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【鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第40回「罠と罠」】
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のえ(伊賀の方)はりく(牧の方)のようだ
源実朝は、千世と共に大根の葉の処理をしていました。
政子と実衣が同席していて、大根汁作りの下拵えをしている様子。
歯を使って処理する実衣に向かって、人の口に入るものだと政子が嗜めると、どうせ煮るのだからと開き直っています。
一方、意外と手慣れている実朝を政子が誉めると、昔、爺様こと北条時政に教えてもらったとのこと。
実衣が、実朝と千世を見てお似合いだとしみじみ語り、尼御台も孫の顔を見たいだろうと重ねて促します。
見たくないといえば嘘になるけれども、仕方ない。
政子がそう返事をすると、思わず千世が、私のせいで申し訳ないと謝ってしまう。
この後、政子と実衣だけになって話し合います。
産めなかったら仕方ないと伝えても、ならば後継はどうするのか?と実衣が迫る。
政子は「養子を取ればよいだけだ」とキッパリ。
その場には、義時の後妻・のえ(伊賀の方)もいて、二人は彼女の手つきを見ています。
まったく大根葉の処置ができていない。都育ちなのに……と呆れると、育ちがよいと細かいことに気が利かないとのえが返します。
確かに、そういう可能性は否めませんが、彼女も義時の妻として一定の年数が経過しています。それなのにできないとは……。
鎌倉殿はどうして側室を持たれないのか?と、のえが探りを入れます。
律儀だから上皇様に申し訳ないと思っているのだろうと答える政子。
源氏の嫡流は女好きのはずなのに、父親とは正反対。極端で間がないと実衣が嘆いています。彼女の夫・阿野全成も女性問題はありませんでしたね。
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そもそも鎌倉殿は源氏の血筋でないと駄目なのか?
いつしか話はそっちの方向へ傾き、のえが小四郎殿にも立派な息子が何人もいると言い始めます。「よしなさい」とたしなめられても、北条がなるべきだと引かない。
政子と実衣は、あのお騒がせな義母・りくを思い出すのでした。
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のえの野心はもう察知されていますね。
家事をろくにしていないことを指摘され、マウンティングの道具に転化しましたが、どうにも危うい。
木簡好きの次男坊はどこ行っちまった
甥の平太が縛られたまま、目の前に引き立てられた。
あまりにも屈辱的な仕打ちに対し、和田義盛が誰かに愚痴っています。
小四郎が思いつきそうなことだと相槌を打つのは三浦義村。
「変わっちまったよなぁ。蔵の中で黙って木簡をいじってたあの次男坊はどこにいっちまったんだ」
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確かに義時は変わりました。
が、歳を重ねても何ら変わらず、幼稚なことばかりしている義盛にも問題はあるでしょう。
不満たらたらの義盛に対し、義村が力になってやってもいいと持ちかけます。いっそのこと北条を倒して、俺たちの鎌倉を作るとまで言い出す。
和田が鎌倉殿で三浦が執権。
そう言うと義盛も笑い出しますが、どうやら義村は“結構”本気らしい。
和田義盛が立ち上がれば多くの者がついてくる。御所に攻め入って鎌倉殿を救い、義時の首を取る。
北条だけが得をする世の中を、俺たちが変えるんだ!――そう気炎をあげるものの、どうにも聞き覚えがある。
序盤で平家に対し、北条宗時はじめとする坂東武者がそう息巻いてましたね。
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やはり義盛は進歩がありません。
と、そこへ巴が来て、何か囁きます。
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慌てて出ていく義盛。
和田胤長の病弱な娘が布団に横たわり、苦悶の表情を浮かべています。父に再会できぬまま、彼女は息を引き取ってしまいました。
「この小さな悲劇が、義盛の背中を押した」
そう語られるのですが……いけません。人の上に立つ者が、そういう些事(と、敢えてここでは言います)で動いてはならない。
泰時の主張も正しい
北条泰時が、父に、なぜそこまで追い詰めるのかと食ってかかっています。
何も間違っていないと開き直る義時。
泰時はこのままでは戦になると嘆き、ハッと気付きます。
