ヒトラー最期の12日間

『ヒトラー最期の12日間』/amazonより引用

歴史ドラマ映画レビュー

『ヒトラー 最期の12日間』凄惨な過去を直視をするのはパロディ動画に非ず

会議シーンを元ネタにしたパロディ動画「総統閣下シリーズ」は、あまりに有名。

本作を見たことはなくても、

 

上記、一連のシーンをオモシロ動画バージョンで楽しまれた方は少なくないでしょう。

『アイアン・スカイ』や『帰って来たヒトラー』においても、パロディシーンが登場しますが、実はこの作品、「あの動画の元ネタ」だけにしておくのはよろしくない傑作でもあります。

言うまでもないことではありますが、敢えて書きます。

ヒトラーの実像は

「言いたいことをビシッと言ってくれて、あなたが腹を立てていることに激昂する、ちょっと面白いおじさん」

ではありません!

パロディ動画だけしか見ていないと、ヒトラーに親しみすら感じてしまうかもしれませんが、それは正直危険です。

ぜひ一度、本編を見て、凄惨な過去を直視しておきたい。そんな作品です。

 

 

※『ヒトラー 最期の12日間』は1/24現在、アマゾンプライムにて無料で視聴できます(→amazon

基本DATAinfo
タイトル『ヒトラー 最期の12日間』
原題Der Untergang
制作年2004年
制作国ドイツ
舞台ドイツ、ベルリン
時代1945年4月
主な出演者ブルーノ・ガンツ、アレクサンドラ・マリア・ララ、ユリアーネ・ケーラー
史実再現度秘書ルンゲの回想に基づいており高いとされているが、脚色されている部分もある
特徴独裁者最期の時を秘書の目線で描く

 

あらすじ 独裁者の「黄昏」

「若い頃の私は愚かでした。怪物の正体に気づかなかったのですから……」

この映画は、一人の老女の回想から始まる。

彼女の名は、トラウドゥル・ルンゲ。

1942年、トラウドゥル・フンプスは、アドルフ・ヒトラーの秘書に応募し、そして合格した。

秘書の目から見たヒトラーは、そう悪い人物ではなかった。紳士的ですらあった。彼女は満ち足りた生活を送ることになる。

翌年、彼女はハンス・ヘルマン・ユンゲ親衛隊中尉と結婚。

エリート女性として満ち足りた日々を送っていた。

ユンゲが秘書になって三年の時が過ぎた。

1945年4月、ベルリン。

ユンゲは他の秘書やヒトラーの愛人であるエヴァ・ブラウンとともに、砲撃の音に怯えながら生きていた。

ソ連軍の侵攻が迫る中、ヒトラーとその側近たちは、総統の誕生祝いを行う。

「侵略者をこのベルリンで打ち破るか、あるいは破滅するか」

祝いの席で、ヒトラーは側近たちにそう演説する。

ヒトラーの破滅の時は、そう語る間にも迫っていたのであった。

 

描かれたヒトラーの「人間性」

本作はヒトラーの人間性を描くという、タブーに挑んだ作品ということで話題になりました。

秘書に優しい声を掛ける姿、破滅を前にして自暴自棄になる姿は、それまで描くことはできませんでした。

本作は高い評価を得たものの、賛否両論別れる作品でもあります。

「歴史を見つめ、描いた勇気ある作品」

「あの独裁者の人間性を振り返る必要はない」

この人間性という部分は、確かになかなか厄介です。

例えば、ヒトラー・ユーゲントの少年兵をヒトラーが励ます場面では、名前を呼びながら柔らかな頰をつまんでみせます。その姿には確かに人間性が感じられます。

ただし、その前後の場面を見てみないと、彼の人物像はつかめません。

この前に作戦会議の場面があります。

その席上、防衛戦の際に女子供、老人、負傷者をどうするのかと部下に聞かれたヒトラーはこう言い放つのです。

「戦時に市民など存在しない」

ヒトラーは、こう発言したあとで少年兵たちを励ましているのです。

自らの野望のためならば彼らの命を捨てても構わない、そのために子供たちを優しい言葉で励ます。それがヒトラーの考えなのです。

ヒトラーに励まされた少年兵たちは、舞い上がってしまいます。

大人たちとは違って、勝てるはずだと無邪気に思い込む。親の制止も振り切って、彼らは戦いに飛び込みます。

不利な状況となれば、何かに取り憑かれたような目をしたまま、自決してします。

時折見せる人間性という加点があったとしても、減点が大きすぎて結果的にはプラスになっていないのが、本作での描き方です。

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