2023年秋、大河ドラマファンに激震が走りました。
10月12日に発売された週刊文春で『どうする家康』の主役・松本潤氏が撮影現場で「殺すぞ」とか「あいつを外せ」とか横暴な振る舞いをしている――そんな暴露記事が掲載されたのです。
記事内容が本当ならば、NHKの制作陣はジャニーズの言いなり。
公共放送にあるまじき芸能事務所の私物化であり、非常に深刻な状況とも言えるのですが、一方で「記事にあるようなことは本当なのか? ガセネタじゃないのか?」という疑問も湧いてきます。
あまりにもショッキングな内容であるため、たとえスクープだらけの文春砲でも、にわかには信じがたい状況なのです。
もしかしたらAという話は事実だけど、Bという話は完全ガセネタで、Cは少し誇張が入っているという可能性もあるかもしれません。
そこで今回は、記事の指摘とドラマ内容を照合してみて、書かれたことがどこまで信憑性あるのか、周囲の状況などから徹底的に検証してみることとしました。
いったい何が本当で何がウソなのか?
【TOP画像】
『週刊文春 2023年10月19日号』(→amazon)
『どうする家康 公式ガイドブック』(→amazon)
電子タバコ片手に禁煙エリアで談笑
『どうする家康』主人公・松本潤さんに関する文春砲が掲載されたのは『週刊文春 2023年10月19日号』です。
オリジナルをご確認されたい方はキンドル版でもすぐに読めますので、まずはそちらをチェックしてください(→amazon)。
記事の中には何が記されていたのか?
同誌ではまず
「松本潤氏が椅子を蹴り、引き寄せ、喫煙室へ向かわずに喫煙しながら共演者と談笑する」
という描写から始まります。
これはただ単に「態度が悪いなあ」と思わせるだけのものではないかもしれません。
2022年5月3日、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』で小栗旬氏の回では、彼が喫煙室へ向かう姿がありました。
同じ大河ドラマ主役でも、これだけ態度が異なる――大河ドラマの熱心なファンであれば異変に気づくのでは? そんな含意があるのでしょう。
そもそも禁煙エリアでタバコを吸っていたという話は本当なのか?
という点ですが、今回の記事はソースの出処がかなりの確率で現場スタッフであることが考えられます。
後述しますように「台本の画像」も一緒に流出していて、週刊文春に掲載されているからです。
今回の記事は、バッチリとそこが押さえられている点からして「ガセネタ」とは言い難い、むしろ「信ぴょう性高そうだなぁ……」という印象となっている。
まぁ、そうでもなければ文春側も訴訟リスクの高いジャニーズネタをそう簡単には採用しないでしょう。
あらためて記事内容を検証して参ります。
若泉久朗氏の関与
2022年6月5日にクランクインだった『どうする家康』。
その際、若泉久朗氏がジュリー景子社長(当時)の横にいたとされますが、これも重要な点です。
NHKとジャニーズ事務所による“癒着の象徴”として、若泉氏についての報道が数多のメディアから出ているのです。
◆ジャニーズ事務所の顧問になったNHK元理事(62)の評判 「どうする家康」のキャスティングにも影響力(→link)
◆NHK理事からKADOKAWA・ジャニーズへ 異例の移籍の背景(→link)
◆(ひと)若泉久朗さん NHK理事からKADOKAWAとジャニーズに(→link)
◆十勝へのメッセージ~企業トップに聞く「NHK札幌放送局 若泉久朗局長」(→link)
若泉氏は朝ドラ『なつぞら』にも関わっています。
『なつぞら』といえば、もう一人、本作に関わる重要人物がいますので、後述させていただきます。
特注の軽量甲冑を「重いよ」
家康といえば、狸親父のイメージがあります。
『どうする家康』では、そのイメージを刷新したかったのか。華やかな金陀美具足(きんだみぐそく)が、特に序盤、大々的に扱われました。
甲冑を新規で作ったのは、鹿児島県の「丸武産業」だと、この記事で明かされています。大谷翔平選手の兜を作ったことでも知られる職人集団ですね。
その会長が実名を出し、松本潤氏用の甲冑はかなり軽量化したと明かしている。
それなのに彼は「重い」とこぼし、通気性の悪さに文句を言っていたとのこと。
「丸武産業」の田ノ上賢一氏は、軽いはずだと語っています。
甲冑については、2022年『鎌倉殿の13人』と比較してみましょう。
