絵・小久ヒロ

斎藤家 信長公記

“マムシの道三”末っ子が信長の家臣として越中へ進軍! 信長公記170・172話

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道三の末っ子が越中へ進軍
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月岡野で戦闘!

天正六年10月4日、斎藤新五は越中の中部にある本郷(富山市)で陣を構えました。

敵の河田長親と椎名道之が今和泉(富山市)に立てこもっていたので、新五は夜に火を放って攻めかかります。

すると、夜明け頃に撤退しようとしたところで、敵軍が出撃してきました。

このままでは背後から追撃を受けるカタチになり、織田軍が不利。

新五は冷静に退き、足場の良いところまで敵をおびき寄せました。

そして月岡野(富山市上栄付近)というところで本格的な戦闘を開始させるのです。

追ってきたはずの敵を追い崩し、実に360もの首を挙げた大勝利になった!

そう『信長公記』に記されています。

新五にとっては義理の兄にあたる美濃の姉小路頼綱も加勢したようです。

織田軍はそのまま越中各所へ進み、各地から人質をとって、後方にいる神保長住の城へ届けています。

長住はもともと越中の大名だったとされているので、正式に旧領へ復帰できた際、円滑に統治するための人質……というところでしょうか。

これによって、越中における織田家の勢力圏は一段と広がり、逆に上杉家の力は衰退しました。

また、越中と上杉家の繋がりがほぼ絶たれたことにより、【加賀の一向一揆】相手に長期戦を強いられていた柴田勝家の援護にも繋がっています。

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一方、このころの織田信長と言えば……?

 

相撲大会を開いていました

京都にいた信長は、10月5日に相撲大会を開いていました。

畿内・近江の力士を二条御新造に呼び、相撲を取らせて摂家・清華家の人々に見せたのです。

部下が激しい合戦をしているのに自分だけ楽しんでいた……ワケではないでしょう。

相手が公家の中でもエラい人達ばかりなだけに、威圧の意味とか社交だった可能性も考えられますね。

あるいは

「ウチにはこういう剛の者が揃っているので、いざとなれば少人数でも京を守れますよ」

というアピールも含まれていたかもしれません。

いずれにせよ京都での政治活動は為政者にとって重要なシゴトであります。

翌10月6日には、坂本から船に乗って安土へ帰還。

それから一週間ほど経った10月14日、今度は長光寺山へ出かけて鷹狩りをしていました。

嫡男・織田信忠から贈られた鷹を使い(168話参照)、信長は上機嫌だったとか。

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こんな調子ですと、後はラクに天下統一事業が進むかのようにも思えてきますが、実際は順調な時期も長くは続きませんでした。

信長の後半生において衝撃的な出来事の代表格といえる、あの事件が起こったのです。

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信長公記をはじめから読みたい方は→◆信長公記

長月 七紀・記

【参考】
国史大辞典
太田 牛一・中川 太古『現代語訳 信長公記 (新人物文庫)』(→amazon
日本史史料研究会編『信長研究の最前線 (歴史新書y 49)』(→amazon
谷口克広『織田信長合戦全録―桶狭間から本能寺まで (中公新書)』(→amazon
谷口克広『信長と消えた家臣たち』(→amazon
谷口克広『織田信長家臣人名辞典』(→amazon
峰岸 純夫・片桐 昭彦『戦国武将合戦事典』(→amazon

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