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【北海道開拓】
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エゾヒグマの恐怖
屯田兵は、政府にとって都合のよい制度でも、当事者にとっては過酷なもの。
慣れぬ寒冷地での暮らしや豪雪、本州にはいない野生動物との接触は、危険極まりないものでした。
最も凶暴なのが、ご存知、エゾヒグマです。
危険なヒグマと歴史的にどう付き合ってきた? アイヌの知恵と開拓民の対処法
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本州のツキノワグマは雑食です。
山に入り込んだ人間と偶発的に接触してしまった際に、パニックになって暴れる危険性はあります。こうした時に、爪や牙が頸動脈や急所に当たると、不幸にして死亡事故になりうるのです。
ただし、あくまで人を狙って食べようと接近することはありません。
一方でエゾヒグマは、肉食です。
彼らにとって人間は、動きが鈍い獲物。マークしたら、むしろ積極的に捕食しに行く標的となります。
体の大きさもツキノワグマとは比較にならないほど巨大であり、危険性は段違いです。
エゾヒグマの恐怖を知らない移民たちは、しばしば不幸な事故に遭遇しており、最も知られたものが三毛別羆事件でしょう。
あまりの巨体(体長2.7m・体重340kg)で冬眠する穴が見つからず、越冬したのではないか?というヒグマが集落を襲い、死者7名・重傷3名(うち1名は後日死亡)。
詳細は以下リンク先の記事をご覧ください。
人の味を覚えたヒグマの恐怖~三毛別羆事件で死者7名重傷者3名の惨事
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だいぶ抑えて表現されておりますが、文字通り背筋の凍るような話です。苦手な方はご遠慮を。
ゴールデンカムイで注目
明治政府の政策により切り拓かれた北海道。
そこにはアイヌの人々、戊辰戦争の敗者、屯田兵、元新撰組隊士、当時日本で最も過酷な牢獄とされた樺戸や網走の監獄から脱出した囚人が、夢や野望を胸に秘めて存在する場所だった――。
そんな世界観で描かれているのが2016年マンガ大賞を受賞した『ゴールデンカムイ』ですね。
2018年にはアニメ化もされ、2022年に最終回を迎えながらも、2024年には実写版映画が公開されるなど、一向に余韻が冷めやらぬ歴史漫画の一つ。
「いくらなんでもあんなに無茶苦茶なわけないじゃ〜ん!」と思ってしまうかもしれませんが、歴史的根拠はちゃんとあります。
おいしいグルメやツーリング、あるいはカーリングだけではなく、苦難の過去もある北海道。
津軽海峡の向こうには、本州とは異なる歴史があるのです。
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文:小檜山青
※著者の関連noteはこちらから!(→link)
【参考】
北国諒星『歴史探訪 北海道移民史を知る』(→amazon)
伊達記念館/当別町(→link)