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【鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第34回「理想の結婚」】
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武蔵に触手を伸ばす時政
ますます調子に乗る北条時政。
訴訟を突き返すも、裁くも、思うがままに振る舞っています。
そんな時政の前に、畠山重忠と足立遠元――武蔵の御家人が座っていました。
「比企がいなくなって武蔵が空いちまった」
そう告げる時政は、続けて俺がもらうと宣言します。
困惑するしかない重忠。
表情が曇る様子に気づいているのかいないのか。時政は、武蔵は変わると宣言し、重忠を武蔵守にすると言い出します。
遠元が「おめでとうございます」と返すと、やはり重忠は浮かない表情で身に余る誉と前置きしながら、代々受け継いできた惣検校職(そうけんぎょうしょく)は譲れないと主張します。
惣検校職とは?
武蔵の武士を束ねる職であり、そうなると武蔵守と惣検校職が兼任できるのかが問題。
時政にはそのことを尋ねたのですが……。
「おもしろいこと言うなあ。武蔵守を支えるのが惣検校職。自分で自分を支えるなんておかしい。そっちは返上!」
「お待ちください!」
「では、新しい惣検校職は……」
遠元がそう言うと、時政はこう言い切ります。
「本日はこれまで、ご苦労様でした」
これまで好々爺な一面もあった時政ですが、もはや悪い癖に呑まれていますね。
北条時政はどこまで権力欲と牧の方に溺れた?最期は子供達に見限られ
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傀儡政権を作り出し、自分が取り仕切る。それを武蔵でも実行するつもりです。
あまりに理不尽なその主張に対し、重忠は、義時に話すことで乗り切ろうとしました。
義時も、重忠に同情するように「信じらない……」と呆れています。
重忠はどうにか怒りをおさえつつ続けます。
「そんなことを舅殿が一存で決められるのか!」
「鎌倉殿の名で頼んだら通るかもしれない」
こうなると、もはや疑心は抑えられない。
重忠は惣検校職、そして武蔵を奪い取るつもりなのか?と疑心暗鬼になっているのです。
そしてこうきた。
「小四郎殿にはお伝えしておく。武蔵を脅かすようなことになれば、畠山は命懸けで戦う覚悟……」
「父と話してみる」
そう返すしかない義時です。
それにしても重忠の絶望はいかばかりか。
命懸けで戦って鎌倉幕府創建に尽くしておいて、それがかえって先祖代々の武蔵を奪われかけている。
北条は坂東武者のための世を作るどころか、平家より悪どくなってきました。
「畠山と一戦交えるおつもりですか?」
御所で堀小次郎の訴状が読み上げられました。
と、即座に「忘れろ」と時政がぶった切る。
何かと思えば「俺たちが首を突っ込むことじゃねぇ。代わりに鮎をもらったからあとで一緒に食おう」ときたもんだ。
かつて平家方に茄子を届けていた時政が、鮎を届けられて喜ぶようになっている。堕落とはまさにこのことでしょう。
そして義時が注意してもこうだ。
「さっぱりわからねぇ!」
助けてくれと求められたらそーするだろ。何が悪いのか、だってよ。
義時が付け届けのことをダメだと全否定しても、頼ってくる者たちの気持ちに応えたいそうで……。
イライラしながら、義時は武蔵のことを持ち出します。
「次郎(重忠)が何か言ってきたか?」
「畠山と一戦交えるおつもりですか?」
「誰もそんなことは言っとらん!」
息子にどやされ、時政もすっかり不機嫌になっています。
それにしても今年の大河は本当に教育上良いと思います。子供ではなく、大人の教育です。
ここ数年の駄作大河では美化してやりがちな悪弊があった。
それは「職務上の権利を振りかざすこと」であり、自分の贔屓する相手にだけ情けを掛けることを美談扱いするシーンが多々ありました。
例えば『西郷どん』では、西郷隆盛が権力を使ったうえで、我が子に海外留学させることを美談扱いしていた。税金を流用して自分の贔屓する学校に金を回すことをよいことのように扱っていた。
言うまでもなく原資は税金です。
『いだてん』では、関東大震災で被災死したある女性が、オリンピックに思い入れがあったからといって、それを復興支援の大義扱いをしていた。
当時の日本人のどの程度がオリンピックに思い入れがあったのか? そんなことをするくらいなら復興支援をすればよいだけなのに、震災とオリンピックをなぜ結びつけたのか?
