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『光る君へ』感想あらすじレビュー第29回「母として」露わになる道長の欠点とは

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『光る君へ』感想あらすじレビュー第29回「母として」
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それを拒むなんてとんでもない

道長の申し出を丁重に断る藤原為時

これには横で聞いていたまひろだけでなく、百舌彦も驚いています。

為時は続けます。

道長の父である兼家も雇ってくれた。それで正式な官職を得るまで耐えたのだと。

しかし、それを恥だと思った。

左大臣のお心を無にして申し訳ないと返しながら、次の除目でのお力添えを願います。

大人たちの深刻な思いも知らず、彼らの周囲を走り回る無邪気な賢子がなんとも言えません。

これは道長の欠点かもしれません。

かつて兼家は、為時など歯牙にもかけていなかったのに、偶然目にした彼の書状を見て、こいつは使えると目をつけたものでした。

そうなると甘い。為時とわざわざ顔を合わせ、猫撫で声でその見識を誉めつつ、見事手駒にしました。

道長も、百舌彦で済ませずに本人がやってくるか、あるいは書状でも託すか、プライドの高い為時の心をくすぐるようなことができればよかったのかもしれません。

それでも警戒はするだろうけれども、そこは「父とは違う」とでも強調するとか。

それこそまひろが好きな『蒙求』では「孔明臥竜」とありますね。

これは誰にも仕えず世間との交わりを絶っていた諸葛亮のもとへ、劉備がわざわざ訪ねてきたところが重要です。

ただの若造ではなく、臥竜、すなわち身を伏せた竜だと目をつけたからこそ、劉備と諸葛亮は出会い、躍進できました。

まぁ、ここでの道長にとって為時は、臥龍といえないといえばそうですが。

しかし、だからこそ見えてきた気がします。

道長にとっての臥竜はこの父ではなく、娘の方だとすれば?

まひろは父にこれでいいのかと迫ります。

「断るしかない」と即答する為時。まひろの心を思えば、北の方様の嫡男に漢籍を教えることなどできないとのことでした。

なんと、父としての娘を思う心のためでしたか……。

母となったまひろは、私の気持ちはどうでもいいと断言し、父が無官で夫もいなければ、どうやって子を養い育てていくのかと詰め寄ります。

そして道長のもとへ向かって御指南役を受けるといって欲しいと言います。

次の除目もあてにならない。賢子にひもじい想いをさせないためにもお願いしますと頼み込むのです。

「そうであるな……そうである」

まひろにズバリ言われて、現実に目を向ける為時。

まひろは恋心より親心。母として覚醒しています。道長にとっても、産ませっぱなしの娘が飢えたら困りますもんね。本人はまだ知らぬとしても……。

 


藤壺に帝を惹きつけるには?

そのころ、娘・彰子のため源倫子は色々ととものを選んでいました。

そこへ道長がやってくる。そして何の気なしに倫子が選んだものを触ろうとして、彰子におさめるから触らないように!と嗜められます。

道長は、いつも倫子がいると帝が足を運びにくいから気をつけるようにと釘を刺すのですが……。

帝の御渡りがないのは私のせいか?と倫子はやんわり反論。

あわてる道長。

帝が御渡りになるよう、華やかにするために知恵を絞っているのは私だと倫子は反論します。

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これには道長も謝るしかありません。

倫子を上回るほどの工夫はどうすれば発揮できるのか。

劇中では道長本人の意図はわかりにくいものの、清少納言ことききょうの言葉を思い出しますと……。

左大臣は積極的に嫌がらせばかりしてくる!

そういう認識になりますよね。

呼び寄せるのではなく、相手に嫌がらせばかりするなんて最低だとなりかねない。

道長は彰子のいる藤壺を、キラキラとして華やかな場所にしなければなりません。

さぁどうしましょうか。

その藤壺にいる彰子は、今日も華やかさはありません。側にいる赤染衛門も、教養はあって賢いけれども、愛嬌があるタイプでもありません。

帝はどこか生気のない顔で廊下に佇んでいます。

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敦康を藤壺の人質にせよ

女院こと詮子は病に伏せっていました。

彼女の背中をさするのは弟の道長。

詮子が話があると切り出すと、道長は明日にしたいと言います。

しかしそれは許されず、詮子は「敦康親王を人質にする」と話し始めました。定子の忘れ形見である敦康親王を彰子が養育することで、帝の心を惹きつけるのだと。

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きょうだいのうち、もっとも父・兼家に似た詮子。人質を使う手は父から学んでいます。

詮子が産んだ親王、つまりは今の帝も、兼家は東三条院の人質としたのでした。

道長が、父と同じことをしたくないと怯むものの、詮子は即断で許しません。

「お前はもう父上を超えているのよ」

その通り。あの清少納言が語った通り、謀略に塗れた権力者であるというのが世間の評価でしょう。いつまでも逃げられるわけもないのです。

道長は帝に、敦康を彰子が預かることを進言。

御簾の奥では帝が「定子はどう思うのか」と迷いますが、道長は敦康を無事に育てることは鎮魂になると引きません。

帝は説得され、敦康を彰子に託すことに同意。

かくして敦康は道長の後見を得て、彰子と藤壺で暮らすこととなったのでした。

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