仙石秀久

仙石秀久と「無」が象徴的な旗指物/wikipediaより引用

豊臣家

秀吉の下で大出世と大失態を演じた仙石秀久~センゴク64年の生涯

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小田原攻めを期に復権し、小諸城主に

高野山に追放された秀久は、すぐに謹慎が解けることもなく苦難の日々を過ごしました。

再起のチャンスがやってきたのは戸次川の戦いから約4年後。

天正18年(1590年)に豊臣秀吉が関東の北条氏へ攻め込んだ【小田原征伐】が勃発すると、秀久はかつての家臣たちを集めて秀吉のもとへと参上しました。

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このときは徳川家康のとりなしもあって出仕を許され、持ち前の武勇を生かして戦場でも活躍したと伝わります。

戦後にはかつての罪を許され、旧領回復とならなかったものの信濃国小諸の地に5万石の領地を与えられました。

秀吉としても、最古参の秀久に対して懐かしく愛しい気持ちがあったのでしょう。

戸次川の戦いでの失態を考えると、5万石というのはいささか大盤振る舞いな気もします。

単に懐かしさとかだけではなく、信頼できる部下が一人でも多く欲しかったというのもあるのかもしれません。

その後の秀久は、主に城の普請工事で活躍し、文禄・慶長の役に拠点となる名護屋城、秀吉隠居後の住まいになった伏見城の築城に貢献します。

なお、この伏見城築城に際して「天下の大泥棒」と呼ばれた石川五右衛門を捉えたという伝説が残されています。

もちろんこれは単なる伝説に過ぎないのですが、秀久という人物が「大泥棒を捉えられるほどの武勇を誇る人物」として認識されていた可能性を示しており、やはり軍事的なセンスは確かなものがあったのでしょう。

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家康に接近し秀忠をかばう役目も

しかし秀吉の死後は、秀久も戦国武将らしい行動に出ます。

豊臣方につくのではなく、先の縁もあってか徳川家康に急接近。

関ヶ原の戦いでは小諸城主として、上田城に拠点を置いた真田昌幸真田信繁親子の備えとして機能しました。

また、彼らとの戦に苦しんだ徳川秀忠隊の殿軍も務め、関ヶ原の遅参で激怒された秀忠の擁護も担当したと言われます。

こうした事情から特に秀忠に気に入られ、彼が将軍になると外様大名ながら譜代大名に近い境遇で重用されたといいます。

初代信濃小諸藩主に位置づけられた秀久は城の整備などを行い、慶長19年(1614年)5月6日に生涯を終えました。

享年64。

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戸次川さえなければ

秀久の生涯を振り返ってみると、やはり「戸次川さえなければ…」と言いたくなってしまいます。

秀吉最古参の家臣として武勇に優れていたことはもちろん、大名復帰後の時流を読む力には確かなものがありました。

しかし、戸次川での失態はあまりにも大きく、現代に至るまでほとんど注目されない戦国武将であったのです。

そんな不遇な状況を一変させたのが漫画『センゴク』ですね。

いくら失敗しても挫けない――。

不屈でありながらユーモラスな人物像として描かれた秀久は非常に魅力的であり、今なお同漫画は戦国ファンを喜ばせています。

ただ残念なことに、史実面から細かい考察を加えた『仙石秀久人物伝』の書籍がありません。

史料の量からして難しいのかもしれませんが、歴史出版社の皆様にはぜひともテーマに選んで欲しい。

そんなミステリアスな仙石秀久であります。


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文:とーじん

【参考文献】
『改選仙石家譜』
『日本大百科全書(ニッポニカ)』
『国史大辞典』
谷口克広『織田信長家臣人名辞典』(→amazon
峰岸純夫/片桐昭彦『戦国武将合戦事典』(→amazon
歴史群像編集部『戦国時代人物事典』(→amazon
WEB歴史街道「戸次川の戦い~長宗我部元親・信親の無念」(→link

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