平安末期から鎌倉時代にかけての大鎧は、戦国時代の当世具足よりも相当重く、着用しにくい。しかし、だからといって出演者が文句タラタラという報道は出ませんでした。
あの大鎧を着ながらワイヤーで釣られた源義経役の菅田将暉さんは、相当キツかったはずです。
松本潤氏の嘆きに対しては、ベテラン俳優が彼の甲冑を着た上で「こんなに軽いのに文句を言ったらダメだよ」と苦言を呈したとか。
2020年『麒麟がくる』では、現場ではとあるベテラン俳優が甲冑を着ると無言になると明かされていました。それだけ疲れてしまうということでしょう。
それでも彼はドラマで見る限りは堂々と演技をしていて、疲れなど感じさせません。
そうした大河現場の常識を踏まえると、「重い」なんて愚痴などこぼされたら、苦言を呈したくなる気持ちは理解できます。
大谷翔平選手の兜に続き、大河ドラマで特注された甲冑を手がけたとなれば、「丸武産業」としては名誉なこととして誇りたいはずです。
にもかかわらず実名を出してこう語っているというあたりに、告発の信憑性を感じます。
浜松まつり:家康公騎馬武者行列の仕出し弁当の舞台裏
「丸武産業」以上に、深刻なものを感じさせるのが、この仕出し弁当です。
仕出し弁当については売り出されたニュースもあり、一見するとよい関係のように思えます。
しかし、記事を読めばこれは怒りのあまり文春に告発したいと頷ける部分があります。
これだけのメニューを5日前に決められ、300食も作るとなれば、現場の苦労はいかほどのものか。
頼む側とすれば、宣伝にもなってよいとなるのかもしれません。こうしたニュースだけを見れば、美談に思えます。
しかし美談におさめきれないほどの不満があればこそ、文春に記載されている。
「竹泉」木俣昭彦社長が実名で不満を語っているからには、信憑性は十分にあります。
浜松まつりは、こうなったからには松本潤氏が再登板することはないでしょう。
2013年大河ドラマ『八重の桜』の綾瀬はるか氏は大河放映後から何度も会津まつりに呼ばれ、10年後となる2023年も参加していました。そうしたイベントと大河の結びつきをふまえても残念なことです。
なお、今年は人気定番の戦国時代を舞台とした大河ながら、ゆかりの地とのタイアップ行事が控えめです。昨年『鎌倉殿の13人』のときには盛況でしたが、勢いはすっかり消えてしまいました。
そればかりか山梨県の「信玄公祭り」では、冨永愛氏が信玄役を務めることで話題をさらいました。
なぜ大河俳優ではなく『大奥』からなのか……と疑念を呈する声もありましたが、わかったような気がします。
何らかの懸念材料があり、主催者側が避けたのかもしれません。
視聴率低下と共にイラついている
以下の関連記事をご覧いただければ一目瞭然ですが、『どうする家康』の視聴率は非常に悪い。
いくら視聴率が人気に必ずしも反映されない時代とはいっても、戦国大河としては史上最低、大河としてもワースト2が確定しています。屈辱的な数字でしょう。
-

どうする家康全48回の視聴率速報&推移! 過去7年分の大河と比較あり
続きを見る
そんな状況に耐えきれないのか。
視聴率低下によるイライラが文春で報じられましたが、実は彼の性質的な危うさについては、別のメディアでも報道されています。
◆どうした松潤!夜の街での目撃情報が多発中…背景にあるNHK大河の重圧(→link)
◆松本潤がスタッフに“パワハラ”報道、過去の「井上真央と交際中に浮気→ブチギレ」との共通点(→link)
◆ モデルプレス - 松本潤、“パワハラ疑惑”の裏で囁かれる評判 関係者は「性格の危うさ」を指摘(→link)
また、文春砲に影響されたのか。
他メディアからも後追い記事が出されるようになっていますね。
◆嵐・松本潤「NHK出禁」待ったナシの「パワハラ報道」“超ブラック事態”!『どうする家康』ワースト級視聴率と深刻視聴者離れの危機!!(→link)
訴訟をチラつかせていた以前のジャニーズ事務所であれば、あまり起こり得なかった事象と言えるでしょう。
ダムが決壊した如く、今後も“告発”は続くかもしれません。
スタッフにキレて降板させようとし、特定のキャストの誕生日を祝わない
記事の中には、第14話「金ヶ崎でどうする!」と第21話「長篠を救え!」の演出担当者を降板させるように迫ったという告発もありました。
