関ヶ原の戦いを控えた『どうする家康』第42回放送は、先週のまとめから。
それにしても、鳥居元忠を前にして、なぜ家康はこうも爽やかに偉そうなんですかね。
伏見城を死守せよ――つまりは死を覚悟せよ、と自分から言っといて情を感じさせない。
表面は平静を取り繕いつつも、内心は凄まじい葛藤という表現はなく、鳥居元忠の演技に頼り切っている印象もあります。
これでは日本シリーズへ視聴者を持っていかれてしまうのでは?
どうしてスタンディングパーティ
先週に引き続き、江戸と会津の距離が妙に近い地図が映り、またもや立ったままウロウロしながら家臣団が話し始めます。
いつもいつものスタンディングパーティ状態。
本多正信の鬱陶しさは今週も健在です。
“男勝り”と自己申告してしまう阿茶からの報告が届きます。伊賀者はどこへ消えたのか。こういう場面でさりげなく使うと良さそうなものですが。
そもそも大坂城には複数の大名がいますし、阿茶がここまで出しゃばるものでしょうか。
蜂須賀家政あたりの出番を奪う、男勝りが強すぎます。
と思ったら、阿茶は寧々にもてなされています。
寧々は消えてなかったんですね。説明不足すぎて意味がわかりませんが、どうやら阿茶を助けてくれたらしい。バグだらけ8bitゲームNPCみたいだな。
どうしたザルとしか言いようのない戦略
小山まできて背後を衝かれた家康。
危険な状態なのに、今さら「みんなついてくれるかなあ?」と言い出す姿がどうにも迫力がありません。
「家康ってすげーよな!」と周囲の人物に言わせる主人公補正しかしてこなかったので、有能さが表現できていないと思います。
こういう手遅れの対応を「泥縄式」と言います。
無能な人間が天下を取れるほど日本ってチョロいのか……と脱力するばかり。
もはやどうしようもない真田一族
コスプレ高校生が来たと思ったら、真田信幸でした。
時代劇に合わせた発声や所作の指導は十分にされたのでしょうか。
本多忠勝が娘の稲を持ち出して脅すあたり、本当にダメなドラマだと思います。
わしの娘ならどうにかできる。そういう方針で育てているんでしょうよ。
もはやこの忠勝は本人の武功ではなく、娘に関わることでしか目立たなくなっていて、哀しいにも程がある。
徳川一の武将がこの体たらくとは……。忠勝すら、周囲からの「アイツ、スゲーからな」という補正で補っているため、全く迫力がない。
チョビ髭の井伊直政が相手の肩を叩く所作にしたって、幼稚にもほどがあるでしょう。
いったい井伊の赤鬼とは?
あの、お子様コスプレで、リアルな戦場に現れたら敵はどう思うでしょう?
嘲笑されるだけで、徳川軍の士気が下がってしまうのでは?
どういう呼び方なのか
このドラマは「内府」と唐突に出すわりに、「信幸です」「昌幸です」「信繁です」と名乗るから中途半端で意味不明。
統一感がまるで感じられず、場当たり的に物語が進んでいることが痛いほど伝わってきます。
邪魔なだけの稲
稲の逸話も急にどうしたのでしょう。
確かにエピソードとしては秀逸であり、真田を描くのには必要不可欠。
『真田丸』では吉田羊さんと草刈正雄さんの名演で、見入ってしまった方も少なくないと思います。
しかし、本作で描く必要があったのかどうか。
【直江状】の中身を削ってまで、犬伏の別れをカットしでまで描くというのが解せません。制作陣のフェチに付き合わされているのか……と思うと疲弊させられます。
役に入り込んでいない発声に見えます。インタビューで話す時と同じような声と申しましょうか。
結局、稲を出したのも、製作陣の萌え要素なんでしょうね。美少女戦士妄想みたいなシーンは、それこそ田鶴あたりから延々と繰り返してきました。
ピロピロした劇伴も残念感満載。
「じいじさまーじいじさまー」
と、ただ単に子どもが喚くだけなのも意味がわかりません。
ドラマ作品における演技指導の出来不出来は、子役に現れます。『大奥』は人痘接種を受ける子役たちが緊張感のある姿を見せていて盤石でした。
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