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『光る君へ』感想あらすじレビュー第1回「約束の月」

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『光る君へ』感想あらすじレビュー第1回「約束の月」
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なんてバカな私たち

まひろと三郎は、二度目の出会いを果たしています。

しかし肝心のお菓子を持ってきていない三郎。忘れたのではなく、落としてしまったと詫びると、まひろにこう言われます。

「バカ」

バカ……とは?

偽りを信じる愚か者のことであり「鹿を指して馬となす」を説明します。諸説ある「バカ」の語源の一つですね。

嘘を言う者と重用する者はバカ……と、なかなか鋭いことを言うまひろ。

為時が兼家の嘘に籠絡されているとき、娘はその息子にこう語ってしまう。

恐ろしいほどの皮肉ですね。

そもそも娘にそう語って聞かせたのは父の為時です。その父が兼家の嘘を見抜けずひっかかってしまう。

一方で、父の兼家が為時の知識を利用しようとしているとき、子の三郎は、まひろの知識に対して純粋に感心している。

三郎をバカ、バカ、バカと言いつつ、私もバカだと語るまひろ。

なにがバカなのか?

帝の血を引く姫なんて嘘を語ったことがバカだから。

なんでそんなことを言ったのかよくわからないと言いつつ、素直に謝るまひろ。

怒ったか?と尋ねると、怒るのは嫌いだと三郎はすぐに返します。三郎はおかしいとまひろ。まひろこそわけがわからんと三郎。

そして六日後の同時刻に待ち合わせをして、二人は別れるのでした。

藤原為時は、保管していた綺麗な服を着て、出かける準備をしています。

「カビ臭い」

と、ボヤく為時に対して、ちやはが詫びると、カビ臭いのは母のせいではなく雨漏りのせいだとまひろが突っ込む。

父のめでたい日である、と、母のちやはが嗜めていますが、まひろはこの時点で空気がかなり読めず、感性の鋭さを発揮していますね。裏表になった個性ですから仕方ない。

為時は右大臣様のおかげ、東三条には足を向けて寝られんと語るのですが……。

藤原兼家が、なんとも立派な鶏に餌をやっています。

当時、こうした鶏は食べてはいけません。鑑賞や卵を産ませるため、あるいは朝の訪れを告げてもらうために飼育している。

そこへ安倍晴明が呼ばれてきました。なんでも藤原遵子が孕まぬようにせよとのこと。

戸惑う安倍晴明。兼家は迫ります。

「やるのか、やらんのか?」

「承りまする」

晴明はそう答えるしかありません。もう兼家がすっかりマフィアのボスのように見えてきました。鶏の餌やりだって、マフィアの親分が猫を可愛がっているような絵に見えてきましたからね。

悪事で荒んだ心を鶏の世話で癒す大納言か。なんだか嫌だなあ。

為時は東宮に漢文指導を行います。

君子、重からざれば則ち威あらず。『論語』「学而」

君子とは、軽薄な態度であっては威厳が伴わない。

ところが、東宮は全然聞いていない。それどころか変顔をしておちょくってくる。後の花山天皇です。

もうこの時点で、嫌な予感がフツフツとにえたぎってきました。

ちやはとまひろの母子は、父の出仕お礼参りをしていました。

三郎との待ち合わせを気にして、急いで石段を登っていくまひろ。苔むした石段を上り下りする姿だけでも、時代劇を見ている喜びが胸に湧いてきます。

そのころ道兼が三郎を殴っていて、時姫が止めています。どうやら出過ぎたことを言われて苛立ったらしい。一体何を言ったのか? 時姫が問いかけると……。

意に沿わぬことがあったからと、弱きものに乱暴を働くのは、心小さきものがすること――。

そんな正論を語って苛立たせてしまったようで、時姫は三郎の言い分に納得すると、道兼は憎々しげに吐き捨てます。

母上までたらしこんで、お前は恐ろしい奴だ。

道兼はこじらせ方がいよいよ煮詰まってきましたね。もう一度三郎を突き飛ばしながらその場を去ってゆきました。

 

母の死を覆う愚かな偽り

まひろは一生懸命急いでいます。

女子はそんなに走ってはいけないと嗜められても、母と乙丸を2人で帰らせ、三郎と会う約束を守ろうとしています。

そこを馬に乗った道兼が通りかかり、まひろとぶつかりそうになって落馬。

従者がまひろを捕えると詫びるように強制し、道兼もまひろを蹴り飛ばします。

ちやはが止めに入り、まだ子どもではないかとまひろを抱きしめます。

そしてまひろに詫びさせ、何事もなく事態が治まりそうなところで、道兼の従者がうっかりこんなことを言ってしまいます。

「道兼様を黙らせるとは、肝の据わった女子だ」

すると、電光石火、道兼が従者の刀を抜き、ちやはに駆け寄ってその身を貫いた――。

飛び散る血飛沫。

あまりのことに目を見開いているまひろ。

何も知らない三郎は、菓子があるのに来ないまひろを待ちわびている。

ちやはの遺骸が自宅に届けられました。

当時は道端に遺体を放置していると野犬に食われかねないので、死体処理はスピードが大事。

太郎は大声で泣きじゃくり、まひろはじっと黙っています。

父の為時は妻の死に愕然とし、“ミチカネ”という男が犯人だと聞かされ、彼はこう絞り出します。

「ちやはは急な病で死んだ……その旨、心せよ……」

納得できるはずもないまひろは、母は“ミチカネ”に殺された! 乙丸も見ていた! と訴えます。そんな娘に、父は「忘れろ」と言うしかない。それがお前や太郎のためだと……。

それでも“ミチカネ”を捕まえてと嘆くちひろに、父は怒鳴ります。

「お前も忘れるのだ!」

あまりの理不尽に、ここまでこらえてきたまひろも号泣してしまいます。

為時は高潔でした。誇り高かった。

「鹿を指して馬と為す」とまひろに読み聞かせたとき、彼はきっと、嘘をつかず誠実に生きる大切さと、保身のために嘘偽りを語る愚かさを伝えていたはずです。

そんな父が、大事で敬愛すべき父が、保身のために汚い嘘をつく。母の死を嘘で覆い隠す。

まひろはそんな「バカ」な父に、どれほど絶望したことでしょう。

この夜、まひろと三郎は同じ月を見ていました。

激動の運命が、動き出します。

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