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【『どうする家康』感想あらすじレビュー第44回「徳川幕府誕生」】
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思えば於大からしてダメでした
過去の大河作品で主演を務めてきた俳優を集めた本作。
その一人である於大ですが、結局、この方も最初から最後までどうしようもなかった。
家康にせよ、その母にせよ、まるで加齢が感じられません。
現代の高校生とその母親みたいな雰囲気ですよね。
そしてこの対面の場面で、背後にある天守閣は何があったんでしょうか?
圧倒的なハリボテ感で気が遠くなりそう。コンクリートで作られた模擬天守のような印象すらありました。もしかしてAIにでも描かせましたかね。
おかんを論破したったww
家康と二人きりになった於大は、若い口調で息子への反省の弁を語っていました。
他にもっと言うことがないのでしょうか?
「おかん論破してやったw コレスケベな本じゃねえしwww 保健体育の教科書だしwww」
そう浮かれている中高生みたいなメンタリティなんですよね。
死ぬ間際の母親に対してこんな塩対応するなんて、家康から人の心が感じられない。
母親相手にマウンティングしている場合でしょうか。
どうしようもないウィリアム・アダムス
なぜ、ウィリアム・アダムスは洋服のままで出てくるのでしょう?
織田信長と弥助。
徳川家康とウィリアム・アダムス。
この両者を比較すると、家康の方がより画期的な態度といえます。
三浦按針という和名を名乗らせ、日本人の妻をもたせ、所領や屋敷を与えた。衣食住を同じものとすることで、受け入れることを示したのです。
そういう気遣いを台無しにする洋服姿。
要するに、ここはドラマ10『大奥』でも話題になった村雨辰剛さんを出したかっただけなのでしょう。
「八重洲」の由来となったヤン・ヨーステンは出てきません。
外国人枠にするならば、彼でも良かったのでは? なんてことを本作で考えてはいけません。
そもそも深く考えていないのが本作の特徴。なにせ、歴史に興味がなかった脚本家が最低限のことしか学ばないと公言していますから。
どうするイカサマ師とお粗末語彙力
本多正純が出てきました。
「イカサマ師の息子」呼ばわりを公式がしていますが、ただの侮辱にしか思えません。
家康の側近であれだけ知恵を出している設定なのに、未だに「イカサマ師」と正面きって息子に言いますかね。
冗談にせよ言われた方はどう思う?
◆どうする家康:“ウルトラマンタイガ”井上祐貴が“イカサマ師”の息子に 徳川新時代を支える若きエリート・本多正純(→link)
「軍師」のほうが良かったのでは?『軍師官兵衛』というタイトルにも入っていますしね。
ウケ狙いの言葉でスベるのも駄作の特徴と言えるでしょう。
井伊直政の「おいら」だって全く似合っていなかった。
そもそも戦国時代の一人称ではなく、江戸期以降に「俺」が訛って使われた東国の主語です。
考証を踏まえれば無茶苦茶ですが、それ以前の問題でもある。
「おいら」だの、「いかさま師」だの、そんな語彙がイケてる!と思っている時点で、センスがない。
語彙力が低い=脳筋なら、このドラマそのものがそうなりますね。
過去に自分で「腹を召す」と使っていただけでなく、今週も「申されませ」と家臣が主人に使っていました。
誤った敬語の使い方は、現代社会でならまだ許容されるのかもしれませんが、大河ドラマで何度も起きて欲しくはなかったなぁ。
どうするポリアンナ
ポリアンナ症候群とは――。
ポリアンナ症候群(ポリアンナしょうこうぐん、英: Pollyanna syndrome)は、直面した問題に含まれる微細な良い面だけを見て負の側面から目を逸らすことにより、現実逃避的な自己満足に陥る心的症状のことである。
別の言い方で表すと、楽天主義の負の側面を表す、現実逃避の一種だと言い換えることもできる。Wikipediaより
もうポリアンナちゃんとでも対話しないとやってられません。
今週の“よかった探し”その一は……井伊直政の新規場面がなかったこと!
その二は……『大奥』により、井伊の名誉は保たれたこと!
この津田健次郎さんの井伊直弼は、現状考えうる配役としてこれ以上はないというくらい適切だと思います。
なぜか?
美声というだけではありません。
井伊直弼は評価が難しい人物です。安政の大獄の苛烈さは確かによくなかったかもしれない。
しかし、横暴すぎた一橋派を止めねばならない危機にも直面していた。徳川斉昭の破壊力を踏まえるとやむを得ないところもあった。
たしかに穏健な阿部正弘と比べると邪悪には見えるけれど、徳川斉昭と並べたら頼りになる正義の体現者に見える。
地元では善政を行った名君。
何より彼はテロリズムの犠牲者である。
そういう難しい面がいくつもある人物だからこその津田さんだったのでしょう。
彼は声だけでも、美しくもおぞましい。善と悪と、光と影が常に入り混じっているようなニュアンスが出ている。
歴史的評価を踏まえると、どちらにも振り切らない。憎めないけれども愛せない。そういう複雑な光彩をもつ人物として、完璧な配役です。
NHKは井伊家の名誉を守ったのだ!
えっと……大河のことを思い出さねばならないんでしたっけ……現実逃避してしまいました、ハァ……。
なんの感慨もない退場はどうしようもない
よかった探しを続けましょう。
今回が退場となる家臣団は、頑張っていたと思いました。
ただし、残念だったのが加齢演技。せっかくの人気武将のお別れなのに、説明セリフを語らされては感慨も薄まるばかり。
もしかしたら主演の演技力に忖度しなければならない諸事情でもあったのでしょうか。
そんな諸事情を頭の片隅に入れて見るドラマなんて、ハッキリ申せば楽しくありません。
ドラマの流れは、劇中だけで完結すべきであって、補足説明や最新研究などを考慮しながら見ていられない。
視聴者の多くは関連書籍を購入してまで背景を読み取るなんてしないでしょう。
「シン・大河」のセンスなんて知りませんて。
忖度をしなければ楽しめない。ポリアンナを探し続けなければ楽しめない……早く2024年が来て欲しい。
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