他にも、自分より脇役が目立つことが気に入らず、例えば、平岩親吉を演じたハナコの岡部大氏にだけ誕生日ケーキを用意しなかったということも。
その一方で、お気に入りの共演者を贔屓するという前例が、松本潤氏にはあるようです。
◆「可愛くてしょうがない」松本潤の“パワハラ報道”の裏で有村架純への溺愛ぶりにファン困惑(→link)
ドラマ『失恋ショコラティエ』では、お気に入りの有村架純氏に対して豪華な誕生日プレゼントを贈り、他の女優にはそうではなかったとか。
ストレスが溜まり、それが最悪な形で噴出したのであれば、誕生日ケーキが用意されない話にも納得ができます。
岡田准一氏の起用に不満
大河ドラマで三英傑を演じるとなれば、それはもう名誉なことです。
しかし、例外もあります。
2009年『天地人』の吉川晃司氏は、不満を募らせていたとか。
今年の大河で信長を演じた岡田准一氏も同様でしょう。
「劇中の描写に疑念を覚えていた」とハッキリ口にしていました。
岡田氏は2014年『軍師官兵衛』の主演でもあり、時代ものの映画では何本も主演を務めています。高い身体能力を活かした迫真の殺陣にも定評があります。
それでは「自分が食われてしまう」と松本潤氏が不快感を示したとしても納得ができる。
同時にジャニーズ事務所としてはねじこみたいという理由もわかる。
腑に落ちる告発内容です。
紀行パートで有村架純氏をねじこむ
『どうする家康』の無茶苦茶さとして、瀬名(築山殿)の大きすぎる扱いがあります。
家康と政略結婚であり、さまざまな理由が重なって不仲とされているのに、このドラマでは初恋の相手とロマンチックな結婚。
緊迫感も何もないラブシーンが挟まれるわ。
見せ場のない瀬名奪還計画に2話も浪費されるわ。
ドラマそのもののクオリティを完全に破壊しました。
そのバランスが崩れた理由として、松本潤氏による有村架純氏のゴリ押しがあるとされます。
文春記事では、番組終了後の紀行で無茶振りをして、二人が登場するようにしたと指摘。
確かにあの紀行は余韻をむしろ壊す形であり、強引さが目立ちました。
しかし、関係者は「脚本家の構想で瀬名を引っ張った」と語っているという話もあります。
悪いのは松本潤氏か? 脚本家か?
責任の押し付け合いが発生しているのだとすれば、もはや現場は崩壊しているのでしょう。
ジャニーズは女優キャスティングにおいても口出しすることが報道で明かされています。
以下の報道が、裏付けとなっていますね。
◆石原さとみ、吉田羊、米倉涼子…ジャニーズ “共演ゼロ女優” が躍進する!セクゾ菊池風磨はロケで奮闘もジャニーズ凋落は必至(→link)
◆ メリー喜多川氏を怒らせた吉田羊 ついに「ジャニーズNG」全面解除へ(→link)
あだ名は「台詞泥棒」
第31話「史上最大の作戦」において、小平太(榊原康政)の台詞を削り、家康が話すことになった――そのことが【台本の画像】と共に掲載されています。
この台本こそが、今回の文春砲の見どころの一つでしょう。
これを受けてヤフーコメントやSNSなどでは「台本を変えたほうがよくなったから、問題ない」という意見もあります。
記事中の古沢良太氏も、改変を認めた上でかえってよくなったと擁護しているようです。
しかし、既に問題はそんなところにありません。
この台本を文春が入手できたということは、台本を入手できる第31話の出演者か、それに近い誰かがリークしたことになる。
なお、泥酔した松本潤氏のぼやきを聞いていたという、相当親しいであろう役者仲間の目撃談も記事に出てきます。
いわばチーム内に内通者がいると明かされたようなものです。
現場が疑心暗鬼になって雰囲気が悪くなるのは避けられないのでは?
台詞改変を許すチームの問題とは?
現場では台詞の改変がかなり横行しているようです。
台詞をアドリブで変えることの是非は、脚本家はじめ現場次第と言えます。
ただし、時代考証の観点からすると、リスクを伴う。
アドリブの結果、時代考証にそぐわない言い回しになってしまうかもしれない。
アドリブを許し、かつ考証をこなすとなれば、撮影時に考証担当者が立ち会う必要も出てくる。
実際、そうなっていないのだとすれば、チェック体制に穴が空いているということになります。
-

大河ドラマの時代考証・担当者はどこまで責任を負わねばならんのか?
続きを見る
出演者が経験豊富で物知りな方であれば、問題ないかもしれませんが、果たして『どうする家康』の場合はどうか?
