どうする家康感想あらすじレビュー

どうする家康感想あらすじ

『どうする家康』感想あらすじレビュー第32回「小牧長久手の激闘」

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『どうする家康』感想あらすじレビュー第32回「小牧長久手の激闘」
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どうしようもない好感度

ムロツヨシさんは「自分は好かれない」と語っております。

◆「どうする家康」ムロツヨシ怪演がネット話題“大河史上最恐”秀吉の魅力は「野心」「好かれないピエロ」(→link

あの秀吉なら仕方ない……とは思いますが、では、誰が好かれているのか?

去年の和田義盛畠山重忠、あるいは上総広常なんて、主役を食う勢いで支持されていました。

他にも挙げたらキリがないですが、では今年は?

ムロツヨシさんが心配せずとも、誰も好かれていないように見受けます。

立ち位置的に石川数正の人気が高いようにも思えますが、どちらかというと「グルメの人だ♪」という印象から来ているようにも見えるし……。

もはやドラマに出番があることそのものが呪い。

「あの武将は出て欲しくない」というリストを私は脳内に作りました。

 

どうしようか提灯記事

井伊ひよだの、森長可だの、過去大河からのサプライズ使い切り出演者がなぜ出てくるのか。

それはニュースソースを切らしたくない事情からでは?

◆「真田丸」の“吉野太夫”中島亜梨沙が出演 直政の母・ひよ役で第32回に登場「今週の日曜日、ぜひ」(→link

◆NHK大河『どうする家康』城田優に「もったいない」! 『VIVANT』小日向文世の不倫には「裏がある」?(→link

この大河はもう巻き返しが期待できない。決定的に勢い不足です。

時間帯が近い民放ドラマの勢いと比べると一層際立つ。

◆ 【VIVANT】第5話視聴率14・2%で番組最高更新!「テント」のリーダー判明、前回から0・8P増(→link

もはや絶望的な状況です。

大河の観光土産も減った。

歴史雑誌記事は史実の解説のみ。

時代劇役者インタビューは別の作品に向かっていく。

一般誌は扱わない。

書店のドラマと歴史の書籍コーナーには『らんまん』の本が並ぶ。

時代まつりのパレードに本作の役者がでたとニュースになったのは、せいぜい初夏まで。

『信玄公祭り』では冨永愛さんがメインの信玄役に起用され、大河とはまったく絡みません。

そりゃあ諏訪法性の兜をぞんざいに扱われ、死後の信玄が山中で野晒しにされたように描かれ、武田家をここまで貶められたら、ゆかりの地としては絡みたくないでしょう。

なぜ兜首ばかり出てくる?死者の扱いがあまりに酷い『どうする家康』

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大河の存在意義も変わってきています。

一年限定かつ不出来な年は観光が見込めなくなっているし、そもそも日本人より外国人観光客のほうがはるかに増えている。

大河が観光の目玉であった時代は終わりつつあることも認識せねばなりません。

今年の大河は、ビジネスという面で考えても、本当に儲からない問題作です。

去年と比べると残酷なまでの落ち込み。

もはや残っているのが、会場のスケジュールを抑えた展覧会やイベントのみで、こうなると大河ドラマ枠ごと沈んでしまい、NHKとしても非常にまずいでしょう。

だからこそ、サプライズキャストが必要になる。

NHKの関連番組や展示に無理矢理にでもニュースをねじこみ、忘却だけは回避しなければ……そういう状況に思えます。

◆「どうする家康」の世界を紹介 NHK大阪放送局で巡回展(→link

NHK側に残された選択肢は、もはや今年より来年以降。いかによく仕上げるか。

そして今年の敗因の徹底検証でしょう。

作り手の懸念としては、提灯記事の減産もあるのではないでしょうか?

こんなニュースがあります。

◆ジャニー氏性加害問題を糾弾し…大手スポーツ紙に囁かれるジャニーズ事務所への“出禁”騒動(→link

『どうする家康』は、スポーツ紙がこぞって褒めています。

しかしそれもジャニーズとの蜜月が崩れたら、いつまでも持つものでもないとか。

さぁ、どうなるか?

見どころのないドラマですが、そこは気になりますね。

 

どうする白兎とイケメンの似合う時代劇

イケメンとイケメン同士を描く時代劇――。

『どうする家康』がやろうとして全くできなかったことを達成した華流時代劇『陳情令』が、ついに地上波に登場です。

◆テレビ大阪(TVO) 2023年9月1日(金)より 毎週月~金 9:30~10:30

◆TOKYO MX (MXTV) 2023年9月19日(火)より 毎週月~金 11:04~12:00

◆テレビせとうち(TSC) 2023年9月20日(水)より 毎週月~金 14:30~15:25

『陳情令』のヒットにより、驚きの事態が起こりました。

2023年『すばる』6月号が異例の増刷となったのです。

◆文芸誌「すばる」が初めての重版 中国発エンタメ人気が後押し(→link

さらには会田大輔氏の中公新書『南北朝時代: 五胡十六国から隋の統一まで』(→amazon)の売れ行きが好調なのだとか。

『南北朝時代: 五胡十六国から隋の統一まで』(→amazon

中国史でも屈指の難解な時代です。

それでもドラマの時代背景だということで、本が売れてしまう――この現象はよくある偏見も打破しています。

『どうする家康』についてこんな意見を見かけました。

「イケメン目当ての若い女を惹きつけるには、一話ぶつ切りにしないとついてこないんだよww」

若い女性のせいでつまらないと、責任を押し付けているのです。

発言者が若い女性を愚かだと思いたい、そんな偏見や願望が見えてきますが、実際のところは『陳情令』を見て『南北朝時代: 五胡十六国から隋の統一まで』を買う。

衣装や建築を調べる絵描きの方も多い。

中国史書籍を扱う書店にいくと、熱気が激っています。

若い女性が愚かだと思いたいのは、単なる偏見です。

そして制作側にせよ視聴者にせよ、そうした偏見に依存して本質に向き合わない人々が、少なからず存在する。

『どうする家康』の惨状は、まさにこうした状況から生まれていったものでしょう。

作り手の意識が歪んだままであれば、この先、非常に根深い問題と言えます。

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黒船が来航したらどうする?

