島左近

島左近/wikipediaより引用

豊臣家 豊臣兄弟

関ヶ原に散った猛将・島左近の生涯「三成にすぎたるもの」と称えられたのは本当か

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島左近
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関ヶ原で奮戦の末に散る

石田家に仕えてから、三成と共に各地の戦場を駆け抜けた島左近

しかし、その名に比して武功が目立たないのも、最前線で槍を振り回すタイプではない主君・三成の立場からして仕方ないのかもしれません。

島左近の名が最も輝くのは慶長5年(1600年)、関ヶ原の戦いです。

西軍は、前哨戦となる杭瀬川の戦いで快勝するのですが、

杭瀬川の戦い
実は西軍の勝利だった関ヶ原前哨戦「杭瀬川の戦い」家康も三成もガクブルの連続だ

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この戦いで堂々と不意打ちをかけ、勝利に導く左近の姿は爽快感にあふれています。

ただし、その直後に提案した渾身の「夜襲案」は退けられてしまい、どこかチグハグなまま迎えた関ヶ原本戦――正午過ぎ、小早川秀秋の寝返りで西軍内に動揺が走る中、島左近は三成の陣で奮戦を続けます。

小早川秀秋/wikipediaより引用

しかし、裏切りは小早川で終わらず、そもそも、その小早川を食い止めるために配置されていたとも考えられる

・朽木元綱
・赤座直保
・小川祐忠
・脇坂安治

の四人までもが東軍についてしまいました。

さすがの島左近もこれには落胆を隠せなかったでしょう。

最期は、その身を銃弾に貫かれたとか、戸川達安に討たれたとか、諸説伝わります。

享年61。

島左近の激闘ぶりを見た東軍は、こう振り返ったといいます。

「思いだすだけでまことに身の毛もよだつ……汗がにじんでしまう」

島左近とは何者か?

そう語り合うと、みなそれぞれ特徴が一致しない。

恐怖のあまりマトモに見ることすらできなかったのだろう、と結論づけられたとか。

 


奈良県を代表する戦国時代の人物に

豊臣を守るために立ち上がった石田三成

その三成と共に戦う大谷刑部。

そして島左近――。

大谷吉継のイラスト

大谷刑部(大谷吉継)イメージ/絵・富永商太

この西軍を代表する三人組は、忠義の象徴として、今なお高い人気を誇っています。

関ヶ原という舞台に欠かせぬ人物であるため、大河ドラマはじめ多くのフィクションに登場。

「名場面に欠かせない」という意味では、森蘭丸と似た立ち位置ともいえるかもしれません。

興味深いことに、島左近は奈良県の戦国時代を代表する人物といえるかもしれません。

筒井順慶は「洞ヶ峠の日和見」の印象が強く、どうにもイマイチ。

松永久秀は、見直しが進んでいるとはいえ、未だに「戦国一の梟雄」だの「平蜘蛛抱えたボンバーマン」といった印象がつきまとう。

柳生宗矩は、将軍指南役であり、大河ドラマ『春の坂道』の主役でもありますが、どうにも『柳生一族の陰謀』や『魔界転生』の印象が強く、妖しくて狡猾な印象が強く漂っている。

こうして考えてくると、忠義にあつく、強い島左近は、実に押しやすい――。

今後も石田三成の横で、大和代表の英雄として活躍してくれるでしょう。

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参考文献

  • 歴史群像編集部編『全国版 戦国時代人物事典 大名・家臣団・天皇・公家・宗教家・文化人・商人・女性・武芸者』
    (学研パブリッシング, 2009年10月29日, ISBN-13: 978-4054042902)
    出版社: 学研公式商品ページ
    Amazon: 商品ページ
  • 大石泰史 編『全国国衆ガイド 戦国の“地元の殿様”たち』
    (星海社新書, 講談社, 2015年8月26日, ISBN-13: 978-4061385719)
    出版社: 講談社公式商品ページ
    Amazon: 商品ページ
  • 笠谷和比古『関ヶ原合戦と大坂の陣』
    (戦争の日本史17/吉川弘文館, 2007年11月1日, ISBN-10: 4642063277 / ISBN-13: 978-4642063272)
    出版社: 吉川弘文館公式商品ページ
    Amazon: 商品ページ

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小檜山青

東洋史専攻。歴史系のドラマ、映画は昔から好きで鑑賞本数が多い方と自認。最近は華流ドラマが気になっており、武侠ものが特に好き。 コーエーテクモゲース『信長の野望 大志』カレンダー、『三国志14』アートブック、2024年度版『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)『覆流年』紹介記事執筆等。

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