台詞改変とアドリブが横行する現場になっていることは、過去の記事からしてその通りなのでしょう。
岡田准一氏、酒向芳氏、松重豊氏、小手伸也氏、ムロツヨシ氏など。本作ではアドリブで咄嗟に盛ったと語る出演者が多いことも特徴です。
例えば、このドラマでは「くそたわけ」という言葉は下品すぎるから、そこは避けて「あほたわけ」としたのに、明智光秀の酒向芳氏は「くそたわけ」を連呼していた、なんてことがあります。
脚本家の意図などどうでもよく、現場のノリで回しているのでしょう。
そんなことをされるとは、侮辱ではありませんか。
脚本家だけでなく、視聴者に対しても侮辱だと言わざるを得ません。
このドラマはさんざん「あの人気脚本家のドラマだ」と喧伝してきました。
それなのに、その脚本家の書いた台本は粗末に扱われている。これは一体どうしたことでしょう。
以下の記事にあるダチョウ倶楽部ネタなんて、特定の年代以上にしか通じません。
◆「どうする家康」ダチョウ倶楽部ネタはアドリブ!ムロツヨシ、松本潤との思い出のシーン明かす(→link)
演じている側の悪ノリでしかないうえに、大河の品格や緊張感すら落としてしまう。
命のやり取りである合戦の場での悪ふざけを、堂々と口外してしまい、弛緩きった現場が浮かんでくる。
むろん、出演者が脚本家に要望を出すことはあります。『麒麟がくる』の長谷川博己氏は、光秀の台詞が少ないとこぼしていたそうです。
池端俊策氏も「……」が多い光秀は大変だろうとは思っていたとか。それでも意図を説明しつつ、それで演じるように長谷川氏に返したそうです。
そして最終局面になると、長谷川氏は脚本の内容に大いに納得、発奮し演じていたとか。
『どうする家康』には、そういう脚本家と出演者の協調が存在しないような印象を受けてしまいます。
脚本を変えることについて松重豊氏は、苦言を呈していながら、諦めたかのようにも思える記述がありました。
出演者がこうも呆れていると書かれるとは、なかなか屈辱的なことではありませんか。
ニコライ・バーグマンのセンスで作られた押し花
今回の文春砲で放たれた痛烈な矢――その一本がニコライ・バーグマンでしょう。
話題となったのは第34話「豊臣の花嫁」です。ここで出てきた押し花の珍妙さが説明されます。
もともとは、石川数正の残した仏像の中から、瀬名の残した押し花が出てくるはずでした。たしかに仏像の中に何かものを入れる風習はあります。
『鎌倉殿の13人』にも重要な場所として出てきた伊豆修善寺の大日如来像には、人毛と経文が入れられていることが修復時に判明しています。
「そういう風習に従って仏像の中に入れておく」とスタッフが説明しても、松本潤氏は納得しない。
そこで、仏像とは別に、小箱に押し花を入れる代替案が登場。
結果、ニコライ・バーグマンをイメージした、綺麗な花がびっしり詰まっているあの箱になったというのです。
ボックスフラワーを作るハメになった小道具担当者のメンタリティを想像してしまい、寒気がしました。
ああいう花は、それこそ21世紀になってから、局所的に日本だけで流行しているものです。
他の地域ではそこまで定番でもない。何よりもプリザーブドフラワーという、ごく近年の技術ありきのものです。
同時期に朝の連続テレビ小説『らんまん』チームが、リアリティのある花の標本を作っているというのに、大河ドラマスタッフはボックスフラワーを作る羽目になるとは……。
これは小道具スタッフの名誉に関わる問題です。私も放送直後のレビューで「なんて無知でくだらないものを作る連中なのか」と失笑してしまいました。
同時に、こんなわけのわからないものを作る小道具スタッフが心配だとも書いていました。
大丈夫ではなかったようです。
本当に胸が痛みます。
松本潤氏は、来年以降の大河には関わらないでしょう。
しかし縁の下の力持ちである小道具担当者は、来年以降も参加します。
軍隊ならばいわば足軽大将のような大事にすべき人の心をへし折ってまで、時代にそぐわない無茶苦茶な要望を通すなど、さすがに残酷すぎやしませんか。