『どうする家康』を見ている層はどこにいるのか?

以下の記事では、岩盤支持層も、若い世代も見ていないと分析されています。

◆ 【どうする家康】存在感のない家康、所作も作法も軽んじられ…岩盤支持層に不人気な原因は多数あった(→link

所作も作法も軽んじていて、誰にも受けていない。

その結果は視聴率によく表れていますし、ヤフーコメントには非常に辛辣な批判が多数掲載されています(→こちら)。

中には「これが新しい大河です、滝田栄さんの版をリメイクすれば満足ですか?」という挑発的な書き込みもありますが、リメイクの方が今年の大河よりマシでしょう。

問題は、別のところにあります。

今年の大河を庇う人は過去の大河とばかり比べています。

VOD全盛期のいま考えるべきことはそんな狭い視野ではなく、他国の歴史劇、特に東洋史とライバル関係になったと認識を改めねばなりません。

もう一度『陳情令』のヒットと地上波放送について考えてみたい。

あのドラマは所作までもが非常に美しい。

中国の俳優は演劇科専攻者も多く、時代劇の所作ぐらい基礎から学んでいます。

仮にそれ以外の出身者でも、きちんと指導されるため、役者の所作は美しく、その時代ならではの意味合いがあります。

勉強熱心でハマっていて、二次創作だってこなしたいファンは、ひとつひとつの所作の意味まで調べ、感動する。

そういうパワーが他国のドラマにあれば、そこに流れたファンは戻らなくなるでしょう。

大河ドラマは、なぜ特別なものとして存続してきたか?

2010年頃までの大河ドラマの状態は、19世紀を迎えた徳川幕府のようなものでした。

破綻しつつあるし、満足しているわけでもない。しかし、それ以外にどんな支配者がいるのか、知識がないからわからない。

それがVODが押し寄せていない時代の、大河を取り囲む状況でした。それが変わった。

状況は激変しました。

黒船来航後の世界です。

筆もまともに持てない役者の時代劇なんて、淘汰されて終わってしまう。

もはや一刻の猶予もない状況を迎えています。

 

国家昏乱して、忠臣有り

国家昏乱して、忠臣有り。『老子』

ファンダムが乱れてくると、“信者”が悪目立ちようになる。

今回の第32回放送は、秀吉の言葉「俺のアンチはゲスだ」と喚くところが出色の出来でした。

あのセリフは、ドラマに批判を繰り返す私のような不届き者へのメッセージにも思えました。

考えすぎでしょうか?

公式ガイドブックのあらすじには、まるでなかった意味合いの言葉が加えられたら、そう感じるほうが自然でしょう。

もしも意図的に加筆されたものだとしたら、残念でしかありません。

ドラマで本当に描きたいことはそこなのか。

一時的な感情に委ねて、そんな台詞を入れていたとしたら、視聴者に対して失礼ではないか。

と、じっくり考えていると、やはり私の邪推にも思えてきますが、現場の士気が低下して役者さんから覇気が奪われていたとしたら残念でしかありません。

懸念するのは、制作現場だけではありません。

投稿ドラマ感想欄を見てみると、私の言葉など大人しい部類に入るほど激しく批判的な言葉があります。

そうした状況に反発してなのか。一部のファンはSNSでやたらと攻撃的になっていて、回を追う毎に激しくなっている。

人間とは集団を作る生き物で、そうしてチームを作り、別のチームを攻撃することで盛り上がる習性があるのだとか。

『蝿の王』がそういう話ですね。あれは普遍的な心理で、派閥争いはそうして起きるらしい。

現代人は合戦はしないし、学校卒業と共に部活動のようなことをやめる人も多い。だからといって、群れて争う本能が消えるわけでもない。

そういう歴史に認知心理学視点を取り入れた書籍も最近は増えていますね。

SNSの炎上や誹謗中傷は、そんな人間の心理ゆえに起きることのようです。

そうした心理を考察していると、人間が集団を形成し、流される様子が興味深く思えることも確か。

軍事心理学の古典である『孫子』は、このあたりを実にうまく読み解いていて、あらためて唸らされてしまいます。

さしずめハッシュタグとは、現代の旗印でしょうか。

戦場でもない場所で、スマホ一つで孫子気分になれるというのは、良いことなのか、悪いことなのか。

私にもわかりかねますが、皆さん、もしも不満があればSNSでやたらと攻撃的な合戦に走るのではなく、NHKに送りましょう。

SNSで誰かを攻撃するよりも、本作を「支持する」「支持しない」旨をNHKに送ったほうが有用ではありませんか。

◆NHK みなさまの声(→link

中入りで三河攻め! 秀吉vs家康の激突は奇襲から 日本史ブギウギ171話

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文:武者震之助note

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【参考】
どうする家康/公式サイト

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