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【『どうする家康』感想あらすじレビュー第32回「小牧長久手の激闘」】
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どうする「クライマックスになるなる詐欺」
本作の家康は何度も嘘をついてきました。
信長を倒す。
秀吉を倒す。
これが最後の大戦。
まるで「クライマックスになるなる」詐欺ではありませんか。
秀吉は床几に腰掛け顔芸タイム。
家康は詐欺タイム。
徳川家臣は青春タイム。
レーシックとその周囲は女子マネタイム。
そんなことより、もっと合戦シーンに注力すべきではありませんか?
合戦というのは、何も戦うばかりではなく、先に申しましたように、本多正信がもっと様々な想定を提案して家康に投げかけてもいいし、地図を使った戦術のシミュレーションだってあるでしょう。
それなのに私達はいったい何を見せられているのでしょう。
どうする照明
夜間戦闘の場面が、でかいライトで照らしているのが見え見え。
スモークも、霧とか土埃ではなく、炊いていることが見え見え。
なぜこれほどまで安っぽい作りなのか。
本作の合戦は、やたらと暗いことが多く、晴れていることがまずない。
あのお粗末VFX馬がいなくなったと思ったら、今度は迫力不足の殺陣と戦場が前に出てきました。
どうする「井伊ひよ」
井伊直政が母ひよを思い出す場面は一体なんなのか?
あの不気味なメイクをさせる意味がわかりませんし、言及すらされてこなかった直政の母を出すというのもなんだか違和感があります。
直政の父で、彼女の夫・井伊直親を失ったあと再婚していますので、役名も「井伊ひよ」で良いのですかね。
井伊家再興を願う女性であれば、むしろ井伊直虎があの場にいた方がよかったのでは?
『おんな城主 直虎』の主役ですから、それなりに盛り上がったことでしょう。
衣装もどうなのか。井伊家再興という割にいい着物を着ているようで、説得力が感じられません。
本作は、新規で作った衣装と、ストック衣装の落差が激しい。新規はお粗末で、NHKのストックだと素晴らしいように見受けます。どういうわけか彼女だけ能装束だそうです。
しかも、そんな彼女は、直政のことを顔選抜だと言ってのける。
あまりにひどい言い草ではありませんか。
このドラマの制作者はルッキズムがひどく、悪口でも身体的特徴を出す。井伊直政の長所も、この言い方では顔だけのようだ。
なぜ、こんな描き方になってしまうのでしょう。
もしかしたら作り手は、井伊直政本人の事績や逸話をかいつまんで拾っているため「顔がいいだけ」と言わせてしまうのでは?
直政の魅力を作り手が把握していなければ、視聴者に伝わるはずもない。「顔だけ」なんて描写は、あまりにも杜撰です。
母に美形だと褒められたから、直政は女装して家康を殺そうとしたのでしょうか。
とことん意味がわからない。
それとも暗殺に失敗した後で、母親が「女装も似合うくらいカワイイ顔でうまく立ち回りなよ」と言ったとか?
やはり、下劣すぎて理解できない。
こんなニュースが出ている昨今、
◆ いまだジャニーズ性加害問題は解決しない中…「24時間テレビ」のポスターが物議を醸しているワケ(→link)
母の口から幼い我が子に「美貌でのしあがりなよ」なんて言わせるとは、非常に挑戦的なスタンスですね。
どうするBGM
このドラマのBGMは自己主張が激しすぎる。
わざとらしくバイオリンを響かせるのはやめましょう。興をそがれます。
劇を盛り上げるのではなく、自分の世界観を押し付けようとしてくるようで、どうにも耐え難い。
どうする赤備え
ガンプラのメタリックカラーを混ぜたようにテカテカした笠。
直政陣羽織の紐の違和感。
これが「シン・大河」の赤備えなんでしょうか?
井伊の赤備えに対し、これほどヘイトが溜まったのは、幕末以来でしょう。
幕末の井伊家は、井伊直弼が桜田門外の変で討たれて以来、統制を失っていました。
京都守護も本来は井伊家の役目でしたが、それが不可能となり、会津藩松平家に京都守護職が回ってきました。
そんな無茶苦茶な状態だったのに、格式高いと威張っていた井伊家、その赤備えは時代錯誤の象徴となった。
まさにこの大河の井伊家は、幕末そのもの。
プライドだけ高くて見掛け倒しで、中身は空っぽです。
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