大河ドラマの明日を守るためにも、このことはさすがに許し難い。
私たちのために大河ドラマを作るスタッフを、どうして大事にできないのか……。
本当に悔しい話です。
なお、例の押し花はネットニュースで確認できます。
◆「どうする家康」築山の押し花…数正出奔の“真意”にネット号泣「神回 数正のあほたわけで」殿&家臣団も―(→link)
『ブラタモリ』で江戸の歴史を勉強
松本潤氏は勉強するつもりがなく、『ブラタモリ』の江戸関連DVDを求めたとか。
『ブラタモリ』で地理は学べても歴史は学べない――と、ここでもNHKスタッフのぼやきが入っています。
つまりNHK内部に“告発者”がいる可能性が示唆されていますが、問題はそこだけではありませんね。
徳川家康と江戸の関わりは重要だけれども、彼は幕府を作るまでは三河や京都にいます。
幕府を作ったら、駿府に向かってしまう。江戸にいた期間は短い。『ブラタモリ』で学べる江戸の歴史については、秀忠なり家光なり、家康以外の分量が多くなってもおかしくない。
徳川家康の生涯を年表で少しでも確認すれば、その程度のことは一瞬でわかります。
彼はその程度のことすら惜しんでいるのか。
ちなみに『麒麟がくる』の長谷川博己氏は、儒教朱子学の勉強を自主的に重ねたことが、インタビューから伝わってきます。
そういう積み重ねの差は演技や役の解釈理解度にもあらわれるのです。
石田三成の「干し柿」をカット
今回の文春砲で決定打となりそうな、もう一本の矢が石田三成の「干し柿」です。
第43話のクライマックスにおいて「石田三成が湯を欲しがったところ、干し柿が出される」という逸話が入る予定でした。
それが松本潤氏の気まぐれな改変要求により、削られたというのです。
三成と干し柿の逸話については、戦国時代ファンの間ではよく知られた名場面。
いわば三成の見せ場であり、それをカットするとはあまりに酷く、演じる側だって、そこを踏まえてプランを練っていても不思議はありません。
なぜこれが決定的な矢となるのか?
というと第43話の放送は約一ヶ月後であり、今から撮り直しをするには時間的に厳しいと考えられるからです。
干し柿のエピソードが放送時に無かったら、告発の大部分が“真”であったと皆が目撃することになります。
文春砲を受けてドラマを改変しようにも、もうどうしようもない――そんなギリギリの告発ですね。
【追記】
『どうする家康』のクランクアップは10月26日でした。
11月10日放送NHK総合『あさイチ』に松本潤氏が出演し、この記事への反論とみなせる箇所がありました。
◆ 嵐・松本潤、『あさイチ』で週刊文春『どうする家康』現場パワハラに“生反論”!?「嫌い」報道芸人もブッコミの「攻める殿」!(→link)
11月13日放送『どうする家康』では、該当の場面がありました。
かなり時間をかけた場面であるものの、家康が一方的に三成を叱り飛ばすだけで、干し柿はまったく出てこない。
10月29日放送「逆襲の三成」には、石田三成が大谷吉継が話す場面で、干し柿が大きく映し出されていました。
干し柿は小道具チームがすぐ用意できたはずです。それにも関わらず、三成最期の場面で干し柿が出てこなかった。このことは文春砲の信憑性を高めたと言えます。
◆ 松本潤『どうする家康』、「関ヶ原の戦い」文春砲通りの「石田三成の柿」カット!!松潤の赤入れは「改悪」!?「歴代ワースト2」の恐怖!(→link)
関係者は否定したのか?
今回の文春砲はデタラメだ――そんな投稿をSNSでかなり多く見かけます。
発信者の情報から察するにジャニーズファンの方たち。
彼女たちは、どんな理由で「記事がデタラメである」と言い切るのか?というと
NHK広報部、政策統括の磯氏、松本潤氏に19項目の真偽を尋ねたところ、三者とも否定した。
だから記事はウソ。
というものです。
果たして、そんな単純なものでしょうか?
