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【『どうする家康』感想あらすじレビュー第29回「伊賀を越えろ!」】
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どうした女大鼠
女大鼠のセリフが、常に無茶苦茶。
穴倉で生きている連中を救った我が殿♩
って、どこかの漫画で見たような設定だな!
女忍者に関してはとにかく整合性が支離滅裂。かつて瀬名は千代に対して「まともな女は忍者とかしないでしょw」と語っていた。
そういうマザーセナ慈愛の教えを家康が把握していたとしたら、家康はわかっていながら女大鼠らに汚れ仕事をさせていたことになる。
一体何がなんだかわからなくなりそう。
やはりこのドラマの徳川家って、悪徳カルト集団か何かではありませんか?
信仰という餌で釣り、無茶苦茶な教義で思考能力を奪い、信徒に物品販売をさせてカネをむさぼる、カルト教団を連想させます。
どこが感動のストーリーなんでしょうか。
穴山梅雪が家康の身代わりになったという話も、カルト信仰に殉じたように思えてしまいました。
どうする「さっさと殺せ」
そこの忍者!
気取ってないで、さっさと家康の首を落とせよ!
それで影武者・世良田二郎三郎元信と入れ替わったら、後半まだ持ち直せます。
原作が隆慶一郎『影武者徳川家康』になりますから。
どうする本多正信
「俺は曲者! 軍師様なんじゃ!」
そう振る舞う本多正信ってなんなのでしょう。
ただのこじらせ野郎にしか見えず、同時にリアリティも皆無。
このドラマはつくづく大河主演経験者の魅力も潰してきます。
家康を捕まえておいてドヤ顔で出てくる。出奔したとはいえ、その態度はなんなのでしょう。
しかも百地に向かって「家康の首を取ったらいいぞ」と煽っておいて、超絶わざとらしい「におわせ」で躊躇させる。
あまりにもバカバカしく、チープで陳腐な展開。
演じる側も脚本に入り込めていないせいか、セリフの中身は全く考えないまま、義務感でやっているようにしか見えません。
そもそも本多正信の徳川復帰はもっと早かったと考えられています。
ではなぜここまで引っ張ったのか?
単に「本多正信の復帰」というカードを劇的なものにしたかった思惑からでしょう。
『おんな城主 直虎』で同役を演じた六角精児さんあたりを見ながら、
「俺ならもっと派手に意外性をドーンと見せてくるような復帰にすんぞwww 最高のキャラが最悪のタイミングで復帰とか盛り上がるッショwww」
とでも思ったのではありませんか。
伊賀越えを「俺が考えた最強の本多正信」の復帰背景にしたかった。ただ、それだけでしょう。
どうする合戦の構成
本多正信の「家康に明智を討たせろ」という台詞もいかがなものか。
このドラマは結局、ヤンキードラマか、都内に暮らす詐欺師のノリで戦国時代を描いている。
明智光秀を撃つならば、地理的に近く、軍勢を整え、素早く戦場へ向かえる連中が有利に決まっています。
では、三河(あるいは駿河)へ戻った家康が、どうやって光秀を討つのか?
仮に光秀の所在地が京都(山城)だとした場合、そこにたどり着くまでは尾張・美濃・近江があり、どこが敵で味方かわかりません。
一箇所に所在せず、移動する可能性だってあるでしょう。
なにより羽柴(秀吉)、柴田、信長の息子たち、丹羽など、織田家の有力家臣が多数いて、そんな状況下で「家康が光秀を討つ」という賭けに百地が乗るでしょうか。
あくまで家康が生き抜くために鼓舞するためならわかりますが、百地を味方に誘導する言動だとしたら不自然。
実際、本能寺の後はまさしく地理的なポジションが決め手であり、毛利と和議さえ結べれば、京都までの道のりが確保できた秀吉が有利であり、光秀を討つことができました。
脚本を構築していく上で、そうした行軍や兵站などは考慮されたのでしょうか。
明智光秀の言動からして、そうとは思えない。
「とにかくゲスキャラでいいでしょ」という低い次元の解像度でしかないから、正信の台詞も出てくるのではありませんか。
合戦の表現は、必ずしも人馬がぶつかり合わなければならないものでもありません。
『麒麟がくる』や『鎌倉殿の13人』は、兵糧確保や戦術を意識しているセリフで色々と視聴者に伝えてきました。
『どうする家康』はそういう要素がまるでない。だから単なる思いつきのような台詞で物語が展開するのでしょう。
どうする「なんやかんや」
それにしても……信長を暗殺するため本能寺周辺に潜ませていた伊賀者500人はどこへ消えたのですか?
こんな重要なことには全く触れず、「なんやかんや」で史実では伊賀越えがあったからね!とばかりに、物語は進められる。
もはや今回のあれは「伊賀遠足ですか?」と思えるほどですが、それでもスポーツ紙にかかれば、こんな劇的な記事に生まれ変わります。
深刻かつ苦難、とのことで、以下のように記されています。
今回は謀反を起こして織田信長(岡田准一)を討った明智光秀(酒向芳)が、「残るは家康だけ。断じて逃すな!」と堺から伊賀越えしている家康の命を狙っており、追手が迫る。相当に深刻かつ苦難の伊賀越えとなりそうだ。
こちらのスポーツ紙は阪神タイガースに甘いことで有名です。
そのタイガースに対してよりもずっと今年の大河に甘いのはなぜなのか。
どうするレーシック
伊賀越えで命からがら三河へ逃げ戻った家康。
『真田丸』では、阿茶局が奥の前にて、その襖を開けた家康が倒れ込むという場面でした。
今回は、家臣が勢揃いしているところでニタニタとした愛が出迎える。
この愛は夫の危難すら真面目に考える程度のことすらできていないから、愚かさばかりが目についてしまう。マザーセナすらマシに見える。
そして、くどいようですが、愛の近眼設定はどこへ消えましたか?
初登場時は史実由来の設定を盛り込んだものの、その後はレーシック手術でもしたかのような回復ぶり。
一話完結のドラマばかりを描き、役者のアドリブに頼り切りの脚本家に大河を書かせるから、こんなわかりやすい設定さえ忘れてしまうのでは?
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