「読めました! 読めました! 父上はそのおつもりだったんですね」
義時は北条体制を磐石にするため、和田に死んでもらう狙いを告げます。
泰時が「和田殿が何をしたというのか!」と一歩も引きませんが、父は将来を見据えて決断している。
自分が生きている間はいい。けれど10年、20年後……必ず和田一門が立ちはだかる。
だから今のうちに手を打っておくと淡々と語ります。
「私のため……」
「そうだ」
「馬鹿げています!」
泰時はそう言い切り、誰もが平和で暮らせる安寧な世にすると言います。
口で言うのはたやすい。義時が現実を見ろとでも促すと、それでも
「父上は間違っている!」
と泰時は一向に譲歩が出来ず、義時から泰謹慎を申し付けられるのでした。
さて、どちらが正しいのでしょうか。
幼い我が子を見て悩んでいた姿を思い出せます。上総広常が死んだ後、「ぶえいぶえい!」と泣く息子を見て愕然としていた。
泰時の主張も、一見、理想主義者のたわごとのようで実は正しい。さすが堯舜(古代中国の聖王)のようだと言われただけのことはあります。
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泰時には具体性があり、ただ単に、ええかっこしいをして平和への願いを叫ぶ、そういう空虚な大河ヒーローとは違います。
そして、この葛藤、悩みの一つ一つが彼の思考を深め、後に【御成敗式目】を定めるようになった。
法律さえあれば、防げる悲劇もある――そういう泰時像をきっちり演じる坂口健太郎さんが今週も素晴らしい。誠意そのものです。
かといって、父の北条義時が全て間違っているとも思えません。
彼の与えられた天命は、血を流し、世を切り拓いていくものなのでしょう。
感情は捨て置き勝利にベットする義村
三浦胤義は、兄の義村に理解できないと語りかけます。一体どちらの味方なのか?と。
義村は小四郎に決まっているとあっさり返す。
しかし胤義は、そう見せかけて和田につくのではないかと疑っています。
「大人になったな」
おそらくや義村の本心でしょう。畠山重忠と戦う前に「黙っていろ」と一喝した時よりは成長していると認めた。
三浦胤義が、そんな兄上を好きになれないと言っても、そうやって俺は生きてきたと義村は少しも悪びれない。
上総、梶原、比企、畠山、幾人も滅んできた。三浦はまだ生き残っている。
「つまりはそういうことだ」
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しかし……そうして生きることの意味も考えてしまいます。
義村は感情的になったら破滅するとして、心を閉ざしているように思える。
カッとなったら足をすくわれる。何をされようと冷たく突き放し、勝つのはどちらか見極めるしかない。
そういう計算高いところが胤義は嫌なのだろうし、義村はそんな反発にはもう慣れきっていて、意見をぶつけられるのも鬱陶しいのではないでしょうか。
冷たい!とか、わけがわからない!とか、ただ単に「嫌だから」という感情をぶつけてきて、状況を俯瞰してどちらが有利不利なのか考えている義村を理解すらしようとしない。
なぜ、そんな連中と付き合わねばならんのか、人生とはそんなものか、と、達観しそうな義村は孤独かもしれません。
感情の赴くままに生きるなんて彼にはできないのでしょう。
そんな義村とは全く別に、和田との争いを止めたい北条泰時。
伯母である北条政子に訴えています。
このままでは和田殿は兵を挙げてしまう。そして父はそれを機に滅ぼすつもりだ。
戒めることができるのは尼御台だけしかいない。そう頼っていると、
「謹慎しろと命じたはずだ」
と義時がやってきて、泰時は退出するしかありません。そんな義時の前に政子が立ち塞がります。
和田は武勇に長けている一方、利に聡いわけではない。この先、北条の敵になることはないだろう。
和田を庇うのですが、あの男はそうでなくても周囲には担ぎ上げる人物がいる。そしてまた宗時の言葉を言い訳として持ち出します。
北条が坂東武者の頂点に立つことが目的だ、と。
さらに、姉上は政治に関わらないで欲しいと続けると、政子もキッパリと「どの口がそんなことを言うのか!」と反論します。
そもそも政に関われと言ったのは義時です。支えると言ったのだから、義時も勝手なことをするな!
「姉上に叱られたのはいつ以来でしょう」
義時が弟の顔に戻ると、政子もつい謝ってしまいます。そして義時は承知しました。尼御台の仰せだからこれ以上和田をけしかけないと。
「もう誰も死なせたくはないの」
「それは私も同じです」
姉と弟として語り合う二人。大根を処理するときの政子と実衣もそうでしたが、たまに伊豆の豪族である北条が顔を出します。
しかし……。
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