日頃から文春記事を読んでいればわかりますが、文春から電話なり質問状をなりを受け取り、「はい、ご質問の通りで、私は◯◯です」と返答する当事者は異例です。
磯氏の問答をよく読めば、回答どころか明確に否定せず、広報部に投げていることも読み取れる。
NHK広報にせよ、松本潤氏にせよ、項目ひとつひとつに反論せず、「前向きに頑張っている」という答えにもなっていないことを返しただけです。
仮に、文春記事に不正確な記述があれば、こうした処置になっていても不思議はない。
↓
◆記事削除についてのお知らせ #プレジデントオンライン(→link)
プレジデントオンラインにおいて、10月4日に配信した記事<大物理事のジャニーズ事務所への「天下り」も…NHKが「ジャニーズ依存」を強めてしまった本当の理由>(https://president.jp/articles/-/74542)を、10月6日付で削除しました。
記事公開後、当該記事の内容の一部について、情報の裏付けが不十分だったと編集部で判断したためです。このため、プレジデントオンラインおよびすべての外部配信先から記事全文を削除しました。
それが取られていないということは、現時点で記事を明確に否定できる材料がないということでしょう。
この号の週刊文春には「宝塚歌劇団いじめ告発記事」も掲載されていました。
この記事に対する宝塚サイドの反応を見てみますと……。
◆ファンの皆様ならびに関係者の皆様へ | ニュース | 宝塚歌劇公式ホームページ(→link)
ファンの皆様ならびに関係者の皆様へ
2023.10.12一部メディアで宝塚歌劇団に関する報道がございました。
弊団では、公表しております通り、外部の弁護士の方々による調査チームを立ち上げ、生徒の心情にも十分配慮しながら、関係者へのヒアリング等を行っております。
調査の結果につきましては、しかるべき時期に情報発信させていただきますので、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
以前の表明よりもトーンダウンし、週刊誌報道がデマの類ではないのでは?と読み取れるようになっている。
告発された側の反応を読み解くことで、見えてくることもあります。
皮肉なことに、この号発売後のニュースがかえって記事内容の正しさを証明しているようにも思えます。
◆『どうする家康』大森南朋、座長・松本潤を語る「揺れていた時期も知っていますが…」(→link)
松本潤氏が動揺していた時期があると読めます。
◆松本潤さしいれに猫背椿「ありがとうございました」【写真】(→link)
一見美談のようですが、よく読んでみますと「撮影終盤みんなめちゃめちゃしんどい時」があったとわかる。
そして、記事にあった松本潤氏がウーバーイーツでキャストスタッフに差し入れしていた件とも一致する内容です。
◆ ジャニーズ忠誠心がぶっちぎりの「女性セブン」、嵐・松本潤を大絶賛の背景(→link)
火消しのような持ち上げ記事の背景として、文春砲があげられています。
以下、余計なことながら、『どうする家康』の不可解な点を考察してみましょう。
推察:なぜ子役から始まらなかったのか?
『どうする家康』は、第1回から人形遊びをする松本潤氏の姿が映し出され、視聴者の困惑を招きました。
あれは異例の措置と言えるでしょう。
回想シーンでは子役が出てくるので、キャスティング自体はされているのです。
大河ドラマは、主人公の幼少期を愛らしい子役が演じることが定番でした。
むろん例外はあります。
初回から屋根の上から飛ぶ派手なアクションがあった『麒麟がくる』には、子役時代はありません。立ち回りを最初からこなす事情もありますし、明智光秀は前半生が不明確です。
『鎌倉殿の13人』も、初回から北条義時が馬に二人で乗り、障害飛越をこなす場面があります。子役では実現しない導入部といえます。
北条氏の歴史そのものが、源頼朝と政子の結婚から始まるといってもよいので、問題はないでしょう。
2017年『おんな城主 直虎』では、前髪のある徳川家康の幼少期を阿部サダヲ氏が演じていました。そうはいっても、あの場合は脇役で一瞬に過ぎません。
こうした例外を拡大解釈した結果が、あの人形遊びに思えます。
しかし、徳川家康の生涯を辿っていけばすぐわかることですが、彼の場合、幼少期の様々な逸話が人格形成の上で重視されます。
子役が心細さを隠すように人形遊びをしていた方がよかったのでは?
そんな風に思ってしまうのですが、こうした数々の謎も、今回の文春記事で解けた気がします。
大河は子役で視聴者の心を掴むことがお約束。これがあまりにうまくいくと、本役に変わった途端に失望されることもあります。
一例が2009年『天地人』でしょう。
加藤清史郎氏が演じる幼少期の直江兼続は、インパクトが大きかったものです。
「わしはこんなところに来とうはなかった」という台詞は、大いに話題になり、新語・流行語大賞にノミネートされています。
まさか子役に嫉妬するとは無いでしょうよ……とは否定できなくなってきます、今回の文春記事を読んでいると。
推察:存在感の薄い脇役、そしてくすんだ大河ドラマ
『どうする家康』の難点として、登場人物の存在感が薄いことが頻繁に挙げられます。
例外はやたらと悪目立ちする瀬名あたりでしょうか。
その他の徳川家臣団はほとんど目立つシーンがありません。
ドラマの当初は、脇役である徳川家臣団のキャラクターを売り込んでいました。
大河ドラマのセールスポイントといえば綺羅星の如き出演者ですから当然とも言えるのですが、本作はどうにもパッとしない。
いい役者であっても、存在感を見せるような場面があまりに少ない。
しかも、わざと似合わない珍妙な仕上がりにされているのではないか、と思えるほど特定の若手俳優のヘアメイクが酷い。
徳川家臣団以外、家康に敵対する人物はさらに露骨です。敵対者でも若手俳優が演じる役は、人格が極端に貶められていました。
一体なぜだ?
