殿名(桑名市)へ渡り、陣を張ってから駆け回って戦況を確認し、軍勢の再分配を行います。

近辺には5つの拠点があり、一揆勢はそれぞれに立て籠もっていたのです。信長はこれらの拠点を各個撃破することにし、以下のように武将や親族を割り振りました。

【篠橋城】

織田信広・織田信成・織田信次
氏家直通・安藤守就・水野信元

【大鳥居城】

【坂手の陣】

佐久間信盛・信栄父子

【推付の陣】

市橋長利・不破直光・丹羽長秀

【加路戸島の陣】

織田信包
林秀貞・島田秀満

【大島の陣】

織田信雄・織田信孝

織田氏だけでも、かなりの人数が動員されていますね。少し整理しておきましょう。

信長の親族衆

織田信広と織田信包→信長の兄弟

織田信成→信長の父方のいとこ、かつ縁戚(信長の姉妹・小幡殿が信成の妻)

織田信次→信長の父・信秀の末弟(信長にとっては叔父)

信雄・信孝は信長の次男・三男ですから、まさに親族総動員。

織田家の家臣もほとんどが参加していますが、先述の理由で北近江を離れられなかった羽柴秀吉や、京都での政務を預かっていた明智光秀は参加していません。

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後々のことを考えると、なんだか意味深な気もしますね。信長がこの二人をいかに重用していたか、という点も推し量れるかと。

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逃げ出そうとした男女1,000人を切り捨て

5つの拠点の地名は全て、現在の桑名市にあたります。

このうち、大鳥居と篠橋の一揆勢は、戦闘が始まってしばらくしてから赦免を願い出てきました。

……が、信長は許さず、兵糧攻めへ切り替えます。これまでの経緯を考えれば、そう簡単に助命するわけにはいきません。

半月ほど経った8月2日。
この地域は激しい風雨になったようです。新暦では8月18日頃ですから、台風でしょうか。

これに紛れて、大鳥居にこもっていた一揆勢が逃げ出そうとしました。しかし織田軍が察知し、男女1,000人ほどを切り捨てたといいます。

ただ逃げるだけではどうにもならない――そう判断したのでしょう。

8月12日には篠橋の一揆勢から

「長島城に入って織田方のために働くので、ここから出ることを許してほしい」

と願い出がありました。

信長はこれについては許し、一命を助けています。ずいぶん対応が違いますが、これはおそらく

・もしも言葉の通りに働けば、織田軍に有利になる
・長島に入って徹底抗戦されたとしても、城内で兵糧の消費が加速する=兵糧攻めがしやすくなる

という判断があったのでしょう。

その結果どうなったか?
……と、その前に、次回は同時進行していた別のトラブル話が挟まります。

お待ちになれない方は、長島一向一揆をまとめた以下の記事を先にご覧いただければ幸いです。

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長月 七紀・記

【参考】
TOP画像 photo by 立花左近
国史大辞典
『現代語訳 信長公記 (新人物文庫)』(→amazon
『信長研究の最前線 (歴史新書y 49)』(→amazon
『織田信長合戦全録―桶狭間から本能寺まで (中公新書)』(→amazon
『信長と消えた家臣たち』(→amazon
『織田信長家臣人名辞典』(→amazon
『戦国武将合戦事典』(→amazon


 



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