大河ドラマ『光る君へ』が始まって以来、圧倒的存在感を放ち、ドラマを牽引してきた人物。
その筆頭が花山天皇でしょう。
第1話の子役時代にパワフル変顔を繰り出したかと思ったら、第2話では足先で扇を弄びながら女遊びを告白、さらには第4話でも数々の破廉恥行為を――。
ぶっ飛んだ展開に『一体この人は何なんだ?』と戸惑われた方は少なくないはず。
そして第10話ではついに、道兼の罠にハメられ【寛和の変】という一大政変に発展、さらにその後、出家した花山法皇はまた別の女性トラブルに遭遇します。
藤原伊周と藤原隆家が殴り込みをかけ、二人の政治的失脚となる【長徳の変】に発展するのです。
一体なぜ、そんな大事になってしまったのか?花山天皇の生涯と共に振り返ってみましょう。
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生後間もなく皇太子 16歳で即位した花山天皇
花山天皇が生まれたとき、叔父の円融天皇にはまだ皇子がいませんでした。
そのため、花山天皇は生まれた翌年皇太子になっています。
乳母は、将来、清少納言の夫となる橘則光の母・右近尼。
後述する事件といい、何かと次の天皇(一条天皇)の中宮・藤原定子と繋がりがあったようです。縁は異なもの……というやつですね。
そして16歳で即位すると、わずか三年後でいきなり出家してしまうのです。
当時の寿命がいかに短いとはいえ、この若さで世を儚むのには相応の理由があるはずですよね。
本人は明言していなかったらしく、いくつかの説があります。
一つは「寵愛していた藤原忯子が亡くなってしまったから」というもの。むべなるかな、という話でしょうか。
もう一つは穏やかならぬ話で「藤原兼家が自分の孫である一条天皇を即位させるためにやった」というものです。
後々の流れからしても、こちらの説のほうが信憑性はありますね。
実際は、藤原兼家の息子である藤原道兼が、花山天皇がそそのかしたとされています。
「月が明るいから恥ずかしいな」と呟いたら
花山天皇は道兼と共にこっそり御所を出て、元慶寺というお寺に向かいました。
このとき、藤原家に仕えていた清和源氏の源満仲らが警護したといいます。
その日は月が明るい夜だったそうです。
花山天皇が思わず「月が明るいから恥ずかしいな」とつぶやくと、雲が月を隠し「やはり今日か」と覚悟を決めたのだとか。
天皇が御幸以外で御所を出るなど、本来ならそれだけで大騒ぎになるはずのことです。
ゆえに事は慎重に進められましたが、安倍晴明にはバレていたとか。
晴明の屋敷の前を通ったとき、目に見えないもの(式神?)が花山天皇一行の前にやってきて、晴明に「たった今そこを通っていきました」と報告したそうです。
よくある“晴明スゲー伝説”の一つでしょうけど……晴明は何をしたかったんですかね。
式神の報告によっては、すぐ参内して花山天皇を止めようとしたのでしょうか。
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