現在、芋づる式に露わになってくる五輪の贈収賄を考えると、全く洒落になっていません。
『青天を衝け』の主人公・渋沢栄一が明治以降に大商人として成功できたのも、長州閥とのテロリスト人脈で結ばれていたから。
ビジネスにおいて適切な競争原理が働いていない。
一部のお友達にだけ利益が流れ、自分にも還流させる――それのどこがよい話なのか。
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そりゃあ人間、情けってもんがあるからそれに流されるのは仕方ないことです。それも程度の問題で、社会の倫理を歪めてまで強行してよいのか。
感動、美談に仕立て上げ、倫理観の欠如した大河ドラマなど、誰が見たいのでしょう。
その点、今年は愛嬌のある北条時政が、最低最悪の贈収賄を強行し、それが悪しき様で描かれていて実に気持ちがいい。
すべて感情で動くのは危険である。今年はその弊害を描いてくれて、実に爽快です。
結婚話に浮かない実朝
政子が、実朝の妻選びを聞いています。
後鳥羽院のいとこなんて素晴らしいと聞かされ、実衣とりくは「まあ素晴らしい!」と大喜び。
広元も悪い話ではないと言いますが、政子は、頼家を亡くしたばかりで先のことは考えられません。
それでもりくと実衣の猛プッシュで縁談は決まります。
政子も渋々、御家人の家から正室を娶るよりはいいか……と同意せざるを得ません。
はい決まり!
そんな政子を無視するかのように、りくと実衣は軽やかに宣言。結果として女性三人が賛同したことになりますが、むろん真意には大きな差があります。
りくと実衣はステータスに目が眩んでいる。
政子は過去の過ちから学ぼうとしている。
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実朝は、自分のために働く泰時に礼を言いつつ、こうおずおずと聞いてきます。
「そなたに妻はいるのか?」
「初と申します」
「仲はいいのか?」
「いつも尻に敷かれております」
そう明るく返してから、泰時は結婚の件を祝って退出。
父・義時のもとへ向かい、鎌倉殿の顔色が優れないと報告しました。
義時は、教育スケジュールが詰め込み過ぎだったか……と気遣ったあと、結婚のことだ、と思い当たります。
実朝は自分の気持ちをあまり語らないため、周囲が察する必要があるとか。
前の鎌倉殿とは真逆だと義時が言葉にしますが、頼家にしても、本心は周囲にあまり理解されていないと思えましたが。
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八田知家に見極めを頼む
義時が仕事をしていると、広元が寄ってきました。
婚姻の話を振られ、実朝のことだと思った義時が意見を返すと、相手はこう。
「あなたのことです」
奥方様と別れると色々と困るだろうということで、二階堂行政の孫娘・のえを紹介されます。
どうやら行政も乗り気で、気立が優しい、非の打ち所がない、身内が言っているから間違いないと太鼓判を押してくる。
困った義時が話を断ろうとしても、わしの孫では気に入らんのか、と凄まれ、ともかくデートのセッティングだけは進みます。結論を出すのはそれからにしろってよ。
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義時は八田知家と酒を飲むことにしました。
突如、振られた結婚話の意図はわかる。北条時政の専横を見て、文官たちは息子の義時を引き入れたいのだろう。それだけに無碍には断れずに困っている。
なんでも今度、その孫娘が連れて来られ、仕事の合間に庭で二人で話すとか。
「それを俺に見極めろと?」
「本来こういうことは三浦の平六に頼むのですが、あいつは今ひとつ信じきれない。力を貸して欲しいのです」
「おお、心得た」
三浦義村の胡散臭さに気づいた義時の進歩はよろしい。
しかし、知家はどうなんだ?
こういうとき、頼朝がいればよかったかもしれない。
冷酷で政治力を有していただけでなく、女性を見抜く力量も間違いなかった。政子はもちろん、八重も亀もいい相手でした。
八田知家は、武技に関しては一流なんでしょうけど、だからといって女性や人物を見抜く眼力まで備わっているのか、この時点では不明です。
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京都では、平賀朝雅が鎌倉の使者を迎える準備をしていました。
と、そこへやってきたのが源仲章。不躾な質問を投げかけます。
北条政範は父の跡を継いで、執権別当になるのか?
朝雅が執権別棟になる気はないのか?
「ふざけたことを!」
慌てて否定する朝雅に、仲章は吹き込みます。
アナタは血筋で言えば鎌倉殿にでもなれる(河内源氏義光流)。
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それなのに北条の言いなりではないか。上皇様は北条がお嫌いである。田舎者が鎌倉殿を思うままにしているのは許せない。
舌をぺろりとさせ、煽る煽る。
「何が言いたい?」
上皇様にとって都合がよいのは、鎌倉殿・実朝と執権別当・平賀朝雅の組み合わせ。
それに対し、政範がいる限りできないと朝雅が答えると、仲章がなんとも不穏な一言を発します。
「じゃあいなければ?」
義時殿もいる。動揺しながら朝雅がそう答えますが、実際に選ぶのは時政。
当てにしていた政範が突然の病で亡くなり、朝雅が千世様を連れて堂々と凱旋すれば、時政は必ず選ぶ。
「政範殿は鎌倉を離れておる……この意味が、おわかりになりますか?」
そう囁く仲章です。
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