光る君へ感想あらすじレビュー

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『光る君へ』感想あらすじレビュー第1回「約束の月」

時は貞元2年(977年)――陰陽師・安倍晴明が星を占っています。

紫微垣(しびえん)の星が強い光を放っている。これは京都に凶事が起きるのではないか?

そう星を見つめながら、大雨の証だと呟く晴明。

星も月も輝いているのになぜ雨なのか? 彼には理解できている様子ですが。

 


下級貴族の家に生まれた少女まひろ

同じ空の下、一人の少女がいます。

彼女の額に一粒の水滴が落ち、いそいそと動き出す。雨漏りの備えのため、こんなに幼い少女も動かねばならない。

少女の名はまひろと言いました。

父である藤原為時が『蒙求』を読んでいます。まひろが熱心に父の漢籍を聞いている一方、太郎という弟は全く興味がないようで。「遊びながらでもよい」と父が言ったところで一切興味を示しません。

すると下女の一人が「暇(いとま)をもらう」と、母のちやはに告げてきました。年老いた親の面倒を見ると言われ、ちやはも聞き入れるしかありません。

まひろは、母のちやはに屋根を直す蓄えがない窮状を嘆いています。年が替わればうまくいくと返答されるものの、彼女は、母の衣がまた食べ物に変わったことを見ていた。

それでもちやはは、博識な学者である夫の前途を信じている。

母が琵琶を弾かなくなったことも指摘するまひろ。この少女は幼き身にして世の動きをジッと見つめ、読み解く才知がある。

後の紫式部です。

※以下は紫式部の生涯まとめ記事となります

紫式部
紫式部は道長とどんな関係を築いていた?日記から見る素顔と生涯とは

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オープニングへ

そして第1回のオープニングが始まりました。

見ているだけで目が潤んでしまいそうな美しさがありますね。

まずロゴです。書道家・根本知さんの字であり、今年は書道にかなり気合が入る模様。

起筆からして美しくすっと入り、紫式部がどういう人物なのか?と考えながら書かれたようで、この書の時点からして素晴らしい。

初めてこのロゴを見た瞬間、胸のつかえが取れるような気持ちがしましたし、ドラマに対する期待値も上がりました。

オープニングも端正で、色合いが素晴らしい。

東洋の色彩特有の、自然や気候と合った美がある。重なってくるピアノの旋律は、美しいようで、遠雷が聞こえてくるような予感もある。

VFXで描かれる平安京は、鳥の目線でこの京都を見る喜びと申しましょうか。

本作は、時代劇として当たり前のことを、きっちりと真面目にこなす――そんな美しさがあります。

同時に紫式部の歌を思い出しました。

水鳥を 水のうへと やよそに見む われもうきたる 世を過ぐしつゝ

いかにも大河らしいオープニングだな、って思うでしょう?

退屈だとすら思っちゃうとか?

でも、この華やかな映像のためにスタッフは、水の下で脚を一生懸命動かして作ったんですよ!

第1回のサブタイトルは「約束の月」です。

 


大納言藤原兼家の家族

平安京では、出世争いが熾烈を極めておりました。

三条殿にいるのが、大納言藤原兼家

嫡妻である時姫との間には、道隆、道兼、詮子、そして三郎(のちの道長)がいます。

兼家には別の妻との間にも子がおりましたが、当時は【双系制】であり、母の身分も重視されるため、そうした母の異なる子はしばらく出てこないようです。

「詮子」のことは「あきこ」と呼びましたので、本作は訓読みで進めるようですね。

兼家は、この詮子を天皇に入内させる気満々。

長男である藤原道隆は、そつなく父母に挨拶を述べます。

色白で、おっとりした顔立ちで、古典的な東洋美男ですね。井浦新さんの魅力を引き出してきています。

この道隆は妻である高階貴子との間に、姫が生まれていました。この孫を兼家は抱かせるように迫り、もう美しいと浮かれています。

藤原道隆
藤原道隆(光る君へ井浦新)の死後 道長と対峙する中関白家はどんな命運を辿るのか

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このころ大人気であった白居易『長恨歌』にはこうあります。

遂令天下父母心 遂に天下の父母の心をして

不重生男重生女 男を生むを重んぜず女を生むを重んぜしむ

男尊女卑の時代。

女児なんて嫁ぐし、その嫁入りにも金がかかるし、産むだけ損だ。

そう思われていたのに、玄宗の寵愛を受けた楊貴妃により、一族は出世してゆく。

父母は皆女児を欲しがるようになった。

白居易
『長恨歌』の作者・白居易は史実でどんな人物だった?水都百景録

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中国では「寵愛を受ける妃には注意しよう」と教訓にしましたが、日本ではむしろ当たり前、外戚政治の全盛期へ突入していきます。

ここで膳が運ばれてきました。後に出てくるまひろの家と比べると興味深いですね。

そんな晴れがましい席に三郎はおりません。

遅れてようやく姿を現すと、背ばかり伸びて、ろくに勉強もせず、遊び回っているということで叱られてしまいます。兄の藤原道兼が憎々しげに、天真爛漫な弟に毒付くのです。

道隆は詮子が入内するのだから、しっかりするようにと弟を嗜めるのでした。

藤原兼家は、安倍晴明が裏切ったと毒付いています。関白藤原頼忠の一の姫・藤原遵子の入内に先を越されたとのこと。それでも寵愛を受ければよいと、道隆は詮子にやんわりとプレッシャーをかける。

ずっとイライラしている道兼は「妻が欲しい」と父に訴えかけるも、話を流されてしまい、兄の道隆が選んでやると助け舟を出しても、さらに苛立ち「父に頼んでいる」と返します。

なかなか屈折していますね。

兄の道隆は、才女と名高い高階貴子と愛を交わして妻を迎えたのに、道兼はどうにもそれができないようで。

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当時は、恋愛の華やかな時代とされます。

しかし裏を返せば、モテないと厳しい時代とも言える。あまりにモテないため、拉致して暴行するような残念貴公子もいました。

道兼はこの時点で、何かやらしそうな気配があります。

時代劇が似合い、演技力が確か。そんな玉置玲央さんだからこそこなせる難役です。

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