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【源仲章】
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二重スパイか? 朝幕の橋渡し役か?
ここで少し脱線しまして、『鎌倉殿の13人』出演者発表における、生田斗真さんのコメントを見てみたいと思います。
生田斗真さんコメント
今回私が演じます源仲章は、後鳥羽上皇に仕えながらも、源実朝の教育係として、幕府にも出入りしており、スパイのような役回りをしていたのではないかといわれる人物です。
未だ謎に満ちた人物ではあるのですが、思い切って、大胆に演じたいと思います。
キーワードは「スパイ」です。
源仲章は、京都の後鳥羽院と鎌倉の実朝、二重の属性がありました。
その時点で「情報を流しているのではないか?」と疑われても仕方ない状況であり、大江広元や平知康にはない特徴といえます。
【承久の乱】の際でも断固として鎌倉についた大江広元。
そもそも京都で発言が重視されそうになかった平知康とは異なります。
実際に情報を流すかどうか?はさておき、幼い鎌倉殿の師となる時点で、京都の息がかかった存在と言えました。
京都仕込みの政治思想を植え付けられたからには、天皇を重んじるようになるのは必然。
坂東武者からすれば苦々しい事態であり、悪い言い方をすればスパイですが、良い言い方をすれば「橋渡し役」にもなります。
・諫言を素直に聞く
・書物を読んでばかりで武芸を自慢しない
実朝は身体頑健でもなく、父・頼朝や兄・頼家ほど武芸が得意でなかったと目されます。
そうなれば坂東武者からすればこうでしょう。
「なんでぇ、今の鎌倉殿はなってねえな! 弓もろくに引けねえでそれでも武士の棟梁かよ」
なぜ鎌倉武士は弓矢をそこまで重視したか? 難易度の高い和弓と武士の関係
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頼朝時代は、鎌倉殿と御家人の距離は近いものがありました。
そうした時代を懐かしむ古株からすれば、京都からやってきた仲章を側近とすることはおもしろくない。
北条義時や大江広元ですら、実朝を「若い」と侮っていたふしもあります。
兄の頼家ほど堂々と悪行をやらかすわけでもないけれど、軟弱な優等生じみていてつまらねぇ――そんな不満が御家人に鬱積しやすかったということです。
それでも仲章は実朝の信頼あつく、政所に加わっています。
頼朝時代から仕える義時や広元からすれば、鬱陶しいことも確かでしょう。
では、実朝の構想通り、仲章とその背後にいる後鳥羽院と共に歩む幕府ができていたらどうなっていたのか?
しかしこの疑問は永遠に謎のまま終わってしまいます。
皮肉にもこの主従が同日同刻に命を終えることで、その深い関係を証明してしまったのです。
『吾妻鏡』における暗殺の描写
承久元年(1219年)正月27日――それまで晴天に恵まれていた鎌倉は、突如、大雪に見舞われました。
儀式に向かう実朝の様子を見ていた大江広元は、なぜか涙が止まらなくなります。
成人してから泣いたことがないのに、突如どうしたのか?
胸騒ぎを覚え、進言します。
「束帯の下に(武具の)腹巻をつけてはいかがでしょう」
すると源仲章がこう答えました。
「鎌倉殿ほどの出世を遂げた方が、左様なことをなさった試しはありませぬ」
師匠の言を受けた実朝は腹巻を付けず、髪を結っていた者に形見として鬢(びん)の毛を抜き、与えました。
そしてこう詠みます。
出でいなば 主なき宿と なりぬとも 軒端の梅よ 春をわするな
【意訳】私がここを出てしまえば、ここは主なき宿となる。それでも軒端の梅よ、春を忘れることなく咲くのだよ。
菅原道真の著名なあの歌を連想させる内容ですね。
東風吹かば にほひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ
【意訳】春を告げる東風が吹いたら、匂いなさい、梅の花よ。主人がいないからといって、春を忘れてはいけないよ。
一行が御所を出ると、鴉が不気味な鳴き声を響かせていました。
後鳥羽院から賜った牛車を降りる時、実朝は剣を折ってしまいます。
不吉な予兆が続きました。
実朝の行列に従っていた北条義時は、門の近くに白い犬がいるのを見かけると、源仲章に声をかけます。
「気分がどうにも優れぬ。御剣役を代わってはくれんか」
かくして義時は仲章と交代すると、その場を去り、小町大路の自邸へ。
そして夜、実朝が束帯姿で八幡神前での神事を行い、石段を下りて戻ってきたときに事件は起きました。
「親の仇はこのように討つのだ!」
突如、大声を上げたのは甥であり頼家の二男である公暁。
なぜ公暁は叔父の実朝を暗殺したのか?背景には義時の陰謀があった?
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束帯の裾を踏みつけると、頭部を斬りつけ、そのまま実朝の首を落としました。
首を抱えた公暁は雪を踏みしめ、どこかへ姿を消します。
源仲章は、公暁の配下の者たちに斬殺されました。
ここまでが『吾妻鏡』を基にした事件の再現です。
しかし、以前から「話を作りすぎてないか?」と指摘されていて、次のような疑問が呈されています。
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