と、ずっと困惑していましたが、記事にあるような松本潤氏の介入が事実であれば納得できます。
皮肉なことに、放送時期が重なる朝ドラ『らんまん』は、それこそ豪華な役者たちの存在感が作品の評価を押し上げていました。
大河が押し出しておきながら不発気味だったブロマンス路線も『らんまん』の方が活発でした。
若者受けを重視して、大河ドラマはジャニーズを起用するのだと本作に関しては語られてきました。
しかし、そのジャニーズの持つ数字は否定されています。魔法が終わった論拠として『どうする家康』の低視聴率が挙げられることでしょう。
それも当然のことに思えます。
今、若い世代が夢中になっているドラマはイケメンが揃った韓流や華流です。
イケメンが揃って競うようなドラマのキラキラ感が『どうする家康』には欠けていて、むしろドラマそのものがくすんでいる。
◆大学生の”ジャニーズ離れ”が深刻か 性加害問題報道以降、約4人に1人が「ファンではなくなった」(→link)
◆「ジャニーズ出ないと視聴率取れない」の神話崩壊…TBS音楽特番が「出演ゼロ」でも“影響なし”の衝撃(→link)
推察:タイパ重視と情熱の欠如がもたらす弊害
時代劇とは、タイムパフォーマンスとしては優秀ではありません。
『プロフェッショナル』の小栗旬氏の回を見るとそれがよくわかる。
乗馬にせよ、和装の所作にせよ、カメラで映らないところで時間がかかります。
撮影そのものがタイパが悪いんですね。
・セットを作る
・遠隔地までロケに向かう
・扮装
・ヘアメイク
・所作指導
・殺陣
ざっと、こうした面倒を懸念して時代劇を避ける役者がいても不思議ではありません。
しかし、数々の面倒をこなしてこそ、大河俳優とも言える。最近は、理解の低い役者の発言が見られるようになり驚いていたところでした。
◆草なぎ剛、『青天を衝け』遠方ロケで乗馬シーン撮影 使用4秒も「これが撮影だ!」(→link)
ニュースそのものは「これが撮影だ」とまとめられていて、彼なりに納得していることがわかります。
しかし、彼も事務所を離れたとはいえ、ジャニーズ出身であり、そのことが頭に引っかかっていました。
ジャニーズは露出時間重視、つまりタイパ重視であり、演技をじっくり勉強したい所属タレントは不満があるとも聞いていたからです。
松本潤氏の『ブラタモリ』DVDで学ぶ姿勢は、不勉強というよりも、タイパ重視が身に染みてしまった言動ゆえのものだとも思えました。
彼自身は大河を嫌がっていたとも聞いています。それはそうだと腑に落ちます。後半になればなるほど、撮影自体がタイパ重視だと思える箇所も増えました。
『どうする家康』はそもそもロケがない。
彼が甲冑を身につける場面も、後半になればなるほど少なくなる。
セット内の道具も少なく、ギリギリの時間で撮影しているとわかる。
「腹を召す」という敬語の使い方がおかしくても、そのまま放送する。
どれもこれも、ギリギリで回していることがわかります。
そうなれば、時間がかかる乗馬シーンなんて真っ先にカットされるのは当然でしょう。
本作の珍妙なVFX馬は視聴率低迷の一因とされるものの、NHK側は動物愛護や技術的な挑戦だと言い張っていました。
文春砲の指摘が事実であれば、本当のことなど言えるわけもなかったとなりますね
◆【どうする家康】CG多用&高速展開の“新しい大河”に賛否「試みは良かった」「乗馬シーンに違和感」(→link)
◆大河ドラマCG多用 酷暑や働き方…どうするロケ改革 試行錯誤「今は違和感あっても、過程楽しんで」(→link)
時代劇や歴史そのものへの愛着もないのでしょう。
『大奥』シーズン1では、原作にはない吉宗が名馬バンカー号で海辺を駆け抜ける場面が入りました。時代劇のために訓練を積んでいた冨永愛氏は感慨もひとしおであったとか。
愛があれば「乗馬で拘束される時間もものともしない」ことを彼女は証明しています。
◆ モデルプレス - 冨永愛「大奥」オファー前から乗馬・殺陣のレッスンしていた 起用理由に本人も驚き「言ってよかったんですね」(→link)
疑念:脚本家人選は適切なのか?
