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【『どうする家康』感想あらすじレビュー第42回「天下分け目」】
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どうする立ったままの家康
オープニングが終わって小山評定へ。
制作陣はどういう思いで、主役・家康の見どころに取り組んだのか。
還暦間近の総大将が、堂々と突っ立ったまま演説ぶっている。仕草がほとんどない。ずーっと立ったまま、やっとのことで暗記したかのように、くさいセリフを精一杯読み上げるだけ。
三成の人質政策も批判していましたが、それは秀吉時代からの話でしょう。
そしてその大名の妻子を人質にとる政策は、江戸幕府も踏襲するわけです。
他に言いようがあるはずなのに、なぜ家康にそんなことを言わせるのか。
堂々とセリフにしてしまうということは、後に家康が築き上げる江戸時代を全く意識していないか、あるいは、そんなこと知ったこっちゃねーわ、ということなのか。
仕事のできるスタッフは全員『大奥』に移動してしまったかのようです。
そして思い出したようにマザーセナ直伝【泰平の教え!】を語り出す。『大奥』とは、史実の読み込みの深さがまるで違って唖然としてしまいます。
『大奥』では、春日局の非道の背景に、泰平の世をめざす思いがあったと描かれました。
国土荒廃の時代が何年も続いていたのに、そんな簡単に平和は成し遂げられない。
時に誰かに無理強いしてでも、とにかく乱世には戻したくない――そんな悲痛な思いが滲んでいたわけですが、本作では「はい、江戸時代は平和、来ますよー!」で終了。
要は、未来人思考で作られた家康の演説なんですね。
やたらと喧嘩っ早い、当時の日本人の精神性を変えるわけですから、「はい、平和な時代にしましょう!」「オッケー、りょw ピースピースw 泰平ww!」とはなりません。
そもそも関ヶ原の戦いが1日で終わったことすら想定外の事態だったはず。
関ヶ原は当時の世界史的にみても、屈指の規模となった大会戦です。
それがあんなにあっさりと決着がつき、結果的に徳川幕府の治世が来たというのは、開戦前の人々に想定できるわけないでしょ。
どうする猪苗代湖
江戸と会津がやたらと近い地図。
この地図には猪苗代湖がありません。日本で4番目に広い湖ですが、必ずしも必要ではないかもしれませんね。
しかし、先週の会津の風景を思い出すとなんとも合わせ技でマヌケでして。
それというのも、猪苗代湖からみた磐梯山を映していました。
磐梯山は噴火して山体が変わっているから、出す場合は要注意です。しかし磐梯山どころじゃなかったんですね。
猪苗代湖の水の色がおかしいし、波が強い。
確かに冬ならば「磐梯おろし」で猪苗代湖は荒れます。しかし、あの猪苗代湖は雪が降っておらず、嵐でもきていたのでしょうか。空は青々としていましたが。
猪苗代湖を見下ろす位置にある国指定重要文化財は「天鏡閣」と言います。
猪苗代湖がまるで鏡のようだからという意味。そういう鏡のような猪苗代湖ならばまだしも、どうしてあれほど無理を感じる水の色と荒れ方にしたのか。
ただ単に何も考えていないんですかね。『八重の桜』から10年でどうしてこうなってしまったのでしょう。
また、どうしようもない茶々
茶々の意向によって三成が挙兵しているような描き方です。
秀頼を戦に出すとまで言っています。
これも無茶苦茶では?
秀頼の年齢もありますし、それを茶々一人の思いつきでできるとも思えない。大坂の陣のことを踏まえれば、どうせ嘘だとわかります。
それにしても、この茶々が怖いでしょうか。企んだ瞬間に失敗するとわかっているドジっ子の何が怖いのでしょう?
『大奥』の仲間由紀恵さんを見たら、本作の茶々など恥ずかしくて語れなくなりますよ。
ただまぁ、別の意味で怖いは言えるかもしれません。
「関ヶ原=茶々が黒幕説!?」とかなんとか語っているものを見かけました。視聴者の歴史知識を歪めそうで、そこは確かに恐ろしいです。
どうする火器描写
射程も何もあったものではなく、本作はとにかく火器の使い方がおかしい。
またもや火縄銃を連射しているように見えました。装填動作もなく、連射。
制作陣が『八重の桜』を超えてやる!とでも妄想しているなら、本当にいたたまれない。
どうする家康は火縄銃の扱いが雑すぎないか 連射に脅しで次は長篠?
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小早川秀秋、参上いたしました
ニコニコ笑いながら「参上いたしました」と語る秀秋の軽薄さよ。
主演が所作指導をされていないならば、他の役者にするわけにはいかないのかもしれませんね。
それにしたって、作り手はこんなものを撮影していて、恥ずかしさは感じないものでしょうか。
とにかく放送日に間に合えばいい! さっさと終えて次の仕事だ! とか思っていたら、なんとも哀しいものです。
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