生麦事件

生麦事件のイメージ/国立国会図書館蔵

幕末・維新

生麦事件で死者一名と重傷者二名 イギリス人奥さんは頭髪を剃られ薩摩vs英国へ

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薩英戦争へ発展

この事件が本格的にヤバくなってくるのは翌年(1863年)からのこと。

イギリス公使の元へ本国から「幕府に謝罪と賠償金、薩摩からは犯人の引渡しと賠償金を寄越せと言え!」という指示が届きます。

さらに、幕府を脅すために横浜へフランス・オランダ・アメリカとともに艦隊を送りつける徹底振りでした。

「謝って犯人を出して、金を払うなら許してやんよ!ゴタゴタ抜かすと……」というわけです。

さすが海賊紳士のイギリス。

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すったもんだの末、幕府は賠償金を払うことになりました。

もちろん薩摩にも艦隊が送られています。

「まずは話し合うけど、ゴタゴタ抜かすと(ry」という態度を両方へ見せたわけです。

が、こちらの交渉は激烈なまでに不調。

当事者だけで話し合うとうまくいかないのは、どこの国のどの時代でも同じだったようで……。

しかもその間に薩摩の船がイギリス艦隊に捕まるという事故が発生。

「開戦か!」

「一応、艦隊を用意したけど、幕府が金払ったんだから薩摩もそのうち折れるだろ」と思っていたイギリス側も、砲撃されては黙っていられません。

「やんのかコラァ!」とキレ返し、【薩英戦争】が始まってしまうのでした……。

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いったいここまでで何人が何回キレたんでしょうか。

この戦争は現在の鹿児島市街が焼き払われる、イギリス艦隊も旗艦艦長と副長が戦死するなど、双方にそこそこの犠牲が出ます。

痛み分けとなった後に再度横浜で話し合い、英国へ賠償金を払うことで生麦事件の解決としました。

ちなみに、実行犯の薩摩藩士たちは「どこに逃げたかわからないからどうしようもありません。見つけたら処刑しておきますんで」ということで処罰を免れています。

 

維新後は残念ながら……

このときの奮戦を見て、イギリス側は「薩摩ってヤツらは使えそうだ」とでも考えを改めたのでしょうか。

その後イギリスの役人が頻繁に薩摩を訪問するようになります。

薩摩藩も「やっぱり攘夷なんて無理だ、これからは外国に学ばなければ……」ということで両者は急速に接近していくのでした。

こうして、日本列島の南端から、技術的・人材的に倒幕への流れができていきます。

さらに薩摩と長州が実質的に政権を奪取したことから、明治維新後は日英同盟が結ばれるなどしていますよね。

ただし、その関係性は対等とはとても言えず、実質、イギリスに使われてしまうような一面があり、一言でいえば残念な展開。

詳細については以下の記事をご覧いただければと存じます。

幕末明治の日英関係
幕末明治の日英関係が思てたんと違う!新政府はイギリスの言いなり?

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大名行列で庶民は土下座しなくてOKなときも?

参勤交代などにおける大名の移動で薩摩に対して、庶民は土下座の必要なく、御三家と御三卿だけが土下座された――そんなご指摘をいただきました。

安藤優一郎氏の『参勤交代の真相』(→amazon)を参照しますと、

庶民の土下座が免除されたのは

【江戸御府内(江戸の市域で南は品川あたりまで)】

であり、横浜にある生麦は土下座の必要な地域だと思います。

歴史の授業で習う参勤交代には、知らないことがたくさんありますね。

『参勤交代の真相 (徳間文庫カレッジ)』は非常に読みやすい一冊ですので、ご興味を持たれた方はぜひ。

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長月 七紀・記

【参考】
安藤優一郎『参勤交代の真相 (徳間文庫カレッジ)』(→amazon
国史大辞典
生麦事件/wikipedia

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