脚本家人選への疑問も生じます。
大河ドラマは長丁場です。そのため、民放ドラマで実績を積んでいるだけでは足りません。朝ドラから大河起用が、一種のルートとして存在します。
近年では2025年大河ドラマ『べらぼう』の森下佳子氏がその典型例です。
それならば、本来『どうする家康』に最も相応しい脚本家は見えてきます。
前述の若泉氏と、磯氏と『風林火山』や『なつぞら』で何度も仕事をこなしてきた大森寿美男氏です。
彼は時代劇を得意としており、実力十分。徳川家康主役の大河ドラマを書いたら、どれほど面白くなったことでしょうか。主演は内野聖陽氏を希望したいところです。
しかし、どうしたわけか、民放ドラマや映画、しかも現代劇だけ書いてきた、時代劇に適性の低い人選となりました。
これはジャニーズ側の指示でもあったのか、なかったのか。
追及していただきたいところです。
ドラマ放送の直前には映画『レジェンド&バタフライ』というジャニーズタレント主演の作品が公開されました。
その映画とこの大河ドラマは、脚本家が同じです。
彼は実力があるというよりも、ジャニーズ側に捻じ曲げられても文句を言わないから起用されたのではありませんか?
NHK大河ドラマはまだまだ叩けば何かある
NHKの大河現場が疲弊していることは、度し難いことといえます。
今はフェアトレード、チョコレートから衣料品まで、労働者が搾取されずに作っていることが売りになる時代です。
スタッフが血と涙を流しながら作る大河ドラマなんて、そんなものを私は見せられたくありません。
大河ドラマのスタッフに対してはそう思います。
『どうする家康』は、ノベライズ担当者が褒めちぎるレビューを書いていることも、疑惑を深めるばかりです。
これがどれほど無惨なことか、大河ドラマチーム上層部は考えたことがあるのでしょうか?
酷い忖度ドラマを作らされ、へとへとになったスタッフ。
スマホでネットニュースを見れば、露骨な提灯記事ばかりが流れてくる。
しかし視聴率は落ち、NHKみなさまの声には、大量のクレームばかりが届く。
街の声がふと耳に入ると、去年は褒めても、今年の大河は失笑している。
不健康な職場環境に、大河スタッフを置く。
そんな残酷な状態に私は加担できません。
文春に情報を提供したスタッフは、一か八か、いわば訴状を手にして殿様に直訴する義民のような心持ちであったことでしょう。
彼らに報いるべきではありませんか?
これを機に、膿は出し切るべきではありませんか?
文春がこれで終わるとも思えない。新たな証拠を手にして、次の矢を放ってくることも想定すべきでしょう。
大河ドラマの未来のためにも、私はこの記事を支持します。それが義でしょう。
しかし、もうひとつ懸念事項はあります。
大河ドラマそのものの疑惑を、落目のジャニーズに押し付け、逃げ切るつもりか?と。
末端のスタッフは労わるべきです。
しかし、だからといってNHK大河チームそのものを免罪する気には到底なれません。
こと近代史ものについていえば、まっとうな最新の研究を反映した作品は2013年『八重の桜』まで。
それ以降の2015、2018、2019、2021は露骨なプロパガンダであり、不正確な描写も多い。
同時に、忖度するライターを大量に雇用し、褒めちぎる記事を書かせているとも思えます。
その忖度の成れの果てが、2023年に炸裂しただけとも思える。
徹底的に洗い直すべきではないでしょうか。そうしなければ、大河ドラマはもう先がないでしょう。
そして最後に、文春の皆様方には私からおくる言葉があります。
「先ず隗より始めよ」です。
以下のような記事を、文春オンラインは大河のノベライズ担当者に書かせています。
◆松潤主演NHK『どうする家康』は「シン・大河」になる? 大ヒット大河ドラマ“勝利の方程式”とは(→link)
これぞ典型的な提灯記事ではありませんか?
その検証なくして追及をするのであれば、疑念を抱かれることは致し方ないかと思います。
どうか検証をご検討ください。
あわせて読みたい関連記事
-

どうする家康全48回の視聴率速報&推移! 過去7年分の大河と比較あり
続きを見る
-

大河ドラマの時代考証・担当者はどこまで責任を負わねばならんのか?
続きを見る
文:武者震之助(note)
【関連記事】
どうする家康全視聴率
【参考】
どうする家康/公式サイト


