どうする家康感想あらすじレビュー

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『どうする家康』感想あらすじレビュー第29回「伊賀を越えろ!」

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『どうする家康』感想あらすじレビュー第29回「伊賀を越えろ!」
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どうする絵作り

このドラマは絵作りの段階で失敗している気がしてなりません。

カメラがぶれる。無駄に近づく。

遠景をフレームに収めることで、まるで絵画のようにするということができない。

良いカメラは朝ドラにでも取られちゃったんですかね。

あるいはセットが狭苦しくて狭いフレームに入れ込もうとしているか。

出演者が「全然ロケがねえ」とペラペラ喋ってしまい、そのあたりの事情は明るみに出ています。

というか、そんな証言抜きにしても、絵のフレームが狭いのでそのへんはわかる。

『鎌倉殿の13人』を思い出してみましょう。

上総広常の軍勢がかなり多く、ズラズラと続いていることがわかる絵作りになっていました。

その列を無邪気に眺める北条義時が、ちょこんとその中に収まる。こうすることで、上総広常の強大さと、まだまだ小さい北条義時の対比が出ていました。

そういう場面があればこそ、後に、広常が義時の目の前で討たれてしまう場面が引き立った。

今年はそれがない。いつもせせこましい。このドラマは何をしていなくても、低予算ぶりが伝わってきて悲しい。

いや、予算だけの問題ではないでしょう。まっとうなドラマを作ろうというモチベーションすら尽きているように思えます。

 


どうするネーミングセンス

本作は、ネーミングセンスが酷い。今さらかもしれませんが、改めて問いたい。

「女大鼠」という名前は、女忍者としてイケてますか? 視聴者が見て、単純に「なんかカッコイイ!」と思えますか?

大河ドラマの架空人物名は、そこまで厳密ではありません。

『鎌倉殿の13人』の女刺客・トウなんて、ピリッと辛いイメージからとった豆板醤(トウバンジャン)由来です。

とはいえ、単純に思いつきから持ってくれば良いわけでもなく、脚本家のセンスや知識の量が問われます。

この名前は時代にあっていないとか。感覚として何かおかしいとか。

歴史劇を描く際にピンとくる思いつきが必要であり、女大鼠なんて、同じ女忍者枠の「千代」と比較して、あまりに浮いていると察知できない時点で話になりません。

そもそも、本作の女性名は「糸」や「巴」など露骨に過去大河から借用していました。

書き手によっては、こういうオリジナルの名前も凝ります。自分なりのセンスを注入しようとするわけです。

大河のオリキャラをやたらと目の仇にして、出てきただけで駄作認定する意見もありますが、それはあまりに極端でしょう。

名前ひとつとっても差が出るもので、『おんな城主直虎』の龍雲丸とか、『麒麟がくる』の望月東庵とか、綺麗な響きで、衣装や雰囲気作りも名前負けしないようにしていた。

そうした過去のキャラクターと、女大鼠を比較したら、もう……。

大山犬という名前の忍者も愚かさの極み。名前の時点で怪しいとわかってしまいます。

 


どうする最低の衣装

何度見てもスイカバーの精霊のような大久保忠世は酷い。

愛のピンクとグリーンのしょうもない捕色衣装もどうにかならないのか。

ただし、以下の記事のように新人物の扮装をみたらちょっと路線変更をしたように思えます。

◆「どうする家康」石田三成、真田親子ら11名のビジュアル初公開(→link

和柄の模様をちゃんと入れるようになりました。

ようやく正気を取り戻したか……と思いたいけれども、色合いはどうにもしっくりこない。

 

どうする教育への悪影響

東国大同盟を打ち出し、目を爛々とさせていたマザーセナは怖かった。

しかし、次のヒロイン・愛もキツい。

光秀のことをしれっと「あれは(謀反を)やりそうな顔」と言わせるって、何をもってしてそうなったのでしょう?

どういう機会で光秀の顔をマジマジと見たのですか?

不穏な気配とは、付き合いが長く無ければわからないですよね。

そんな見た瞬間にバカでも裏切るとわかる人物を起用して、そいつに万単位の軍勢を預け、本能寺にノーガード宿泊した信長が愚かの極みになりますが、それでいいのですか?

そもそも、愛はド近眼ですよね。

数メートル先の顔も判別できないことがキッチリ描かれていた。

要は、脚本家がそこまで考えていないのでしょう。

明智光秀はキモくてうざい、そんな小中学生のいじめっ子感覚でルッキズムを振り回しただけ。

「このドラマを子供に見せるべきではない」

そんな記事がありました。賛否両論の反応がありましたが、私も同意見です。

それは史実と違うからではない。

ルッキズムだの、同性愛をその場しのぎのネタにするだの、カジュアルに暴力やいじめをするなど、子供の道徳に悪影響を及ぼしかねないからです。

歴史に興味関心を持たせたいのであれば、他にもっとよいコンテンツはいくらでもある。

こんな記事もお約束ですね。

◆【どうする家康】本能寺の定番ネタ全排除、思わず信長の心中に同調する展開に(→link

いかにも「普通の視聴者は同調するはずw」という展開で記事にするのはやめていただきたい。

ストレス解消として幼い竹千代をぶん投げていた信長。

自分の幼稚な自己実現と陶酔のために、嫡子信忠を巻き込む愚かさ。

光秀を罵倒する単純さ。

あんな愚劣の極みのような心中に、何をどうすれば同調できるのでしょうか。

人の容姿をバカにする言葉で盛り上がる。蘭奢待を麻薬と誤解して盛り上がる。そんな人間になりたくありません。

◆ NHK大河「どうする家康」、信長のシャウト「キンカン頭ぁ!」にSNS盛況、三日天下の行方は…第29回見どころ(→link

◆ 大河家康「本能寺」光秀が怪しげな煙を吸引 恍惚「ああっ」 ネット「もしや」「蘭奢待でキメてるのか」目ヤバい(→link

 


どうする大根

食料として大根やかぶを持ってくるあたりに、本作のダメな部分が凝縮されています。

体力勝負の時に、なぜ炭水化物ではなくそんな野菜を?

だいたい大根は冬野菜では?

日本史の教科書で、恐慌時に東北地方の子供が大根をかじっている写真でも見て思いつきましたかね。

そもそも作物がない状況ではなく、調達が難しい状況です。

それとも、その後の甲賀でのくだらない空腹場面のために大根にしておいたのでしょうか。

ちなみに『真田丸』ではおにぎりです。

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