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【『光る君へ』感想あらすじレビュー第14回「星落ちてなお」】
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道長の妻たち
病臥している源明子のもとへ、道長がやってきました。
起きあがろうとすると「そのままでよい」と制しています。
明子は流産しました。そのことを詫びると、道長は生まれぬ宿命の子もある、そなたのせいではないと返します。そして休んでいるように告げるのでした。
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明子は喪に服している時に、敢えて穢れの身を見舞ってくれたと感銘を受けています。当時の出産は穢れとされました。
道長はしきたりなど気にせぬように言い、ゆっくり養生するように告げて、去ってゆきます。
何気ないようで、道長は明子を責めていません。気遣っています。そこが彼の優しさなのでしょう。
道長は穢れをケース・バイ・ケースで踏まえていたことも日記からうかがえます。
このあと、源倫子が道長を迎えます。
明子を見舞ったことを好意的に受け止め、しっかり慰めねばと気遣っている。模範的な嫡妻ですね。
明子は若いから今後御子はいくらでもできる。私もせいぜい気張らねば。
そう倫子は澱みなく語りますが、彼女は気づいているのでしょうか。
自身も檻に閉じ込められているかのようでもある。女性を子を産む道具のように語り、自分も気張るという。
今でも妊娠は命に関わる病気です。ましてや当時は危険なものです。
紫式部は「女は長生きしないもの」と記しています。それだけ産褥死が多かったことでもあるのでしょう。
そんな命懸けのことを、まだ若いからできると語る倫子。子を亡くした相手にそう思う倫子。
悪意があろうとなかろうと、かなり残酷なことを語っています。
同性だから同性の気持ちがわかるとも限らず、むしろ規範を強化することもあるとわかる残酷な場面でした。
それに明子は、道長に心惹かれていることもわかります。
それまでは呪詛に注がれていた心が、これからは道長へ向いてゆくのでしょう。
明子にとっても倫子にとっても、複雑な事態が訪れそうです。
兼家の墜落、道隆の飛翔
京は、兼家の喪に服して静まり返っているようで、道兼は荒れ狂っておりました。
女を呼んで酒を飲み、歌い踊り、荒れ果てている。
すると妻の繁子が「お暇を頂戴する」と道兼に言い切りました。
関白の妻でないからか?と嫌味っぽく告げる夫に、「慕う殿御ができた」とキッパリ返す繁子。父の喪にも服さないような道兼の顔はもう見たくないとか。
ならば尊子は置いていけと言う道兼ですが、繁子のほうが一枚上手で、すでに家から出していました。尊子は母と共にいたいのそうです。
「皆さま、お邪魔いたしました」
そう告げて去ってゆく繁子。これぞ中世女性の強さといったところでしょう。
まだ儒教倫理が浸透しきっておらず、再婚は悪いこととも見なされない。夫が生きていようが平然と別の男を作り、さっさと出ていく。
繁子は実に強い女性で、素晴らしい!
一方、ネズミがうろつく部屋にいる道兼は敗者そのものの惨めさがあります。
当時は妻問婚ですので、道兼が追い出されるのではないか?とは思いましたが。
さっぱりとした顔で、父は見る目がなかったと残念がる公任。さっさと気持ちを切り替え、藤原道隆に乗り換えるそうです。
斉信は、お前に誘われて道兼につかなくてよかったと、チクリ。自らのことを何かと賢いと誇っていた公任への嫌味でしょうか。
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真面目な藤原行成は、実の父の喪に服さないのはあんまりだと言います。
俺らだって似たようなもんだと自虐的に言う斉信は、真面目に喪に服していないのでしょう。確かに妹・忯子の死後、気晴らしに打毱をしていましたからね。公任も人のことは言えないと同意しつつも、道兼がおかしいとのこと。
行成は定子様が入内したからには、道隆様が後継であることが順当だとまとめます。
このあと、道隆様が順当だと狙いを定めた彼らは、その周辺に出入りするようになるわけです。
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